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バッハ=フィオレンティーノ編曲/無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 BWV1001(ピアノ独奏版)
バッハの《無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番ト短調,BWV1001》の珍しいピアノ独奏版。
この曲の編曲はいくつかあり、ゴドフスキーの編曲版が一番有名。(と言っても、聴いたことがある人は少ないはず)
ブラームスも<J.S.バッハによるプレスト ト短調>という編曲版を書いている。
これはBWV1001のフィナーレを編曲したもので、《ピアノのための5つの練習曲Anh.Ia-1》に収録されている。
フィオレンティーノの編曲も有名とは言い難く、本人の自作自演の編曲版録音くらいでしか聴けないであろう極めてレアな曲と音源。


これはフィオレンティーノの自作自演。
この曲の雰囲気にぴったりなしっとりとした潤いと瑞々しい叙情感を帯びた音色がとても綺麗。
フーガの疾走感と躍動感も爽快。

Bach - Violin sonata no. 1 in G minor BWV 1001, piano transcription (Sergio Fiorentino) [1/2]



ゴドフスキーのピアノ編曲版は、シチェルバコフの録音がある。
フィオレンティーノの編曲版よりも、音がごちゃごちゃしていて、ロマン派の曲を聴いている気分がする。(試聴ファイル:Godowsky: Piano Music, Vol. 2
フィオレンティーノの編曲版は、シンプルな旋律と和声で、バッハのクラヴィーア曲のような趣きがあって、ゴドフスキーの編曲よりもずっと自然に聴こえてくる。


原曲の無伴奏ヴァイオリンソナタの演奏は、スークの音源がなかったので、イツァーク・パールマンで。
若かりし頃に録音したパールマンの無伴奏は深く伸びやかで線のしっかりした豊麗な響きが美しい。

Itzhak Perlman Bach Violin Sonata No.1 BWV 1001



原曲を聴くと、"adagio"はヴァイオリンが奏でる音色と凛とした緊張感がこの曲の深みと気高さを伝えて、やはり原曲のヴァイオリンソロは素晴らしい。
原曲と比べる、ピアノ編曲版は叙情性の方が強く出ていて、これはこれでとても美しい曲。
全体的に高音側の主旋律が明瞭で、研ぎ澄まされた響きと憂いをおびてしっとりとした叙情感が瑞々しくて綺麗。

"Fuga"は、ピアノ編曲版の方が声部が増えて音色も多彩。
フィオレンティーノの編曲は、ゴドフスキーのように和音が過密でないので、旋律線と和声がすっきりしている。
かなり速いテンポなので、パールマンの演奏よりもずっと疾走感が強い。それでいて、旋律線と声部の多彩なからみも和声も、両方ともクリアに聴こえる。
まるでバッハが書いた曲を聴いているような錯覚をするくらい、このフーガはとても素敵。フーガの面白さがよくわかる気がする。

"Siciliana"は、ピアノの柔らかい音と、低音と高音の響きが交じり合って、のどかな雰囲気。
最後の"Presto"は、第2曲のFuga同様、速いテンポで旋律線が明瞭。フーガらしい声部のからみ合いがよくわかる。


フィオレンティーノ編曲版については、田中博幸さんのホームページ<Bach With Piano>で紹介されてます。
「(ゴドフスキー編曲版よりも)少ない音で原曲に近い雰囲気を伝えてくれます。まるでバッハオリジナルのクラヴィーア曲であるかのように。 原曲のヴァイオリンの音の他に、必要最小限の効果的な音を追加しています。」という。

<Bach With Piano>は、バッハのピアノ編曲に関する日本語サイトとして、全く素晴らしいホームページ。
特に「バッハの音楽の編曲曲目データベース」は、バッハ編曲版の網羅的(だと思う)リストが載っている大変な労作。
思わぬ作曲家やピアニストが編曲していたりして、いろんな発見があります。

                       

これはフィオレンティーノの録音セッションの映像。1996年10月19日のベルリンにて。
音質は悪いけれど、CDと同じ演奏。2回弾いていたというので、どちらかはわからないけど。

録音の時に楽譜を見るピアニストは多く、このセッションでは譜メクリスト(譜めくりする人。もしかしてルンペさん?)がいる。
録画したのは、フィオレンティーノの録音コレクターで、ドイツ国内での演奏活動をいろんな形で支援していたドイツ人エルンスト・ルンペ氏。





このフィオレンティーノの録音セッションが収録されているBOXセット。
元々はapr盤で分売されていたシリーズをPiano Classicsがセットにしたもの。
その録音風景について、BOXセットのブックレットにルンペ氏の回想が載っている。
Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1
(2012/01/10)
Fiorentino

試聴する(米amazon)[分売盤/apr]


