『セルジオ・フィオレンティーノ・エディション Vol.1:ベルリン・レコーディングス 1994-97』

HMVの新譜情報をチェックしていたら、『セルジオ・フィオレンティーノ・ザ・ベルリン・レコーディングス』の紹介文~かのミケランジェリが「彼は私以外の唯一のピアニストである」と評した~が目に入ってきて、興味を惹かれたので、フィオレンティーノについてちょっと調べてみることに。

セルジオ・フィオレンティーノ(Sergio Fiorentino)は1927年生まれで、すでに1998年に亡くなっているイタリア人ピアニスト。
プロフィールを読むと、若い時に飛行機事故で背骨(らしい)を痛めたことから、1950年代後半にはコンサートピアニストとしての演奏活動はイタリア国内で数少ない演奏会を行うくらいになっていった。
60歳半ばも過ぎた1993年に音楽院の教職から退き、再びイタリア国外でのコンサート活動を再開して、カムバックした。

プロフィール[Wikipedia]

SERGIO FIORENTINO[www.fortepianos.org]
  ディスコグラフィ音源ダウンロード(MP3/MPEG)[一部は、ライブ演奏の音源]、レビュー、写真集など。

第10回 フィオレンティーノ/曲:フォーレ:「夢のあとに」(ルイ・レーリンク)[ピティナ]

"Sergio Fiorentino The Early Recordings"(Volume One~Three)のレビュ記事 [フランツ・リストに花束を]

セルジオ・フィオレンティーノ[ピアノ音楽名盤選]


『Sergio Fiorentino Edition Vol.1 :The Berlin Recordings』は、Piano Classicsから先月リリースされた10枚組BOXセット。
元の音源はイギリスのAPR盤『Fiorentino Edition』シリーズ。1994-97年のデジタル録音。
収録曲は、シューマン、リスト、ショパン、シューベルト、ラフマニノフ、スクリャービン、プロコフィエフ、バッハ(バッハ=ブゾーニ、バッハ=ラフマニノフの編曲作品もあり)など。

『Sergio Fiorentino Edition Vol.1 :The Berlin Recordings 1994-97』
Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1
(2012/01/10)
Fiorentino



収録曲リスト(http://www.piano-classics.com)
 - シューマン:幻想曲 Op.17
 - シューベルト:ピアノソナタ 第4番、第13番、第21番、即興曲 D.899
 - ショパン:ピアノソナタ 第3番
 - リスト:バラード 第1番、第2番、葬送、軽やかさ、森のささやき、ソナタ ロ短調
 - フランク:前奏曲 フーガと変奏曲、前奏曲 コラールとフーガ、前奏曲 アリアと終曲
 - スクリャービン:ピアノソナタ 第1番、第2番
 - ラフマニノフ:ピアノソナタ 第1番、第2番
 - プロコフィエフ:ピアノソナタ 第8番
 - J.S.バッハ:
   プレリュードとフーガ BWV532、BWV.552「聖アン」(ブゾーニ編)、
   フランス組曲 第5番、組曲より パルティータ 第3番 BWV1006(ラフマニノフ編)
   パルティータ第1番、第4番、ヴァイオリンソナタ 第1番(フィオレンティーノ編)
 - ドビュッシー:ベルガマスク組曲
 - スカルラッティ、モシュコフスキ、フォーレ(フィオレンティーノ編)、他

試聴ファイル(APR盤)
Boxセットの試聴ファイルが今のところアップされていない。元のAPR盤でかなり多くの音源が試聴できる。
APR盤の録音は、次の3種類。
このBOXセットに収録されているのは、『FIORENTINO EDITION』9巻分。それに新リリースらしきCD1枚の合計10枚。
 『FIORENTINO EDITION』 Vol.I~IX
 『Sergio Fiorentino in Germany, 1993 Live Recordings』(2CD)
 『SERGIO FIORENTINO The Early Recordings』 Vol.1~6

 - The Fiorentino Edition 1: Prokofiev,Rachmaninov,Scriabin
 - The Fiorentino Edition 2: Chopin, Schubert
 - The Fiorentino Edition 3 :Rachmaninov, Scriabin
 - The Fiorentino Edition 4: J. S. Bach, Volume 1
 - The Fiorentino Edition 5: J.S. Bach, Volume 2
 - The Fiorentino Edition 6: Schumann
 - The Fiorentino Edition 7: Schubert / Sonatas Nos. 4 & 13; 4 Impromptus
 - The Fiorentino Edition 8: Liszt/ Sonata, Ballades Nos. 1 & 2, Funérailles
 - Franck: Prélude, Fugue et Variation; Prélude, Chorale et Fugue; etc.

