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フィオレンティーノとヴィアルド ~ フランク=バウアー編曲/プレリュード、フーガと変奏曲 ロ短調 Op.18
セザール・フランクのピアノ曲として有名なのは、《プレリュード、コラールとフーガ ロ短調》(Prelude, choral et fugue*)と《プレリュード、アリアと終曲》(Prelude, aria et final)の2曲。

フランク自身の作曲ではないけれど、ピアニストのハロルド・バウアー(最初は「天才ヴァイオリニスト」として知られていたらしい)が編曲した《プレリュード、フーガと変奏曲ロ短調》(Prelude, fugue et variations)Op.18という曲もある。
原曲は、『大オルガンのための6つの小品』の第3曲。
フランクはオルガニストとして、バッハの再来と言われたほど、即興演奏に優れていたという。当然、オルガン曲や教会音楽の作品が多い。
<Database of Transcriptions, Paraphrases for piano solo and my commentary>に、珍しくもバウアー編曲版の解説が載っている。


バウアーが編曲した《前奏曲、フーガと変奏曲》は、『セルジオ・フィオレンティーノ・エディション Vol.1:ベルリン・レコーディングス 1994-97』に収録されていて、初めて聴いた曲。
録音自体がそう多くはなく、Youtubeにもプロのピアニストの音源がほとんどない。

CDで聴いたフィオレンティーノの演奏は、かなりゆったりしたテンポ。
元々静寂・荘重で重苦しさが漂うところがある曲なので、「フーガ」と「変奏曲」部分は、第一印象はちょっと重たい感じ。
もう少し速いテンポの方が聴きやすい気がする。

Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1
(2012/01/10)
Fiorentino

試聴する(米amazon)[分売盤/apr]


Youtubeで見つけたのは、ロシア出身のウラディーミル・ヴィアルドの演奏。
名前も演奏も聴いたことがなかったピアニスト。
プロフィールを調べると、あのヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの1973年の優勝者。アメリカ・ノーステキサス大学音楽学部の教授でもある。
試しに聴いてみると、瑞々しいクリアな響きが綺麗で、しっとりした哀感と叙情感が流れていて、美しくも荘重でドラマティックな演奏。

2人の演奏を聴き比べてみると、いろいろ違いがあるのがよくわかる。
テンポはフィオレンティーノがかなりゆったり。フィオレンティーノのプレリュードは4分半、フーガと変奏曲は「前奏曲」は9分半くらい。
ディアルドは、フィオレンティーノよりもかなり速く、それぞれ3分半と7分くらい。
「フーガと変奏曲」のテンポが随分違うので曲の印象がかなり変わるのはもちろん、「プレリュード」はテンポの差はそれほど気にならないけれど、やっぱり印象が違う。
フィオレンティーノの「プレリュード」は、やや粘りのある抑えたタッチで、強弱のコントラストは緩めで弱音も少しこもり気味。叙情的というよりは、内省的。
「フーガと変奏曲」もテンポがゆったりしているので、ドラマティックな派手さはなくて、少し地味な感じ。淡々と思索にふけっているようなストイックなところがある。
ヴィアルドは、全編を通じて音がクリアで高音の響きが美しく、流麗なフレージングでとても叙情的。
強弱のコントラストが明瞭で、フォルテがかなり力強く、ドラマティックな印象。

聴きやすいのは、ヴィアルドの演奏。でも、聴き比べていると、初めはわからなかったフィオレンティーノの演奏の特徴とその良さがよくわかってきた。
フィオレンティーノは、地味ながらも落ち着きがあって、"渋み"のような味わいがある。



Cesar Frank, Prelude, Fugue and Variation in B minor, Op.18 (Vladimir Viardo)


これは、ディアルドの演奏を聴いたときの印象。

第1部:Prelude
どこかで聴いた気がするプレリュードの主題。感傷的なメロディなので、映画に使われていたのかもしれない。
この最初のフレーズがとても印象的。
最初は静かで鬱々として気分を感じるけれど、ときに長調に転調して明るさや力強さが差し込んでくる。
主題は感傷的ではあっても、線が細いセンチメンタルな曲ではなく、内面で静かに感情が葛藤しているようなドラマティックな曲。

第2部:Fugue (3:40~)
冒頭和音から力強く厳粛な雰囲気漂うフーガ。
やがて弱音部分に変わって、"Prelude"の雰囲気に似た叙情的な主題が現れる。
ときに入ってくる強奏部分は、右手の旋律の和音に加えて、低音の和音の響きが加わり、重厚で荘重。

第3部:Variations (7:15~)
フーガの終わりから経過節が序奏のように入り、やがて、左手のアルペジオ伴奏の上を、前奏曲の主題が流れ始める。
プレリュードよりも足速に流れ去っていくように流麗。
解説でも書いていたように、右手部分は主題とあまり変わらず(単音が和音になっている部分はあるようだけれど)、左手の伴奏がバリエーション的に変わっていく。
変奏の妙を聴くような曲ではないかもしれないけれど、溜め息がでるような美しい変奏曲。

                        

これは原曲のオルガン演奏。オルガン以外に、「ピアノ&ハーモニウム、または、ピアノ2台」でも演奏可能らしい。
演奏はOlena Yuryeva 。
ピアノ編曲版のディアルドと同じような速めのテンポ。
「プレリュード」はかなり淡々としてさっぱりした趣き。ピアノの響きの方が、叙情感・荘重感とも強くて、印象的。
「フーガ」はやはりオルガンらしい多彩な音色と重層的な響きで荘重華麗。これはピアノでは出せない雰囲気。
「変奏曲」はオルガンの音色の色彩感が面白い。左手の篭もったような響きはハーモニウム風?。どこか異世界の小宇宙にいるような感覚。

Cesar Franck, Prelude Fugue et Variation op.18 played by Olena Yuryeva


tag : フランク フィオレンティーノ

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お返事です
ご訪問とコメント、どうもありがとうございます。

この曲はとても叙情美しい名曲ですね。
編曲ものは思いもかけない名曲がいろいろ見つかりますので、よく聴いています。
ヴィアルドの演奏は叙情的で、フィオレンティーノとは違った雰囲気ですが、どちらも良いですね。
解釈の違いによって印象も随分変わりますから、異聴盤を聴くというのは大事なことだとわかりました。

フランクのピアノ曲なら、"プレリュード、コラールとフーガロ短調"が有名ですね。これもとても美しい曲です。(スティーブン・ハフのhyperion盤で聴きました)

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yoshimi

Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

愛聴するのはベートーヴェンとブラームス、それにバッハ。ロマン派ならリスト。​さらに現代(20​世紀)の音楽を探検中。特に好きなのはピアノ音楽(ソロ、コンチェルトに室内楽)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなピアノ曲:ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30・31・32番,ピアノ協奏曲第3番&第4番。ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番、ヘンデル変奏曲、後期ピアノ作品集。バッハ:パルティータ、フランス組曲、イギリス組曲

好きなヴァイオリン曲:バッハ・ベートーヴェン・ブラームスのヴァイオリンソナタ(ピアノ&ヴァイオリン)、シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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