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エマニュエル・アックス ~ ブラームス/ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
レーゼルのUHQCD盤『ブラームス:ピアノ独奏曲全集Ⅲ』を聴いたせいで、久しぶりに聴きたくなったのはエマニュエル・アックスのブラームス。
アックスのソロ録音のなかで好きなのは、シェーンベルクの《ピアノ協奏曲》、ベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第4番》、それにブラームスの《ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ》。

アックスは、ブラームスの《ピアノ協奏曲》と《後期ピアノ曲集》、《2つのラプソディ》も録音している。
ブラームス録音では、《ヘンデルヴァリエーション》の演奏が際立っていて、以前聴いた時よりもさらに素晴らしく聴こえる。
丁寧で精密な切れの良い打鍵と濁りのない響きですっきりとした構成感があり、変奏ごとにタッチと響きが多彩に変化する。
速いテンポと力業の必要な変奏でも、精密なメカニックと軽やかな打鍵で軽快。
変奏ごとに変わるタッチとソノリティが多彩で美しく、特にペダルを使ったときの響きの美しさは格別。ペダルワークが絶妙なせいか、残響が長く重なりあっても混濁することがない。
歌い回しも柔らかで情緒過剰なところはなく、情感細やかでロマンティック。
終盤の盛り上がり方が素晴らしく、荘重な響きとスケール感の大きさで圧巻。
この曲は好きなので、今まで結構聴いてきたけれど、私の好みから言えば、カッチェンとアックスが双璧。(それに次いで、若い頃のコヴァセヴィチ)

ブラームス : ヘンデルの主題による変奏曲とフーガブラームス : ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
(1992/8/21)
アックス(エマニュエル)

試聴ファイル(amazon.de)



(カップリングのOp118は霧のように響きが重なり、緩徐系の曲はわりと好きかも。《2つのラプソディ》の第1曲のように、疾風怒濤のようなパッショネイトな曲は、緩急をつけすぎて淀んでしまうところがあるので、好みとしては、もっとストレートに一気に弾きこんで欲しい気がする。)



「Aria」は軽やかなノンレガートがちょっと可愛らしい。続く第1変奏も軽快。
第2変奏・第5変奏などの緩徐系の変奏や、第11変奏・第18変奏など細やかなパッセージが続く弱音系の変奏は、ペダルを使って残響が長く重なっていくのに混濁感がない。優美な和声の響きと粘り気のない歌い回しの繊細さで、叙情美しく。
第6変奏はさらに残響が長く、靄が垂れ込めたように曖昧模糊とした柔らかい響きがとても幻想的。(弱音ペダルを使っている?)
弱音が続く第21・第22変奏もソノリティが鮮やかに変化する。
特に響きが美しいのが第22変奏。高音はオルゴールや鐘の音みたいにキラキラと煌いている。

和音移動が多い第4、第7、第10、第14変奏も、シャープなスタッカート気味のタッチで、軽やかだけど力感がある。(このスタッカートがかったタッチではあまり好きではないのだけど、これは単に好みの問題なので)
特にかなり力業のいる第4変奏は、速いテンポでも全然バタつかずに軽快。
量感がそれほど重くなくとも、芯のしっかりした音で力感と張りがあるので、軽いということはない。

第24変奏では、低音のスケールが波のようにうねって盛り上がっていく。
最初はゆったりとしたテンポでじわじわとクレッシェンドしていき、最後でペダルを踏み続けたパッセージは重厚で力強い。この勢いで次の変奏へ入っていく流れがとても滑らか。続く第25変奏は軽快なタッチで和音も濁りなく澄んだ響きで明るい。

最後のフーガも、揺るぎないテンポと打鍵で、じわ~とした圧力感で迫ってくる。
強弱の旋律が交代して進んでいくところは、タッチとソノリティの変化が明瞭で鮮やか。
終盤のフォルテの和音移動でペダルを踏むところでは、すっきりとした響きが幾重にも重なって荘重華麗。
何度聴いてもアックスの《ヘンデルヴァリエーション》は素晴らしい。


<参考情報>
ブラームスのヘンデル・バリエーションをアックスの演奏で聞く [鎌倉スイス日記]
私が初めてアックスの録音を聴くきっかけになったレビュー。実際に聴いてみると、本当にこのコメントの通りの素晴らしさだった。

tag : ブラームス アックス

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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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