プロフィールや逸話がどれだけ興味を引いても、CDを買うかどうかは演奏次第。
試聴ファイルとYoutubeのライブ映像などを聴いてみると、これがとっても面白い。
残響が多いせいか、和声が豊かに響き、ルバートがかった歌心のあるフレージングにはいろんな想いがしっかりつまっているよう。
今まで聴いたことのある曲が、どれもかなり違って聴こえてくる。
音色が煌くように輝いて華麗なのに、柔らかい響きのなかにはどこかノスタルジーを感じさせる心地良さがあり、嫌味が全然なくて、本当に品の良いピアノ。
それに演奏のなかにいつも優しさと暖かさが流れているような"体感"がする。

収録曲は、バッハを除いて、ショパン、ラフマニノフ、シューベルトにスクリャービンと、かなり苦手な作曲家と曲のオンパレード。
よく聴くバッハのパルティータは、アーティキュレーションが面白いわりに飾り気なく聴こえるし、なにより優しく安らぎと喜びに満ちたバッハ。
バッハ以外の曲は、よほど好きなピアニストでないと、試聴してもやっぱり避けてしまうものばかり。なのに、どの演奏も全く抵抗感なく自然に耳に入ってくる。
ピアノの音と和声の美しさに加えて、"雰囲気"に満ちているのに、過剰な情緒や神経質な繊細さを全く感じないからだろうか。これはかなり不思議な体験。


ピティナで紹介されていたフォーレの《夢のあとに》は、フィオレンティーノ自身のピアノ編曲。
タペストリーのようにびっしりと音が織り込まれ、声部が重なりあって、煌くように豊麗で濃密な和声。
これもやっぱり"雰囲気"に満ちていて、ムード音楽風(?)なところはあるけれど、とってもロマンティック。

Fiorentino plays Fauré Après Un Rêve



ファンが公開しているらしきホームページ"SERGIO FIORENTINO"[www.fortepianos.org]では、フィオレンティーノのライブ録音等の音源(MP3/MPEG)がダウンロードできる。
特に美しいのが、フィオレンティーノ編曲によるラフマニノフ《ヴォカリーズ》(MP3)
フォーレと同じように素敵な演奏。
フォーレもラフマニノフも、"meanigful"というのか、演奏のなかにいろいろな想いや意味あるものがしっかり詰まっているような感覚がする。

《ヴォカリーズ》のYoutubeのライブ映像はこちら。
Sergio Fiorentino - Rachmaninov Vocalise Op.35 No.14


試聴ファイルやYoutubeのライブ映像を聴いていると、BOXセットを全て聴きたくなってきてしまう。
それに、初期の録音集『SERGIO FIORENTINO The Early Recordings』Vol.1のリスト作品集は、ブログ<フランツ・リストに花束を>のミッチさんが「フィオレンティーノの最高の一枚」と書かれていたアルバム。これも試聴してみるとやはり素晴らしかったので、結局、両方ともオーダー。
取り寄せするのに2週間~1ヶ月くらいかかりそうなので、待ち遠しいなあ。


[2012.2.21 追記]
フィオレンティーノの録音はSAGA,apr,Concert Artistsと、複数のレーベルからリリースされているが、レコード会社が実在しないピアニスト名義でフィオレンティーノの録音を無断で流用したり、逆に他のピアニストの録音をフィオレンティーノ名義でリリースしたりと、なぜか事件が多い。(記事中のaprとpiano classicsの録音は全く問題のない正規録音です)
ミッチさんのブログ<フランツ・リストに花束を>の記事"セルジオ・フィオレンティーノのサーガ録音"を参照してください。


[2012.1.29 追記]
「フィオレンティーノ」を検索すると、いろんな「フィオレンティーノ」がヒットする。
名前はもちろん、イタリアントマト・フィオレンティーノ、ズッキーニ・フィオレンティーノ、フィレンツェ名物「ビステッカ・フィオレンティーノ」。それに、ベーカリーショップでは、フィオレンティーノというイタリアブレッドを見つけた。
どうやら、「フィオレンティーノ」という言葉は、"フィレンツェ(風)の"という意味らしい。


タグ:フィオレンティーノ フォーレ ラフマニノフ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

コメント

おじゃまします

このPiano Classicsの10枚組ボックスは本当に素晴らしいですね。APRのFiorentino Editionシリーズは僕も全部は持ってなかったので、このボックスは手に入れようと思ってます。

フィオレンティーノの復刻はいろんなレーベルにがんばってもらいたいです。

聴かないわけにはいかないですね!

ミッチさま、こんにちは。

このBOXセットはフィオレンティーノの晩年の演奏活動が詰め込まれていて、素晴らしい内容ですね。
試聴してしまったら、残りを聴かないわけにはいかなくなってしまいました。

最近は新譜が出しにくくなっている代わりに、過去の音源を発掘することが増えているようですから、復刻盤も期待できそうです。
Piano Classicsは、ピアニストの新譜とライセンス盤の両方を出してますから、Vol.1に続いて、続巻は初期の録音集あたりなのかも?
新興レーベルとはいえ、着眼点が良いというか、ピアニストを選ぶセンスが良いですね。
非公開コメント

◆カレンダー◆

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

◆ブログ内検索◆

◆最近の記事◆

◆最近のコメント◆

◆カテゴリー◆

◆タグリスト◆

マウスホイールでスクロールします

◆月別アーカイブ◆

MONTHLY

◆記事 Title List◆

全ての記事を表示する

◆リンク (☆:相互リンク)◆

◆FC2カウンター◆

◆プロフィール◆

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

◆お知らせ◆

ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿と思われるコメントや、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。