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レーゼル&マズア/ゲヴァントハウス管 ~ メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲第1番(ライブ録画)
ペーター・レーゼルがとても珍しいライブ映像で弾いているのは、メンデルスゾーンの《ピアノ協奏曲第1番》。
伴奏は、クルト・マズア指揮ゲヴァントハウス管弦楽団。
マズアが1991年にNYフィルへ移る前か、その後に古巣のゲヴァントハウス管で客演指揮していた時の映像か、どっちかな?
今は66歳になるレーゼルの容姿も随分若くて、50歳前後? ヘアスタイル(御髪のカラーは違うけど)やお辞儀の仕方は、最近の東京公演の時と変わらない。

レーゼルのレパートリーは古典から現代まで幅広い。録音が残っているロマン派のピアノ協奏曲はシューマンとチャイコフキー。
メンデルスゾーン、ブラームス、ショパンのコンチェルトはスタジオ録音がない。
ブラームスのピアノ独奏曲集の録音はあるのに、2曲のピアノ協奏曲の方は録音していないというのは、ちょっと不思議な気がする。第2番だけは、ライブ録音がマイナーレーベルから出ている。

メンデルズゾーンの協奏曲といえば、何と言ってもヴァイオリン協奏曲が名曲中の名曲。
ピアノ協奏曲は2曲あり、最近は若手ピアニストが録音しているのを何回か見かけた。
それほど有名な曲とは言えないけれど、速いテンポで鍵盤上を駆け巡る曲なので、指回りが良い人でないと、全く様にならないピアニスティックな曲。

この曲の名盤といえば、私がすぐに思い浮かべるのは、カツァリスとルドルフ・ゼルキンのスタジオ録音。
カツァリスは優美、ゼルキンは力強くて男性的。聴けばすぐに違いがわかる。
ゼルキンは、このコンチェルトでたしか12歳頃にドイツでデビューしたはずなので、昔から得意にしていたレパートリー。
60歳代くらいのゼルキンが弾いていたライブ映像を見ると、テンポは速かったけれど、ミスタッチが目立っていた。
どちらかというと、このコンチェルトは指回りの良さに自信のある若手ピアニスト向きの曲という気はする。

Piano Ctos 1 & 2 / Violin Cto: Essential ClassicsPiano Ctos 1 & 2 / Violin Cto: Essential Classics
(2002/01/30)
Ormandy, Columbia Symphony Orchestra, Rudolf Serkin, Philadelphia Orchestra,Stern
視聴する(米amazon)


                         

レーゼルのピアノを弾いている姿は、最近のベートーヴェンのピアノ・ソナタリサイタルを放映したNHK-BSの録画で見たことがある。
今も昔も演奏する姿は全く同じ。背筋を伸ばして、ほとんど上半身を揺らすことなく、安定した姿勢。
手の形や打鍵ポイントもほぼ一定で、指の移動に全く無駄な動きがなく、どんなパッセージでも滑らかな指捌きと軽やかなタッチが鮮やか。指先の微妙なコントロールで、タッチもソノリティも自在に変わる。
低い位置から打鍵しているにしては、音に力感があり、音量も大きく、切れ良く聴こえるところがほんとに見事。
1970年代~80年代の録音を聴いても、安定した精密な打鍵と多彩なソノリティで、技巧優れたピアニストだったのがすぐわかる。
ずっと若い頃から、大仰なパフォーマンスをすることなく、こういう演奏姿勢で技術を磨いてきたに違いない。

このメンデルスゾーンのライブ映像でも、技巧優れた人だけあってミスタッチもほとんどないし、淡々楽々と弾いている様子。
力感のあるタッチは、ゼルキンと同じような男性的な力強い"剛"のタイプの演奏。
ライブではかなりテンションが高くなるゼルキンは、全身を使ったような演奏スタイルで、演奏自体にも溌剌とした躍動感がある。
レーゼルの方は、メカニックが精密で切れ良く、和音でも全ての音がよく鳴って、左手もよく効いているので、安定感とかっちりとした構成感がある。もともと音が澄んでいて綺麗なので、叙情的な旋律になるとさらりとした表現が清々しい。


3楽章が全てアタッカでつながり、楽章の切れ目にあたるところで、トランペットの独奏が入るのですぐわかる。
第1楽章と第3楽章は、鍵盤上を高速の細かいパッセージで駆け回り、特に第3楽章はフィナーレらしく、とても華やかでピアニスティック。
レーゼルは、動きの少ない指や腕でも、音の切れが良く、力感もあり、力強くも軽快な弾きぶり。
アルペジオは軽やかなレガートだし、左手8度の跳躍が続くところもバタつくこともなく軽やか。
どんなパッセージでも、肩に力が入っているような様子もなく、流麗で淀むところがないのがとても鮮やか。


