池田浩明著 『パンラボ』  

2012, 02. 09 (Thu) 12:00

パン好きや出版人の間で、ちょっとした話題になっているのが、先月出版された『パンラボ』。
amazonの紹介文を読むと結構面白そう。
パンラボパンラボ
(2012/01/25)
池田 浩明

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帯に大書きされている言葉は「パンの図鑑」。
ネット上に書評がいろいろ出ているけれど、パン好きが書く書評とは違う視点が入っているのが、TRANSIT誌のチーフ・エディター加藤直徳さんの書評 "作り手の意匠が光る2冊の本"
著者はパンライターさんで、本の中身はざら紙(わら半紙風?)で、モノクロパン写真に文章がいっぱい。
「写真が綺麗なだけで結局何が言いたいか分からないお洒落パンガイドではない。小麦の話に始まり、作る、切る(!)、歴史...まで懇切丁寧に編集されている。....この本以外はパンについては生涯要らんわ!と思ってしまった。うーん、素晴らしき編集魂。」と言うくらいに個性的なスタイルの本らしい。
225ページもあるのに、紙質とモノクロ写真のおかげで、1050円と破格の安さ。
パン好きなら読みたくなってしまう。
早速、近くのショッピングセンターの本屋さんで探すと、1冊だけパンコーナーの棚に並んでいた。

手にとって見ると、本体価格1000円にしては、膨大な情報量。
モノクロのザラ紙の体裁でも全く気にならない...というか、かえって斬新で良いくらい。ムック本のような趣き。
パンに関する歴史や作り方など、いろんな話が載っているけれど、一番多いのは、ベーカリーショップの短い紹介と、作っているパンの比較。
パンはホームベーカリー(と時々手捏ね)で作るので、ほとんど買わないし、遠いお店だと買えないパンが本に載っているので、そういうパンの比較をされても、どうもピンと来ない。
元々、手捏ねで作ることは少ないので、製法の細かなところはそれほど興味がない。
それよりも、それぞれのパン自体の歴史とか、ベーカリーショップ・パン職人さんのパン作り・店づくりに関する話がずっと面白い。

『パンラボ』というのは、元々は、とある雑誌の連載記事。
「パンラボ」ブログもあって、これが充実した読みものが多くて、とっても面白い。
お洒落なパン屋さんもそうではないパン屋さんも、いろんなパン屋さんが紹介されている。
ブログには、連載記事では書ききれなかった話が載っているという。
内容面では、本よりもブログ記事の方が、個人的な興味をそそられる話が多い。
カラー写真だし、特にユニークなベーカリーショップの紹介記事(かなり長文)がブログで読めるのが嬉しい。
パン職人と店づくりの話(コンセプト、店舗のつくり、経営方法、修行時代の話など)が載っていて、本の方に書かれていない話が読めてしまう。
こういう話も、まとめて本で読んでみたくなる。

ベーカリーショップのパンの話ばかりかと思ったら、 「コンビニ・ラボ」というカテゴリもある。
これは、コンビニ・パンのレビュー記事。袋物もパンも買わないけれど、大量生産パンの比較は意外と面白い。
袋物のパンといえども、常に新商品を発売しているので、商品サイクルが短く、アイデアも創意工夫も必要だろうし。

菓子パン・袋パンのレビューサイトなら、「パンな気分」も面白い。
よくこれだけ、次々と新製品を出すものだと感心してしまう。

「パンラボ」のブログ記事をいくつか読んでみると、 「シャポードパイユ(中目黒・中野) 133軒目(東京の200軒を巡る冒険)」の記事が面白い。
週に2日、ラッシュアワーの朝だけ、駅前でリヤカーを引いてフランスパンを売っているというパン職人さんのお話。
自分のベーカリーショップを持つ前から開店していたこの出張パン屋さんをずっと続けているという。
ミニバンで自家製パンを売っているパン屋さんは、大阪のオフィス街で見かけたことはあるけれど、リヤカーというのはあまりに斬新な(?)スタイル。
そこで売っているのは、カスクルート(バゲットのサンドイッチ)のみ。
彼のつくるバゲットは、ホシノ天然酵母で長時間発酵させている。
このパン職人さん、パリでお菓子修行をしていて、なぜかパン職人になってしまったという。
今まで紹介されたパン屋さんの記事は、ブログ上部にある「CATEGORY」をクリックすると、路線別に分類されている。
単に、お店で売っているパンの写真と内容がレビューされている記事と、パン職人さんのインタビューも載っているものと、2種類あるようなので、後者は読み物として面白い。

昨日(2月7日(火))の記事は、 「カンパーニュを伝えた男 ピエール・ブッシュ【職人インタビュー 007】」
これはかなり長文のインタビュー記事。ブッシュさんが日本でカンパーニュを焼き始めた理由やパン作りに対するポリシーが詳しく語られている。
こういう記事を読んで、写真を見ていると、彼らの作るパンを食べたくなってしまう。

勉強になったのは、酵母の話。
ドライイーストの製造方法とか、生イーストの違いなど、メーカー側の説明が注記されている。
いずれも、安全性に問題はないけれど、合成添加物が使われている。

天然酵母とイーストの話は、2月10日の記事 「天然酵母とのうまい付き合い方 帝国ホテル金林達郎 講習会」にも載っている。
"天然酵母信仰"や"美味しい焼きたてパン"という錯覚に対する辛口の話が逆に面白い。

過去の「職人インタビュー」記事 001-006 
 001. ル ブーランジェ ドミニク・サブロンのドミニク・サブロンさん
 002. ペリカンの渡辺猛さん,ペリカン 職人インタビュー取材を終えて
 003. シニフィアン・シニフィエの志賀勝栄さん
 004. ル・プチメックの西山逸成さん
 005. ルヴァンの甲田幹夫さん
 006. Zopfの伊原靖友さん・伊原りえさん


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2012/02/10 (Fri) 17:10 | REPLY |   

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2012/02/11 (Sat) 00:51 | REPLY |   

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