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『A Steinway Christmas Album』
あと2ヶ月でクリスマス。ちょっと早いような気はするけれど、とても素敵なクリスマス・アルバムを聴いたので、すっかりクリスマス気分に。

クリスマスに聴くアルバムといえば、昨年までの定番はプラッゲの《クリスマス変奏曲~クリスマス・キャロルによる即興変奏曲》とスウェーデンのピアニスト・ペンティネンのクリスマスアルバム『EVENING BELLS』

《クリスマス変奏曲》は、ノルウェーの現代音楽作曲家ヴォルフガング・プラッゲが自作自演したピアノソロ・アルバム。
色彩感のある音色と響きがとても綺麗で柔らかく、旋律も素朴で親密感のある雰囲気がクリスマスらしい。

ペンティネンの『EVENING BELLS』は、最初と最後にケンプ編曲のバッハのコラール、クリスマスにちなんだリスト、レーガー、ブゾーニの曲、さらに現代曲のメシアンなどバラエティ豊かで、よくあるクリスマスアルバムとは一風違ったクラシックピアノ曲集。

今年のクリスマスにメインで聴くに違いないアルバムは『A Steinway Christmas Album』
和泉範之さんの<合唱音楽 聴いたり 弾いたり 振ったり blog>で新譜情報が紹介されていたもの。
早速試聴してみたら、これが思いのほか素敵なアルバム。
クリスマスのオムニバスアルバムは、編曲があまり良いものがないので、まず買わない。
このスタインウェイのアルバムは、試聴しただけですぐに気に入ったほどに、選曲・編曲がとても良く、柔らかいピアノの音がとても綺麗。

トラディショナル、クリスマス・キャロル、クラシック、ポップスと、バラエティ豊か。
ピアニストは、初めて聴いたジェフリー・ビーゲル。アメリカの中堅ピアニストらしく、NAXOSなどに録音がある。
全曲ピアノ・ソロなので、編曲ものが多い。ビーゲル自身が編曲していることもある。
どの曲も編曲が良くて、ポピュラー化した時の薄っぺらさがないのが特に良い。
《きよしこの夜》の編曲した作品が合計3曲あり、マックス・レーガーの曲が入っている。これが3曲中一番良かった。(Lienhardのジャズ風編曲も良いけれど)
ベートーヴェン風の編曲もあり、ほんとにベートーヴェンの音楽のように聴こえてくるので面白い。
2つの曲の旋律を使った編曲が何曲も入っているところも新鮮で、いつも聴いているクリスマス・ソングとは違った曲になって聴こえてくる。
ピアノが大好きな人には、とてもおすすめのクリスマス・アルバム。

"おまけ"についているのが、クリスマス・オーナメント(Keepsake Steinway Lyre Ornament)。[写真
竪琴のデザインがクリスマスらしいところ。薄っぺらくはないけれど、それほど厚みもないので、取り扱いにちょっと注意が必要。本の栞に使えそう?


Steinway Christmas AlbumSteinway Christmas Album
(2011/09/27)
Jeffrey Biegel(piano)

試聴する(米amazon)



1. Sleigh Ride (arr. A. Gentile for piano)
冒頭は、とっても楽しいクリスマスの雰囲気がいっぱいのリロイ・アンダーソンの《そりすべり》。
1948年作曲の管弦楽版をGentileが編曲したピアノソロで。
すべりだしは、連弾か、2台のピアノで弾いているような、厚みのある和声でとっても良い感じ。
でも、そのうち、とても凝ってずいぶん込み入ったパッセージが連続してくると、急にテンポが落ちて、もたもた。これはいただけません。これがハフなら、速いテンポで鮮やかに弾きこなしているでしょうけど。

2. The Sussex Mummers' Christmas Carol (version for piano)
《サセックスの役者が歌うクリスマス・キャロル》は、パーシー・グレインジャーの瞑想的な曲。
1889年のブリティッシュ・フォークソング集で初めて登場した曲をベースに作曲したもの。初めて聴いた曲。

