フィオレンティーノ ~ シューベルト/即興曲集D899

『セルジオ・フィオレンティーノ・エディション Vol.1:ベルリン・レコーディングス 1994-97』に収録されているシューベルト作品は、ピアノ・ソナタ第4番、第13番、第21番と即興曲D.899(No.90)。
特に良かったのは、初めて聴いた曲のピアノ・ソナタ第13番と、もともと好きな即興曲集D.899。
苦手なシューベルトでも、フィオレンティーノが弾くシューベルトは、流麗で優美な中にも激しさがほとばしり、叙情美しく気品漂うところに魅かれるし、なぜか”古き良き時代”を思い出させるようなノスタルジーを感じてしまう。

『Sergio Fiorentino Edition Vol.1 :The Berlin Recordings 1994-97』
Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1
(2012/01/10)
Fiorentino

試聴ファイル(分売盤にリンク)



即興曲集(4 Impromptus) D899,Op.90  [ピティナ作品解説]

砂糖菓子のように甘く可愛らしい音色が素敵だった第13番の演奏とは違って、《即興曲集D899》になると音色も雰囲気も曲ごとにいろいろ変わっていく。
優雅で優しい部分とパッショネイトな部分のコントラストが鮮明で、情緒過多になることなく、叙情豊かで品良いところがフィオレンティーノらしい。

Schubert - Sergio Fiorentino (1997) 4 Impromptus D 899



第1曲 ハ短調 Allegro molto moderato
物思いに沈むような主題部がもの哀しい。少しノスタルジックな雰囲気。
展開部は、覚醒したように力強くドラマティック。

第2曲 変ホ長調 Allegro 
この曲はなぜか勢いの良い強いタッチのフォルテで弾く人が多いような気がする。(騒々しくてあまり好きな弾き方ではないんだけど)
耳で聴いてもわかるとおり、譜面を見るとととてもシンプルな旋律と伴奏。
右手の主題旋律は練習曲のように、スケールをベースに鍵盤上を上がったり下がったり。
途中で挿入される短調の部分は、決然とした力強い和音の主題に変わる。

フィオレンティーノが弾くと、冒頭の右手旋律は粒立ちのよい音が柔らかいレガートで繋がっていて優雅。
左手伴奏も右手よりも弱音にして、ふんわりと軽くリズミカル。
短調に転調した部分は、決然とした雰囲気に変わる。強いタッチで一本調子になりがちなところを、フィオレンティーはタッチの強弱を変え、同じパターンの音型でも表情がころころと変化するので、単調になることなく。

即興曲集4曲の演奏のなかでは、この曲が一番印象的。フィオレンティーノらしい優美さと力強さの両方がうまくブレンドされている。

第3番 変ト長調 Andante 
この曲は強い叙情感が漂うのブレンデルの演奏が記憶に刷り込まれているので、それと比べると、太めのまろやかで暖かみのある音色が心地良く、明るい色調で落ち着いた穏やかな雰囲気。

第4曲 変イ長調 Allegretto
冒頭は短調と長調が入り混じり、右手高音部からカスケードのような流れ落ちてくるアルペジオが流麗。
短調に転調した部分は感情がほとばしるような激しさがあり、左手は単純な和音の伴奏なのに強弱の変化が強くて、これくらいパッショネイトな方が良い感じ。


<関連記事>
 フィオレンティーノ ~ シューベルト/ピアノ・ソナタ第13番 D664

タグ:フィオレンティーノ シューベルト

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コメント

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

フィオレンティーノといえばこのフィオレンティーノエディションのVol.2も出るようです。これが(個人的には)嬉しいことにオールリストです。
http://www.prestoclassical.co.uk/r/Piano%2BClassics/PCLM0041

曲目を見るかぎりでは、APRが復刻したものと、Sagaレーベルの未CD化音源を集めたものだと思います。

ルンペさんは以前フィオレンティーノのSaga録音を全てYoutubeにアップしてましたが、それを全て削除しました。おそらくこのCD化の売上への影響が出ないようにしたのかもしれません。

情報ありがとうございます

新年のご挨拶、どうもありがとうございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。

とうとうリリースにこぎつけたようですね!
Sagaのライセンスを得るのに手間取ったのでしょうか。

昨日、以前書いたフォイレオンティーノの記事を見たところ、そこに載せていたYoutube映像が削除されていました。
Vol.1の録音セッションの様子だったのですが、これも削除されてしまったのはとても残念でした。
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好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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