大西順子トリオ ~ Blue Skies(live at the Village Vanguard) 

2012, 01. 08 (Sun) 22:00

2000年に引退した(PR用プロフィールでは「休養宣言」ということになっているらしいけど)ジャズピアニストの大西順子が、数年前にカムバック。
ジャズハウスのライブ情報で名前を見かけてから、ときどきライブで演奏をしているという話を聞いていた。
※公式ホームページを見ると、なぜか今月のライブが中止になって、今はライブの予定を入れていないらしい。どうしたんでしょう?

カムバック後の初アルバム『楽興の時』、第2作『バロック』と、2枚のアルバムがリリースされて、本格的に復帰。
2作とも評判はかなり良さそうだけれど、試聴しても、プロモーションビデオを見ても、どうもピピっと来るものがないので、未聴のまま。
カムバック後のタッチは、昔のような力感と骨太さが薄くなり、逆にパッセージワークが流麗になって洗練された印象を受けるので、昔の演奏に通じるものを期待してしまうと、ちょっと違うような...と思えるせいかも。

以前の録音なら、好きな曲を聴くとゾクゾクっとくるものがあり、たとえ好みとは違う曲でも彼女のピアノ演奏はどれも楽しめた。
マルカート気味の太く鍵盤に吸い付くようなタッチが独特で、どことなくクラシカルな雰囲気が漂う旋律や、右手で鍵盤上を縦横無尽のごとく動き回る弾きぶりがとっても颯爽。
音色は多彩とは言えないけれど、右手だけで、または両手のユニゾンで、ゴリゴリと弾いていくシンプルな旋律&リズム感(時間感覚という人もいる)と、和音を使ったときの重層的な力強さがとても格好良くて。
特に、時々入ってくる左手低音の和音の太く弾力のある響きが凄くダンディな感じ。
好きなバイラーク、メルドー、小曽根とは違うタイプだけれど、なぜか私の波長にぴったり。
気に入ったオリジナル曲やアレンジした旋律は印象的なものが多くて、記憶にすっかり刷り込まれて、すぐに思い出せてしまう。

一番好きで、よく聴いていたのが『ビレッジ・バンガードの大西順子』の《HOW LONG HAS THIS BEEN GOIN' ON》と、『セルフ・ポートレイト』(ベスト盤)の《EulogiaⅡ》

彼女のアルバムの中で一番好きな曲が多いのが、このライブ盤『ビレッジ・バンガードの大西順子』。
どの曲もピアノの存在感が強くて、アレンジも個性的で、何度聴いても楽しいアルバム。
ビレッジ・バンガードのライブ録音は、その後もう1枚リリースされているけれど、この最初のライブ録音の方がずっと印象的。

《HOW LONG HAS THIS BEEN GOIN' ON》は、どうやらスタンダート曲らしい。
旋律はスタンダート風なわかりやすさはあるけれど、原曲を探して聴いてみても、あまり似たような曲とは思えないけど。

ビレッジ・バンガードの大西順子ビレッジ・バンガードの大西順子
(1994/09/21)
大西順子トリオ

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引退(休養宣言)前のベスト盤なので、初めてアルバムをどれか1枚聴くならこれが良いかも。
《EulogiaⅡ》だけが、新バージョン。『Crusin’』には《Eulogia》が収録されているけれど、演奏時間も演奏内容もいろいろ違っている。
『セルフ・ポートレイト』の《EulogiaⅡ》の方が演奏時間が長く、冒頭のピアノソロが綺麗。それにピアノの切れと勢いも良くて、いつも聴くのは《EulogiaⅡ》。

セルフ・ポートレイトセルフ・ポートレイト
(1998/04/29)
大西順子

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《Blue Skies》は、ビレッジ・バンガードのライブ録音に収録されている。
アーヴィング・バーリンの有名な曲で1926年作曲、1946年に同名の映画『ブルースカイ』が公開され、Count BasieとBenny Goodmanの2つのバージョンがともにトップチャート入りしたという。[英文Wikipediaの情報]

この曲は、映画『STAR TREK: NEMESIS』で使われていて知ったもの。(ラストで死んでしまったアンドロイドのデータが持っていた"何か"が、機能的に劣るプロトタイプのデータの中に残っているのではないかという、希望の象徴として使われていた。)

歌自体が凄く好きというわけではないけれど、このライブ録音の《Blue Skies》はとっても好き。
いつものような骨太ゴリゴリといったピアノではなく、軽やかなタッチで明るく爽やかな"もの哀しさ"が漂っているところが何ともいえない良い感じ。

Junko Onishi Trio - Blue Skies





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