3. Ding Dong! Merrily on High - Herz und Mund und Tat und Leben, BWV 147: Jesu, bleibet meine Freude (Jesu Joy of Man's Desiring) (arr. C.M. Taylor for piano)
2つの曲をつなぎ合わせた面白い編曲。
バッハの超有名なカンタータBWV147《主よ、人の望みの喜びよ/Jesu, bleibet meine Freude》と、キャロル《ディンドンほがらかに/Ding Dong! Merrily on High》の旋律を合体させた編曲。
全然違う曲なのに、不思議と違和感なく違う旋律がパッチワークのように繋ぎ合わされて、これがとても素敵な曲に聴こえてくる。
編曲の発想がとても面白くて、他のアルバムではたぶん聴くことができないという点で、このクリスマスアルバムの魅力の一つ。

4. Quiet Night (for Jeffrey Biegel)(Gregory Sullivan Issacs)
とてもゆっくりとして静けさ漂う《きよしこの夜》。夜も更けて雪が静かにしんしんと降る聖夜の雰囲気。
これも2つの曲の旋律を使っているらしく、クリスマスキャロル《飼い葉桶の中で/Away in a manger》と《Silent Night》。
英語の歌詞は、"星は、飼い葉桶の中で寝ている小さなイエスを照らす"という、キリスト誕生を歌ったものらしい。
右手が弾く《Silent Night》の旋律の後ろで、時折、和音がしんしんと降り落ちてくるような、静かで厳粛な雰囲気。

5. The Christmas Song, "Chestnuts Roasting On An Open Fire" (arr. J. Biegel for piano)
《ザ・クリスマス・ソング/暖炉では 栗の実が焼け》。ジャズ・ピアノ風の曲。《Quiet Night》と同じく、静けさに満ちた曲。
かなり有名な曲らしく、確かに聴いたことはあるような...。

6. Fetes de Noel (Svyatki), Op. 41: No. 3. Chanteurs
これはとっても楽しげなクリスマス・ノエル。Chanteurs de Noel。
ロシアの作曲家リャプノフのピアノ組曲《降誕祭/Fetes de Noel(Svyatki)》(1910年)より第3曲"Chanteurs de Noel"。

7. The Nutcracker, Op. 71 (arr. for piano): I. Miniature Overture: Allegro giusto
8. The Nutcracker, Op. 71 (arr. for piano): III. Dance of the Sugar-plum Fairy
9. The Nutcracker, Op. 71 (arr. for piano): IV. Russian Dance, "Trepak"
チャイコフスキーのバレエ音楽《くるみ割り人形》から、合計3曲。編曲はStepan Esipoff。
オープニング曲らしく明るく軽快な"Miniature Overture"、密やかなで不思議な雰囲気の妖精のダンス"Dance of the Sugar-plum Fairy"、フィナーレのように快活で軽やかなRussian Dance, "Trepak"。
《くるみ割り人形》の音楽は不思議とクリスマスに良く似合う。

10. Aus der Jugendzeit, Op. 17: No. 9. Weihnachtstraum
ドイツの作曲家マックス・レーガーの《Aus der Jugendzeit/若き日々より》より第9曲"Weihnachtstraum/クリスマスの夢"。
《きよしこの夜》の旋律を編曲したもので、旋律と和声の清楚な美しさは、あの重厚長大な作品群で有名な巨漢のレーガーからは想像もつかないくらい。
レーガーは膨大なピアノ独奏作品を残していて、有名な重音オンパレードで複雑極まりなく演奏至難の変奏曲が有名。
それ以外には、ブラームス風の小品が多数。
このクリスマスアルバムでは、《きよしこの夜》の編曲版が全部で3曲。そのなかでレーガーの編曲が最もオーソドックスで美しい編曲だと思う。

11. Yolka, Op. 21, "The Christmas Tree" (arr. for piano): Yolka (The Christmas Tree), Op. 21: Waltz (arr. for piano)
ウラディーミル・レビコフ音楽劇《Yolka/ヨルカ》から、"ワルツ"。
《Yolka》とは"クリスマス・ツリー"のこと。
下降する重音の旋律がとても美しい曲。

