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ブラッド・メルドー 『Largo』
カルテット以上の多楽器編成の曲は得意ではないので、ブラッド・メルドーの人気アルバム『Largo』も数回聴いただけでラックの奥で眠っていた。
聴き直したくなったのは、kenさんの<Kanazawa Jazz days>"Brad Meldau: Largo (2002)"の記事を読んだので。

LargoLargo
(2002/08/12)
Brad Mehldau

試聴する(米amazon)


多楽器編成の曲を聴くときは、まず音色で好き嫌いが分かれる。
音色と曲想はかなり関連しているので、好きな曲で使われている楽器を見ると、やっぱり音色が好きな楽器が多い。
特にアコースティック系の音は耳触りもよくて、心地良い。
例外的なのは、《Medley:Wave/Mother Nature's Son》。シンセやらエレクトリック楽器が多いけれど、ヴィブラフォンの音がくっきり鮮やかでとても綺麗。

アルバム収録曲12曲のうちで、気に入ったのが次の7曲。
"Franklin Avenue"と"Dear Prudence"は、凄く好きというほどではないけれど、BGMやぼ~として聴くのにはちょうど良い。
どの曲も、ピアノが埋もれることなく、しっかりした存在感。今まで聴いたことのあるビッグバンドとかの曲とは全然違う。
バックの多彩な音色とリズムにのって、ピアノパートが引き立っている。
ピアノソロやピアノ・トリオとは違った音のタペストリーを聴いているようで、久しぶりに聴いてみると、印象が全然違っていた。

1.When It Rains


木管系の音が入っているせいか、ちょっと黄昏がれた雰囲気のメロディで始まる。
爽やかで温もりのある"雨"がしとしと振っているようで、何かが浄化されるような清々しさ。
イントロ部分が終ると、ブラス系の楽器は通奏低音のように、それぞれ持続音を鳴らして、その上をピアノ・トリオが演奏。
普通のトリオとちがって、音の種類と厚みが増え、トリオを柔らかく包むような感じがして、とっても心地良い。

(Piano,Acoustic Bass,Drums,Flute,Clarinet,Oboe,Bassoons)

5.Paranoid Android
メルドーはRADIOHEADがとても好きらしく、このアルバムでも《Paranoid Android》をカバーしている。
ピアノソロバージョンは、ソロアルバム《Elegiac Cycle》にも収録していて、これはとても好きな曲。
聴き比べてみると雰囲気がかなり違っているけれど、この編曲も面白い。
ピアノソロは哀感漂う"Paranoia"といった趣きで、澄んだピアノの響きが美しく叙情的。
多楽器バージョンは音色が多彩でimagitive。エレクトリック系の音やリズミカルなところは、アンドロイドっぽいメカニカルな感じが出ている。"Paranoia"風の錯綜感はあまりないけれど。

後半は、一転して静かで淡々としたリズムと、濃淡のある叙情的な旋律と和声。
ピアノが弾く主旋律は、長調と短調が混在し、穏やかで透明感のある明るさのなかに、androidの哀しさが伝わってくるように儚げ。
最後は、調子の狂ったような冒頭部分がほんの少し回顧的に現れてエンディング。



(Piano,Acoustic Bass,Drums,Prepared Piano,French Horns,Trombone,Bass Trombone)


6.Franklin Avenue
(Piano,Acoustic Bass,Drums,Vibes,French Horn,Trombone,Bass Trombone)

8.Dear Prudence
(Piano,Acoustic Bass,Drums,Percussion,Shaker)

10.Alvarado
New Age風なところが面白い。
Table Percussionのリズム感とパタパタという響きが、プリミティブで祝祭的な空間を連想させる。
ピアノが弾く少し魔術的(?)なオドロオドロしい旋律が絡み合って、摩訶不思議な雰囲気。

(Piano,Acoustic Bass,Electric Bass,Drums,Percussion,Table Percussion,Prepared Piano)

11.Medley: Wave/Mother Nature's Son
いつになってもピアノが登場しないなあと思って、演奏者を確認したら、ヴィブラフォンを弾いているのはメルドー。
苦手なシンセとかエレクトリック系の楽器が入っているのに、この曲は音が柔らかくて耳に優しい。
主旋律のヴィブラフォンの音が耳に残って、中和しているのかも。
軽快なリズム感とスピード感が爽快。特に、クリスタルグラスのような質感のあるヴィブラフォンの音色が明るくて爽やか。

(Vibes,Guitar (Synthesizer),Chamberlin,Acoustic Bass,Electric Bass,Electronics,Drums)


12.I Do
"回想調"のような内省的な雰囲気と、しっとりとした叙情感は、アルバム最初の"When It Rains"と対のよう。
時々ピアノの背後で、管楽器が通奏低音のように流れているけれど、大半はピアノソロ。
冒頭のピアノソロが弾く素朴で飾り気のない旋律は、穏やかで親密な感じ。
途中から不協和音の和声が入ったり、左手が同一音をオスティナートして、水面が波打つように、穏やかさがかき乱されていく。
ショパンの"雨だれエチュード"をちょっと思い出させるような...。

(Piano,Flute,Oboes,Clarinets,Bassoons)


tag : ブラッド・メルドー

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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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