吉松隆 ~ 大河ドラマ『平清盛』 

2012, 02. 01 (Wed) 18:00

クラシックの作曲家である吉松隆が初めてNHK大河ドラマの音楽を担当した『平清盛』。
TVは見ないし、最近は吉松ブログをチェックしていなかったので、そんなことになっていたとは露知らず。
<直仁の「善き人のための」研究室>さんのブログ記事で紹介されていて、初めて知ったのだった。
作曲家として駆け出しの頃、音楽コンクールに度々応募しては落選し続けていたそうだから、彼もメジャーな作曲家になったものだと、ちょっと感慨深いものが...。


大河ドラマ「平清盛」音楽制作メモ [吉松隆 交響曲工房]
『平清盛』の音楽の作曲過程が作曲者のホームページ<吉松隆 交響曲工房>に載っている。
(左側のメニュー:[月刊クラシック音楽探偵事務所] - [2012/01/10 大河ドラマ「平清盛」音楽制作メモ])

彼自身、そもそもテレビドラマの仕事が初体験で、映像関係の仕事も数年前に映画『ヴィヨンの妻』の音楽を担当したことがあるのみ。
「NHK最大の看板番組の音楽を一年間まかせるにしては、あまりに「未知数」かつ「ど素人」である。NHKとしてはかなり(それこそ清水の舞台から飛び降りるような…(^_^;)「冒険」だったに違いない。」と、自ら言っている。(本当にその通りかも)
制作メモには、平清盛に関する情報収集とゆかりの地めぐり、音楽のイメージ・コンセプト作り、作曲過程、メインテーマと劇中音楽の演奏収録など、舞台裏がいろいろ書かれていて面白い。

メインテーマを聴くと吉松サウンドがいっぱい。
特に冒頭導入部の透明感と静謐な音楽の美しいこと。
途中でロック風のアクション映画のような勇壮な曲想に変わるが、これがなかなか格好いい。
変拍子を使っているのか、ときどきちょっとリズムがとりにくい。
ドラマのあらすじを紹介した動画を聴いていると、吉松の交響曲作品で出てくるような旋律やリズム、ガーシュウィンの《ピアノ協奏曲》を思い出すようなリズムのトランペットとか、いろいろ馴染みのある音楽が聴こえてくる。
昔見ていた大河ドラマは、もっと雅楽風というか、クラシカルなタッチだったような気が..。
最近の大河ドラマは、こういうロック風な音楽が多くなっているんだろうか。
「今回の「平清盛」の世界は、雅楽や箏が鳴り響くような「雅な平安時代」ではなく、ダイナミックでプログレッシヴ(先鋭的)な世界=《平安プログレ》がテーマ」ということらしい。

平清盛 メイン・テーマ[Youtube]


劇伴のなかで使われている既存作品は、キース・エマーソン&グレッグ・レイク作曲、吉松隆編曲、東京フィルハーモニー演奏の「タルカス」。
それに、吉松隆の初期作品《5月の夢の歌》の旋律(ピアノ演奏は舘野泉さん)。
普通、既存作品を大河ドラマで使うことはしないらしいが、NHK側の要望で、最終的に使うことに決めたという。
どこに使われているのかよくわからないけど。サントラを聴いたらわかるかも。


「タルカス」のオーケストラ版のライブ録音が全曲Youtubeに登録されている。
原曲はもちろん、編曲版も初めて聴いたけれど、とってもカッコイイ曲。

Tarkus : Eruption ~ Mass ~ Manticore ~ Battlefield ~ Aquatarkus 
ELP EL&P Keith Emerson (arr.Takashi Yoshimatsu)




原曲はこちら。
Emerson, Lake & Palmer - Tarkus [Full Song] (Youtube)


こちらの録音は、《4つの小さな夢の歌》全曲。
演奏は、ピアニストで指揮者でもある内藤晃さん
冒頭の曲が"春:5月の夢の歌"。他の3曲は、"夏:8月の歪んだワルツ" "秋:11月の夢の歌" "冬:子守唄"。

吉松 隆/4つの小さな夢の歌/演奏:内藤 晃



さらに、大河ドラマの本編の後に放送される「紀行」で、当初3ヶ月間流れているのは「夢詠み」。
原曲は、吉松自身が二十絃ソロのために書いた《夢詠み》の第1曲"壱の夢"。
(ピアノ:舘野泉さん、ヴァイオリン:木嶋真優さん、藤岡幸夫指揮東京フィル(弦楽セクション)の演奏)


《平清盛》のサントラは、2月1日発売。
NHK大河ドラマ《平清盛》サウンドトラックNHK大河ドラマ《平清盛》サウンドトラック
(2012/02/01)
NHK交響楽団, 舘野泉(Piano), 藤岡幸夫(指揮)他

試聴する



「吉松隆 作曲家」(音楽事務所ジャパンアーツ)
「平清盛」チーフ・プロデューサーの磯智明氏の話。
ドラマの音楽を誰にまかせるか思案していたとき、吉松隆については、劇伴をほとんど書いたことのないクラシックの作曲家なので不安があったという。
最近の大河ドラマの音楽は、テレビドラマ音楽の第一線で活躍した作曲家ばかりで、計算と経験がものを言う世界。
結局、「清盛のように、常識を捨て、吉松さんの才能に賭けてみようと思い、決断」。やっぱり、吉松隆本人が言っている通り、NHKにとっては大冒険だったようだ。
『平清盛』のメインテーマを録音した際のエピソードも紹介されている。
CDの録音はN響の演奏。クラシックオケの演奏者と、ロックをオーケストラに編曲してしまうセンスを持っている作曲者では、曲に対する感覚のズレがあったらしい。



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