12. Les saisons (The Seasons), Op. 37b: XII. December: Christmas
チャイコフスキーの有名なピアノ組曲《四季》より、"12月:クリスマス"。

13. In the Bleak Midwinter - 3 Etudes de concert, S144/R5: No. 3 in D flat major, "Un sospiro" (arr. C.M. Taylor for piano)
これも2つの曲の旋律を組み合わせた編曲。
リストの《三つの演奏会用練習曲》の第3番"Un sospiro/ため息"と、イギリスの有名なキャロル《In the Bleak Midwinter/冬のさなかに》の2曲。
キャロルの作曲はグスタフ・ホルスト、作詞はChristina G. Rossetti。
この曲を聴いていると、ドヴォルザークの交響曲第9番《新世界にて》の有名な旋律(日本では"遠き山に日は落ちて"、または"家路"で知られている)にところどころ似ている。

14. Silent Night (arr. N.G. Lienhard for piano)
これでアルバム中3曲目になる《きよしこの夜》のピアノソロ編曲。
少し不協和音がかった和声が独特の響きがして、とても現代的。ジャズ風の編曲に聴こえる。

15. Christmas is a 'Coming (and the Geese are Getting Fat) (arr. S. Calderone for piano)
マザーグースの有名なクリスマス・キャロル《Christmas is coming》を元にした曲。
ビング・クロスビーが歌っているので有名らしい。

16. Hark the Herald Angels Sing (in the style of Beethoven) (arr. D. Sosin for piano)
Hark! the Herald Angels Sing
賛美歌98番「天(あめ)にはさかえ」をベートーヴェン風にピアノ編曲。
たしかに、ベートーヴェンのピアノ作品を連想するような和声や分散和音が出てくる。
かなりファンタスティックなべートーヴェンといった感じ。
最後に出てくるのは、多分、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ(?)か何かのフレーズだった気がする。

17. Weihnachtsbaum, S186/R71: III. Die Hirten an der Krippe (In dulci jubilo)
フランツ・リストの《Weihnachtsbaum/クリスマス・ツリー》は、クリスマス・キャロルからの編曲が数曲を含むピアノ組曲。
第3曲は、クリスマス・キャロルを元にした"Die Hirten an der Krippe/飼葉桶のそばの羊飼たち"。
明るく軽やかな雰囲気で、リストにしてはシンプルな和声が美しい曲。
ところどころ聴いたことのある有名なクリスマス・キャロルの旋律が聴こえてくる。

18. Bring a Torch - I Saw Three Ships (arr. S. Calderone for piano)
16世紀のプロヴァンス舞曲と17世紀の英国のキャロルを融合した曲。

19. Christmas Lullaby (arr. J. Biegel for piano)
2001年作のAnn Hampton Callawayの《Christmas Lullaby/クリスマス・ララバイ》。

20. My Grown-Up Christmas List (arr. J. Biegel for piano)
1992年にデイヴィッド・フォスターが作曲(歌詞はLinda Thompson-Jenner)した《My Grown-Up Christmas List》。
デイヴィッド・フォスターといえば、"THE SYMPHONY SESSIONS"をよく聴いていた。
このアルバムに収録しているのは、ピアノを弾いているジェフリー・ビーゲル自身が編曲したピアノソロ。

フォスターの原曲を一番初めに歌ったのがナタリー・コールらしい。
Youtubeの映像は、シャリースのロックフェラー・センターでのライブ。
シャリースの名前も歌も聴いたのは初めて。ピアノ伴奏は作曲者のフォスター自身。
シャリースの歌も素敵だし、ピアノソロはそれとは違った味わいで、これも同じくらいに素敵な編曲。

CHARICE PEMPENGCO: My Grown up Christmas List at Rockefeller 30Nov2010



21. Auld Lang Syne (arr. J. Biegel for piano)
言わずと知れた《蛍の光》。変奏曲風なピアノソロ。最後にこの曲を聴くと、やっぱりお別れの気分。


tag : レーガー フランツ・リスト

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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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