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カッチェン ~ メンデルスゾーン/ロンド・カプリチオーソ、歌の翼に(リスト編曲版)
メンデルスゾーンのピアノ作品といえば、一番有名なのが《無言歌集》。
他にも名曲はいろいろあり、良く知られているのは《ロンド・カプリチオーソ》。それから、《前奏曲とフーガ》、《厳格な変奏曲》、《スコットランド・ソナタ(幻想曲》、それにピアノ協奏曲など、性格の違った曲がいろいろあるので、『無言歌集』とはまた違った顔のメンデルスゾーンが聴ける。
ロマン派で好きな作曲家といえば、ブラームス、リストの次に、メンデルスゾーン...と思うくらいに、端正で情緒過剰でない均整のとれた叙情感が好きなところ。

カッチェンが録音したメンデルスゾーンのピアノ曲は4曲。
- Prelude and fugue in e minor, op.35-1
- Scherzo in e minor, op.16-2
- Rondo Capriccioso, op.14
- Auf Flügeln des Gesanges, op.34-2(arr. Liszt; S.547-1)

1953年のモノラル録音は4曲。全て『Julius Katchen:Decca Recordings 1949-1698』に収録。
1961年のステレオ録音で再録音したのは、《ロンド・カプリチオーソ》、リスト編曲版《歌の翼に》。
ステレオ録音の方は、収録しているオーストリア・デッカの"Art of Julius Katchen Vol.8"と、日本国内盤がいずれも廃盤。
オムニバスの名曲集に収録されているのは、《歌の翼に》の方だけなので、《ロンド・カプリチオーソ》は稀少な録音。
やはりステレオ録音は音質がずっと良いし、モノラル録音よりもタッチが柔らかく、表現が幅広くふくよかになって、叙情深くてドラマティックな雰囲気が増している。
カッチェンのメンデルスゾーンは、しなしなと線の細い優しく優雅な"女性的"なメンデルスゾーンではなく、線の太い力強いタッチでとっても"男性的"。
特に、《ロンドカプリチオーソ》は、若い頃のブラームスの曲を弾いているかのように、力強くて勢いが良いのがカッチェンらしい。

"On Wings of Song" Op.34 No.2 (arr. Liszt)
《歌の翼に》は、リストが歌曲を編曲したピアノ独奏版が有名。
原曲の旋律と伴奏のシンプルさを生かしつつ、低音~高音まで広い音域を使っているので、色彩感もあり華やか。
特に、高音域のアルペジオの最後の音が、きらきらと鐘の音のように響くところがとても綺麗。
カッチェンは、細かくテンポを変えて、ルパートをかけながら、まるで歌を歌うように主旋律をよく歌わせているので、とってもロマンティック。
アルペジオも"翼"の上にふんわり乗っているように軽やか。

聴いている分にはそれほど凝って難しそうには聴こえなかったけれど、楽譜をみるとそんなものではないのがよくわかる。
3段楽譜になっていて、右手と左手で振り分けたり、交差させたり、中段にある主旋律をくっきりと浮かび上がらせて歌わせながら、伴奏のアルペジオもバタつかずにふんわり柔らかく弾かないといけない。これを弾くのは頭と指がこんがらがるに違いないので、聴くだけにした方が良さそう。
最初、カッチェンにしてはさほど速くもないテンポかも..と思っていたら、他のピアニストの演奏を聴くともっと遅くてどんより重たかったりする。
カッチェンより随分速い演奏もあったけれど、高音部のアルペジオの響きがクリアでなく、旋律の歌い回しが単調になる。
この楽譜を見てからは、旋律を歌わせてながら、速いテンポで弾ける曲ではないのだと思い直してしまった。

Julius Katchen plays Mendelssohn (arr. Liszt) "On Wings of Song" Op.34 No.2

編曲版の楽譜:Auf Flügeln des Gesanges (S.547/1)(ダウンロード)


Rondo Capriccioso Op.14
1828年の作品《ホ短調のエチュード》に、ホ長調の導入部が追加されたのが《ロンド・カプリチオーソ》(《ロンド・カプリチョーソ》という表記もある)。
導入部はメンデルスゾーンらしいとても優雅な雰囲気。
アンダンテからプレストのロンドに入ると、カッチェンの指回りの良さが発揮されて勢いの良いこと。
2:55から《ピアノ協奏曲第1番》を思い出すようなフレーズが時々出てくる。
ラストは、片手が一音遅れて入るユニゾンのスケール。テンポが速い上に、カッチェンの音の線が太くて力感・量感があるので、ここはかなりの迫力。
快活さやパッショネイトな激しさも入り混じったところが素敵な曲。

Julius Katchen plays Mendelssohn Rondo Capriccioso Op.14



                          


『Julius Katchen:Decca Recordings 1949 - 1698』
1940-50年代に録音したモノラル録音のピアノ独奏曲を多数収録。
Decca Recordings 1949 - 1698Decca Recordings 1949 - 1698
(2006/01/02)
London Symphony Orchestra、Suisse Romande Orchestra 他

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『エリーゼのために~決定盤!珠玉のピアノ名曲集』
オムニバスのピアノ名曲集。カッチェンの録音は、ブラームス3曲以外に、バッハ《主よ,人の望みの喜びよ》、メンデルスゾーン=リスト編曲《歌の翼に》、ドビュッシー《月の光》。
エリーゼのために~決定盤!珠玉のピアノ名曲集エリーゼのために~決定盤!珠玉のピアノ名曲集
(1997/11/06)
オムニバス(クラシック)

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『Ultimate Classical Piano』
DECCAのピアニストの録音を集めた5枚組のピアノ名曲集。
カッチェンのブラームス以外の録音は、上のCDと同じく《主よ、人の望みの喜びよ》、《歌の翼に》。それにファリャの《火祭りの踊り》(バレエ音楽「恋は魔術師」より)。
Ultimate Piano Classics (Slip)Ultimate Piano Classics (Slip)
(2006/11/14)
Franz Liszt、 他

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tag : メンデルスゾーン カッチェン フランツ・リスト

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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