原盤は分売盤としてリリースされているので、BOXセットの曲は、1994~97年にかけて毎年1回、1日のセッションを2日続けて、レコーディング。
ルンペ氏の休日にあたる秋(10月頃)の土・日曜日の2日間に、ベルリンのSiemenvillaで録音。金曜日にベルリン入り、土曜日の朝9時から録音開始。

録音エンジニアのSiegfried Schubert-Weber氏(ヴァーグナーとシューベルトとウェーバーをつなぎ合わせた芸名みたいな?名前。実在のピアニストです)が録音機材をセッティングしている間、フィオレンティーノはホールの会場でお気に入りのイタリアブランドの煙草「STOP」を吸っていた。
セッティングが終わると、フィオレンティーノは、スケール、三度、六度、それに、これから録音する曲とは関係のないいろんなタイプの曲を弾いてウォーミングアップ。
レコーディングは中断なしに、1曲を2回ずつ弾き、めったにPatch(修正用の部分的な録音のこと?)は録音しなかった。
おかげで、合計10枚分のCDを録音するのに、概ね9時間のセッションが4つ、各セッションは2日間と、とても経済的な録音だった。

1998年も、10月に5回目のセッション録音を行う予定にしていた。
曲目は、フィオレンティーノの大好きなブラームス作品。《4つのバラード Op.10》、ピアノ曲集Op.116,117,118。
さらに、ドビュッシーの《映像》、《前奏曲》から数曲。(ドビュッシー作品集としてCD1枚分)
その年の初夏にルンペ氏がレコーディングに向けて準備をしていたところ、8月23日の日曜日にイタリアから電話がかかってきた。
フィオレンティーノが脳卒中で前日亡くなったという。彼がとても心待ちにしていた録音セッションは実現しなかった...。
フィオレンティーノのブラームスとドビュッシーが聴けなかったのは、本当に残念。どちらも好きな作曲家なのに。

tag : バッハ フィオレンティーノ

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(非公開コメント受付中)

Thank you
山下和人のギター版を聴いていて、ピアノ版はどうかと思って検索したところこの素敵なページを発見しました。フィオレンチーノ、いいですね。初めて知りました。CDは入手できないものでしょうか。
BOXセットと分売盤がでています
まさちゃん様、こんにちは。
コメントありがとうございます。

ギター版は聞いたことがないのですが、このピアノ編曲版はとっても良いですね。

この録音は、aprの分売盤、または、Piano ClassicsのBoxセットに収録されています。
この曲だけお聴きになりたいのであれば、分売盤で良いかと思います。

BOXセット、分売盤とも、amazon、HMVなど国内外の複数のオンラインショップで販売していますが、価格がかなり違うようです。

BOXセット(Piano Classics)
Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4916772
(国内のamazon、hmv、TowerReordsで販売中)

分売盤(apr)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000026AV2/fc2blog06-22/ref=nosim/
(日本のamazonで販売中)

このCDの試聴ファイルは米国のamazonサイトにあります。
http://www.amazon.com/The-Fiorentino-Edition-Bach-Volume/dp/B000026AV2/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1332124087&sr=1-1

早く入手できれば良いですね。
<Bach With Piano>サイト移転のお知らせ
<Bach With Piano>サイト管理者の田中博幸と申します。
ブログ記事の中で紹介やリンクをありがとうございます。
当サイト、諸事情によりサイトを移転しました。
大変お手数ですが、リンク先を変更していただければ幸いです。

旧:http://www.prox.jpn.org/~piano/bach/news/(既にアクセス不可)
新: http://expiano.org/piano/bach/news/

どうぞよろしくお願いいたします。
ご連絡ありがとうございます
田中博幸様、はじめまして。
ご丁寧に移転のご連絡を下さいまして、どうもありがとうございました。

大変素晴らしいホームページとデータベースですので、誠に勝手ながらリンクを貼らせていただいております。
記事中にもリンクしている部分が何ヶ所がありましたので、そちらのURLも変更いたしました。

今後もご参考にさせていただくことがあると思いますので、よろしくお願い致します。
早速ご対応いただきありがとうございました
早速ご対応いただきありがとうございました。
複数箇所にわたりお手数をおかけしすみません。
今後共どうぞよろしくお願いいたします。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

愛聴するのはベートーヴェンとブラームス、それにバッハ。ロマン派ならリスト。​さらに現代(20​世紀)の音楽を探検中。特に好きなのはピアノ音楽(ソロ、コンチェルトに室内楽)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなピアノ曲:ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30・31・32番,ピアノ協奏曲第3番&第4番。ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番、ヘンデル変奏曲、後期ピアノ作品集。バッハ:パルティータ、フランス組曲、イギリス組曲

好きなヴァイオリン曲:バッハ・ベートーヴェン・ブラームスのヴァイオリンソナタ(ピアノ&ヴァイオリン)、シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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