カッチェン ~ ローレム/ピアノ協奏曲第2番(1954年初演のライブ録音) 

2011, 11. 28 (Mon) 18:01

またYoutubeで発見したカッチェンのレア音源は、ネッド・ローレムの《ピアノ協奏曲第2番》。
この曲は、アメリカ人作曲家のローレムが戦後パリに住んでいた時、1951年に作曲したもの。
戦後間もない頃、パリに住んでいたアメリカ人の演奏家は結構いたらしく、カッチェンの友人グラフマンやレオン・フライシャーもパリに滞在していた。
この曲のNAXOS盤の作品解説によると、同じくパリを拠点に演奏活動をしていた友人のカッチェンのために書かれた曲。
1954年に、カッチェンのピアノ、ジャルディーノ指揮フランス国立放送管弦楽団の伴奏で初演されている。

ピアノ協奏曲第2番の録音は、今のところ2006年8月にNAXOS盤のみ(のはず)。
これは、サイモン・ムリガンのピアノ、ホセ・セレブリエール指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の伴奏で、世界初録音。
数年前に書いた記事”ネッド・ローレム/ピアノ協奏曲第2番"で、「初演はカッチェンがピアノを弾いたそうだけれど、ライブ録音が残っていないのはとても残念」と書いていた。
その初演のライブ録音が残っていたなんて、本当にびっくり!
Youtubeの音源はラジオ放送をそのまま録音したものらしく、録音音質はかなり悪いし、雑音も入っているけれど、それでも全く録音がないのとは全然違う。
そんな古いテープが残っていたのはほんとに運が良いし、歴史的資料として貴重。
音質の良いNAXOS盤の録音があるので、あらかじめそれを聴いておくと、どういう曲かわかっているので、聴きにくさがかなり緩和される。
記憶の中に残っている音を使って、脳が聴きずらい部分の音を補強してくれているのかも。



スタジオ録録音と初演のライブ録音の演奏時間を比べると、全体的に初演のテンポが速い。
NAXOSのスタジオ録音は、聴いていてもテンポが遅めな感じがする。(特に第3楽章の遅さが気になる)

NAXOS盤スタジオ録音 15:58/12:32/5:43 (34:34)
初演ライブ録音      11:25/09:55/4:30 (約26分)

この曲は指回りの良いカッチェンを念頭に書かれた曲なので、アタッカで演奏される第1楽章と第2楽章はピアニスティック。
音がキラキラと輝き、淀みなく流れて、とても華麗。
緩徐部分は透明感のある瑞々しい情感が美しく、カッチェンの明晰で叙情豊かなピアニズムが映えている。

全楽章を通してラヴェルのピアノ協奏曲を連想させるような旋律と和声が頻繁に現れて、ときどき出てくるジャジーなところはガーシュウィン風。
それに加えて、第1楽章と第2楽章の軽快で諧謔な曲想のところで、時々プロコフィエフのピアノ協奏曲に似た感じがする。

第1楽章の冒頭はプロコフィエフの初期のピアノ協奏曲に似ている。
その後はまるでラヴェルの《ピアノ協奏曲》を聴いているような錯覚がするほど、良く似ている。
時々、ジャジーな旋律が聴こえてくるところはガーシュウィン風。

第3楽章は、打って変わって、冒頭から指示通り速いテンポでオーケストラとピアノが協奏していく。
NAXOS盤は、ピアニストの技巧的な問題のためか、細かいパッセージで特にもたもた感があり、とても"Real Fast"には聴こえない。
さすがに速いテンポで音に切れのあるカッチェンの初演で聴くと、すっかり印象が変わり、舞うように軽やかで華麗。
ラヴェル風の雰囲気が薄れているけれど、時々前の楽章の主題の回想が出てきたする。
ピアノが弾く細かい高速のパッセージはとても軽妙で、どことなく洒落たユーモアのある感じ。
ガーシュウィンのピアノ協奏曲のように、管楽器があちこちで突発的に騒ぎ出して賑やかだし、ラストでの管楽器での締めくくり方もアメリカの音楽を聴いているような雰囲気。

《関連記事》

 ネッド・ローレム/ピアノ・ソナタ第2番 ~ 『Julius Katchen: Decca Recordings 1949-1968』より

 ネッド・ローレム/ピアノ協奏曲第2番

 『ジュリアス・カッチェンにまつわるお話』

 ジュリアス・カッチェンのディスコグラフィ


タグ:ローレム カッチェン

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

0 Comments

Leave a comment