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アラウ ~ シェーンベルク/3つのピアノ小品 Op.11
アラウのレパートリーの中で珍しいのはシェーンベルク。
同世代のピアニストのゼルキンやケンプは、シェーンベルク(などの現代音楽)の録音はほとんどない。
ゼルキンがバルトークのピアノ協奏曲第2番を録音しているくらいだろうか。(よく探せば他にもあるかもしれない)

吉田秀和氏の著書『世界のピアニスト』(新潮文庫版)によれば、60歳過ぎに来日したアラウは記者会見で、シュトックハウゼンの選択自由(チャンス・オペレーション)の手法をとりいれた『20のグループ』も彼の好む曲だと話していたという。
シュトックハウゼンを弾くアラウ...というのは、どうもイメージが湧いてこないので、これは一度は聴いてみたいと思うのに、録音が残っていないのが残念。

アラウのシェーンベルク録音で、今聴くことができるのは、《3つのピアノ小品Op.11》のみ。
1959年にBBCスタジオで録音したもので、BBC Legends盤でリリースされている。
カップリングはベートーヴェン《ピアノ・ソナタ第13番》、シューマン《幻想曲 ハ長調》で、1960年の録音。

ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第13番》は他にもライブ録音が出ているので、よく演奏会では弾いていたのかも。
BBC Legends盤はまだ50歳代半ばの録音なので、Philips盤の2度の全集録音や後年のライブ録音よりも、ずっと力強く、勢いがあり、体力・気力とも充実した精悍な演奏が聴ける。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番/シューマン:幻想曲 ハ長調/シェーンベルク:3つのピアノ小品 Op. 11 (アラウ)(1959, 1960)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番/シューマン:幻想曲 ハ長調/シェーンベルク:3つのピアノ小品 Op. 11 (1959, 1960)ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番/シューマン:幻想曲 ハ長調/シェーンベルク:3つのピアノ小品 Op. 11 (1959, 1960)
(2010/11/16)
Claudio Arrau

試聴する(米amazon)


ここ数年、ヒルやジェイコブス、グールド、それにアラウなど、いろいろなピアニストのシェーンベルク録音を聴くと、聴き慣れたせいもあるのだろうけれど、シェーンベルクはそんなに殺伐としているわけでも、無機的なわけでもない音楽。
それ以前の時代の音楽では聴くことができない独特の音の配列と現代的な叙情感が、新鮮で面白くも思えてくる。

シェーンベルク自身が「わたしの音楽はモダンなのではない。演奏がひどいだけだ」とか言った話は有名。
どういう演奏ならシェーンベルクの意にかなったのか、とても知りたい気がしてくる。

Op.11の3曲は、第1曲と第2曲が"Massige"(中庸に)、"Bewegte"(動きをもって)と標題が付いている。
グールド、ポリーニと聴き比べてみると、やっぱりそれぞれのピアニズムの違いが出ていて面白い。
一番解釈の違いがはっきりとわかるのは第3曲。
アラウは太く厚みのある響きで、冒頭から加速しているかのように一気に弾きこんでいる。テンポも頻繁に伸縮しているようで、強弱のメリハリもよく利いて、起伏が激しくてパッショネイト。
ドビュッシーを弾くときも、綺麗な音が並んでいるように弾くのではなく、音に込められた感情を表現したいと言っていたので、これはシェーンベルクを弾くときでも同じなのだと思う。
ドビュッシーでは、印象派的な透明感のある響きではなく、響きが重なり霞のような煙幕がかかったような気がする。
シェーンベルクでも、やや濁りのある重層感のある響きで、皮膚感覚というか生理的な生温かさを感じるところは似ている。

Claudio Arrau plays Schoenberg 3 Piano Pieces op.11-3



ポリーニは、フォルテがとりわけ強く、ガチガチと固いタッチと崩れないリズムが厳めしい。3人のなかでは一番叙情感が薄く感じる。
最初に聴いたシェーンべルクがポリーニの録音だったせいか、長らくシェーンベルクを聴きたい気分にならなかった。
Arnold Schonberg - 3 Klavier Stucke op. 11, no. 3 (Pollini)



グールドは、軽やかなフォルテとしなやかなタッチで聴きやすいし、不協和音も濁りが少なくて、すっきりとした響き。
さっぱりとした叙情感と力みのない表現は、洗練された都会的な(?)シェーンベルク。
Arnold Schoenberg - Three Piano Pieces, II-III (Gould) (第3曲は8:24~)



第1曲、第2曲のアラウの演奏はこちら。
Claudio Arrau plays Schoenberg 3 Piano Pieces op.11-1[youtube]
Claudio Arrau plays Schoenberg 3 Piano Pieces op.11-2[youtube]

tag : シェーンベルク アラウ グールド ポリーニ

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ようやく春めいてきました
こんにちは。
シェーンベルクのピアノ曲を聴き比べたのは初めてです。貴重な体験をさせていただきました^^
なかではグールドの演奏を気に入りました。音が柔らかくて、間のとりかたも巧妙で、とても聴きやすい。録音もよいですね。
意外と聴きやすい曲です
吉田さま、こんにちは。

聴き比べをお楽しみいただけて良かったです。
シェーンベルクは難解だと不評ですが、ピアノ作品に限って言えば、演奏によって印象がかなり変わりますね。
シェーンベルクの曲は、昔はとっつきが悪くて困りましたが、なぜか素通りできないものがあって、随分いろんな録音を聴いて、ようやく慣れました。
その中では、やはりグールドの演奏が聴きやすくて、私も好きです。
彼が弾くバッハやベートーヴェンは、私にはどうも受け入れがたいものがありますが、現代ものは至極”まっとう”というか、独特の癖が強くなくて、自然に聴ける演奏が多いので、よく聴いてます。
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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