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アックス/ヨーヨー・マ/パールマン ~ メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲集
最近、集中的に聴いているエマニュエル・アックスのCDから、今回はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲集。
アックスの室内楽といえば、ヨーヨー・マと録音した数々のチェロ・ソナタが有名らしい。
チェロ曲は最近聴き始めたばかりなので、室内楽曲でピアニストを中心に聴くなら、ヴァイオリンソナタかピアノトリオで。

Mendelssohn: Piano Trios Op 49 Op 66Mendelssohn: Piano Trios Op 49 Op 66
(2010/02/02)
Yo-Yo Ma,Emanuel Ax,Itzhak Perlman

試聴する(米amazon)


試聴した時から、テンポがゆったりで緩々しているような気はしたけれど、CDで聴いてみるとやっぱりその通り。
第1番の第3楽章の"Scherzo: Leggiero E Vivace"、第4楽章の"Finale: Allegro Assai Appassionato"という指定にしては、他の名盤と言われる録音に比べると、とっても穏やか。
第3楽章は軽快で尖ったところが少なくて、とても可愛らしい雰囲気。ここはもっと速いテンポで弾く人が多いので、かなり慌しい感じになりがち。
それと比べると、スピード感には欠けるけれど、地に足がついた落ち着きがあるので、逆にこれくらい優雅なタッチを聴くのが目新しくて良いかも。
第4楽章も冒頭からテンポがかなり遅く、それほどシャープなタッチでもないので、"Allegro assai appassionato"にしては物足りないといえば、そういう気もする。でも、この雰囲気に慣れてしまうと特に気になることもなく。

パールマンのヴァイオリンは、若い頃の録音ばかりを聴いていたせいか、この録音では音が痩せてダイナミックレンジも狭くなって、音に弾力と鋭さがなくなっている気がする。
ヴァイオリンがかなり目立つこの曲にしてはやや影が薄く、そのせいで、ヴァイオリンが突出することなく、逆に3つの楽器がほどよく調和しているように思えてくる。

このCDを聴く目的はアックスのピアノ。
メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲は、ピアノパートがかなりピアニスティックで技巧的な難しさのある曲。
アックスがまだ60歳頃の録音なので、テクニックはしっかりしていて、危なげないし、細部まで丁寧なタッチと表情の変化で、流麗で懐深く包み込むような叙情感が美しい。
軽やかで歯切れ良く、硬めの音とタッチのプレヴィンと比べると、アックスのピアノの音にはしっとりとした潤いがあり、やや残響が長めで、流麗な叙情感がある。
弱音はアックスの方がややフェルトが覆われたように柔らかい響き。フォルテでもバンバンと強打せず、ヴァイオリンとチェロの音を掻き消すことなく、響きが深くて厚みがある音色が心地良い。

ピアノパートはかなり細かなパッセージで動き回るので、テンポが速いとややバタバタとしがち。
アックスは細かいパッセージでも、丁寧に音を押さえていくし、表情づけが細やかでニュアンスが多彩。
ピアノが派手に動き回って目立ち過ぎることもないかわりに、控えめすぎることもなく、ヴァイオリンとチェロぴったりと調和させていくので、一番しっかりとした存在感があるような気がしてくる。

甘美な思い出を追憶するように美しく儚げな第2楽章。ピアノが高音で弾く主旋律がとても綺麗。
Piano Trio No. 1 In D Minor, Op. 49, Andante con Moto Tranquillo - F. Mendelssohn(Itzhak Perlman, Yo-Yo Ma, Emanuel Ax.)


アメリカのamazonのレビューはまずまず良いけれど、面白いのは、「テンペラメントを期待してはいけない」とか、「seasoned and relaxed」(Seasoned;手馴れた、熟練した、老練した、枯れた)とか、評している。
それもなるほどと思うほどに、ハイテンションな演奏を期待すると、肩透かしを食うことになる。
悠々とした川の流れのように、肩肘張らずに自然体でしなやか。
メンデルスゾーンらしい優雅で穏やかで節度のある品の良さで、これはこれで、流れるような叙情がとても綺麗。
テンポが遅いことと、ヴァイオリンが相対的に弱いせいか、丁々発止と掛け合うのような演奏ではないので、ピアノパートが細部の表情から微妙な音のニュアンスまでよく聴きとれる。
数ある名盤のようなテンションの高さや緊迫感は薄いので、そういうものを期待すると物足りなくなるだろうけれど、流麗で優雅で落ち着いた品の良い叙情感が美しくて、この緩々とした雰囲気に慣れてしまうと意外に心地良い。


tag : メンデルスゾーン アックス パールマン

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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