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エンリコ・パーチェ ~ リスト/巡礼の年 第1年「スイス」より "Orage" 
いつかはソロ・レコーディングするのではないかと長らく待っていたエンリコ・パーチェの新譜は『リスト:巡礼の年 スイス&イタリア』。
2枚組なので、第1年「スイス」と第2年「イタリア」のみ。せっかくなら、第3年も録音してくれたら良かったのに。
マーケティングの関係で2枚組でリリースすることにしたのかも。3年分全巻を録音したCDは3枚組が多い。ときどき2枚組になっているものもあって、ブレンデル&コチシュのPhilips盤は2枚組。

『巡礼の年』を聴いたのは、最初がラザール・ベルマン。それから、ブレンデル(第1年と第2年)、アラウ(一部)、ハフ(一部)。ベルマンは特に好きではないけれど、ヴィルトオーソのピアニスト自体は好きだし、他の3人はもともと好きなピアニストなので、それぞれ違ったリスト聴けるところが楽しい。
パーチェの《巡礼の年》も、彼らしいリスト。
第1集「スイス」のなかで特に良かったのは、最もピアニスティックで激しい嵐が吹き寄せるような"Orage(夕立または嵐)"、心理小説のように深い感情が込められた"Vallee d'Obermann(オーベルマンの谷)"、それに繊細な詩情漂う"Les cloches de Geneve(ジュネーヴの鐘)"。
これ以外の曲は、自然描写的で音色の多彩さが映える曲なので、ブレンデルの音色と響きの美しさが際立って美しく思える。

Annees De PelerinageAnnees De Pelerinage
(2011/12/13)
Enrico Pace

視聴する(仏amazon)


《Orage》は、耳で聞いていてもわかるくらいに、曲集のなかでも最も技巧的な曲。
最近の若手ピアニストは技巧優れた人が多いけれど、跳躍するところでテンポが落ちたり、速いテンポだと一本調子でオクターブ移動したりと、そう簡単に最後まで完璧に弾きとおせる曲ではないらしい。
パーチェはテンポはかなり安定して、パッセージが滑らかに連なり、左手低音のオクターブの移動でも、クリアな音で切れも良い。
クレッシェンドとデクレッシェンドが滑らか変化していくので、一本調子な単調さもなくて、ダイナミックな波のうねりのよう。
彼は最初は"リスト弾き"としてデビューしたので、今でも《Orage》はリサイタルで時々弾いている。


リスト国際コンクールのオープニングコンサートで弾いていた《Orage》のライブ映像。
パーチェは第2回コンクールの優勝者なので、リストコンクールにもよく招待されている。
オランダでの演奏会も多く、歴代の優勝者のなかでは、プロのピアニスト(ソリスト&室内楽奏者の両方で)として、最も順調に演奏活動している人だと思う。

Opening Liszt Concours
演奏曲目は、リストの《オーベルマンの谷》とラフマニノフの《パガニーニの主題による狂詩曲》。



CDレビュー
2012-03-04 Enrico PaceのLiszt巡礼の年 第1&2年[Piano e forte]

演奏会予定
今年から来年にかけて、カヴァコスと演奏するベートーヴェンのヴァイオリンソナタ・ツィクルスの演奏会予定が詰まっている。
カヴァコスがDECCAと専属契約、室内楽の演奏会も目白押しなので、ピアノ伴奏者のパーチェも忙しそう。
さすがに、日本では人気がないらしいけれど、世界のヴァイオリニストのトップ10に入ると言われるカヴァコスは、欧米では凄い人気があるらしい。
伴奏者としてのパーチェの評価も非常に良いので、そのうち、オランダやイタリア以外でピアノソロ・リサイタルを開く機会がでてくるかも。

東京/トッパンホール 2012年11月14日(水) 19:00 [プログラム概要(PDF)]
レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン),エンリコ・パーチェ(ピアノ)
今回はフランク・ペーター・ツィンマーマンではなくて、カヴァコスのピアノ伴奏者としての来日。
ツィンマーマンは最近アンデルジェフスキとリサイタルで弾いていることが多い。
一体どうしたのかなあと思って、最近のコンサート情報を調べてみると、パーチェは、ツィンマーマンの息子で若手ヴァイオリニストのセルゲ・ツィンマーマンのピアノ伴奏者をつとめていた。ハイデルベルクの春音楽祭やシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭、アムステルダム・コンセルトヘボウで、セルゲ君と一緒に演奏している。
ヴァイオリニスト父子2代のピアノ伴奏者になるなんて、珍しいかも。
※後で調べてみると、ツィンマーマンとパーチェは、2011年10月、NYでバッハのヴァイオリンソナタ全曲演奏会をしていた。2011年はカヴァコスのデュオ演奏会がかなり多かったので、ツィンマーマンと演奏するスケジュールが組みにくかったのかも。
(演奏会評はこちら)

ザルツブルク音楽祭 Mozarteum (2012年8月22-23,25日)
<Kavakos & Pace, Beethoven Cycle>
- Beethoven-Zyklus No.1(8/22)
- Beethoven-Zyklus No.2(8/23)
- Beethoven-Zyklus No.3(8/25)
(情報出所)"Kavakos & Pace, Beethoven Cycle: Salzburg Festival"[CLASSICTIC.com]
※このベートーヴェンツィクルスは、コンセルトヘボウでも2012-13年にかけて、3回の演奏会が予定されている。

録音予定
室内楽リサイタルのパートナーであるヴァイオリニスト、レオニダス・カヴァコスがDeccaと2012年4月23日に専属契約締結。
Deccaで最初の録音予定は、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全集。ピアノ伴奏者はパーチェ。
今年夏のザルツブルク音楽祭リサイタル(Beethoven cycle)に向けて間に合うよう録音開始の予定。
(情報出所)"Leonidas Kavakos signs exclusive contract with Decca"[intermusica]

コンサートレビュー
Leonidas Kavakos, Enrico Pace, Wigmore Hall:A revelatory duo partnership excels in Prokofiev and Schubert(2011.1.16)
-Prokofiev:Violin Sonata No.1 in F minor Op. 80
-Auerbach:24 Preludes for violin and piano Op. 46 (a selection)
-Korngold:Suite ‘Much Ado about Nothing’ Op.11
-Schubert:Fantasy in C D934

フランク・ペーター・ツィンマーマン&エンリコ・パーチェ オール・バッハ・リサイタル~ヴァイオリンとピアノでたどるバッハの対位法(アラン・コージン,ニューヨーク・タイムズ 2011年10月13日)


クロイチェルソナタのライブ映像
ザルツブルク音楽祭の後、イタリアで開催されていた室内音楽の国際的音楽祭”45thフェスティバル・デッレ・ナッツィオーニ(FESTIVAL DELLE NAZIONI)”のライブ映像。(場所:チッタ・ディ・カステッロ,8/25~9/7開催)
教会らしき建物でのコンサートなので残響過多で音は悪いけれど、テンション高く迫力のある《クロイチェルソナタ》第1楽章。ピアノはファツィオリ(FAZIOLI)らしい。
ぴったり呼吸の合った2人のライブ映像を見ていると、スタジオ録音のCDを聴くのが楽しみ。

FESTIVAL DELLE NAZIONI 2012 - Leonidas Kavakos - Enrico Pace



tag : パーチェ フランツ・リスト カヴァコス ベートーヴェン

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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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