ピアノ協奏曲第1番(第2楽章と第3楽章)は、20:47~。(なぜか第1楽章がないけど)
MENDELSSOHN MATINEE des Gewandhausorchesters, 1997. Moderation: Sir Peter Ustinov (0:57 HD)



<関連記事>
 ゼルキン~メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲

 スティーブン・ハフ~メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲第1番




tag : メンデルスゾーン レーゼル

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No title
Yoshimiさん、こんにちは。
偶然ですが、私も最近このピアノ協奏曲を聴いてたところでした。
私が持ってるのもクルト・マズア指揮ゲヴァントハウス管弦楽団なんですが
ソリストはカツァリスです。
以前、曲を全然知らずに中古で出てたのを入手したんですけど
とても華やかで、カツァリスによく似合う曲だなあと思ってたんです。
ゼルキンの演奏は聴いたことがないのですが、レーゼルもいいですね!
やっぱり違いが分かりますね。
まだ聴いてる途中ですが、音がとても綺麗だし、テクニックも冴えてるし!
映像を見てても余裕ですね。
それほど難易度の高い曲を弾いてるようには全然見えません。(笑)

レーゼル、いいですね。
ブラームスのボックスとシャコンヌの入ったCDを持っていて
そちらもかなり気に入っています。
レーゼル、地味ながらもとても良いですね!
アリアさん、こんにちは。

アリアさんとは、同じ曲を聴いていることがよくありますね~。

>私が持ってるのもクルト・マズア指揮ゲヴァントハウス管弦楽団なんですが
>ソリストはカツァリスです。
私もCD持ってます。カツァリスのピアノは軽やかで華やかですね。
ピアノが軽快なのとは反対に、オケが重たくありませんか?
ゼルキンの録音と聴き比べていたら、それがとても気になってしまいます。

>レーゼルもいいですね!
そういって下さる方、珍しいですよ~。
レーゼルは一部の人には非常に高く評価されてますが、一般的には”地味”なイメージがあるようです。
まあ、演奏も外面的に派手...という人ではないですね。技巧は精密で、ヴィルトオーゾにありがちな弾き飛ばすようなところはなく、丁寧なタッチで音抜けもありません。
煌びやかなカラフルさはないですが、澄んだ音で色彩感も結構あるので、叙情感が清々しく感じます。

>映像を見てても余裕ですね。
>それほど難易度の高い曲を弾いてるようには全然見えません。(笑)
CDを聴けば技巧優れた人だとはわかりますが、映像で見るとそれが実感として、なおさらよくわかりますね。

>ブラームスのボックスとシャコンヌの入ったCDを持っていて
>そちらもかなり気に入っています。
私も持ってます。というか、レーゼルの録音はほとんど買いました。
BOXセット3種類とライブ録音中のベートーヴェンソナタ全集など。
シャコンヌの入ったCDというと、バッハ=ブゾーニの編曲集でしょうか。
あれも良いですね!"前奏曲とフーガ"(シャコンヌの次に入っている方)が特に好きです。
"シャコンヌ"は、重音が跳躍するフレーズで、スタッカート的に弾いているところがあって、いつもキーシンを聴いているせいか、ちょっと変わった弾き方に聴こえます。

彼の隠れ名盤は、プロコフィエフの"ピアノ協奏曲第2番"(これは凄い)と、ムソルグスキーの"展覧会の絵"のピアノ独奏版です。(特に<古城>が綺麗です。)
ラフマニノフのピアノ協奏曲全集がとても有名ですが、これは私にはよくわかりません。第2番以外は相性が悪いので。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集も、個々の曲をとりだせば他にも良い演奏はありますが、全集版としては、どの曲もムラなく完成度が高いですから、大きくハズレることはないでしょう。

レーゼルのピアニスト評を<鎌倉スイス日記>さんが書いてらっしゃいます。
http://suisse.exblog.jp/16961255/
この評の通り、べートーヴェンの"田園ソナタ"は、とても良かったです。(他のソナタもたいがい良いですけど)
いままで聴いた中では、方向性は違いますが、ソコロフのパリ・コンサートの録音と同じくらいに良かったです。
ソコロフはルバートを多用して起伏もいろいろあり濃い表現ですが、それとは正反対に、レーゼルはシンプルで自然な趣きがあります。
同じ曲でも、こんなに違う弾き方になるのかというのが、実感できます。

ソコロフのライブ映像はこちらです。お時間のあるときにどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=XvR-jUt3wd0
とても美しい"田園"です。何度聴いても惚れ惚れします。
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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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