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ポリーニの東京リサイタル(1986年) ~ シューベルト/3つのピアノ小品第1番,ベートーヴェン/熱情ソナタ
シューベルトの《3つのピアノ小品》の音源を探していて、偶然みつけたのが、第1番を弾いているポリーニのライブ映像。
字幕には1986年と書いてある。たぶんNHKの中継か録画だろうし、客席を見ると黒髪ばかり。
あの東京リサイタルのライブ映像に違いない。昔、このNHKの放送を見ていて、いつかCDで聴きたいとずっと思っていた。結局CDはリリースされていないけど。

記憶に残っているのは、熱情ソナタとシューベルトのピアノ小品の2曲。
1986年当時のプログラムを調べてみると、5回の演奏会のうち、熱情ソナタを弾いたのは、5月16日NHKホールのリサイタル「青少年のためのコンサート」のみ。
全てベートーヴェンのピアノ・ソナタで、「葬送」、「告別」、「テレーゼ」、「熱情」という充実したプログラム。
最後の曲は当然ながら熱情ソナタ。クールで熱い情熱が凝縮され自己完結しているような熱情ソナタ。

アンコールは、ベートーヴェンの《バガテルOp.126》第3番とシューベルトの《3つのピアノ小品》第1番。(バガテルはなぜか記憶にない)
熱情ソナタの余韻をそのまま引きずったように、シューベルトもテンションが高く、躍動感があり、ひたすら前へ前へと突き進んでいく。なによりも情熱がほとばしるような演奏は、スタジオ録音とは全く別人のよう。
当時はクラシックを本格的に聴き始めた頃で、他の誰の演奏を聴いてももう一つと思えるくらいに、ポリーニのベートーヴェンが好きだった。
それから随分多くの演奏を聴いてきたので、(残念なことに)昔とは好みも変わってしまったけれど、この25年前のリサイタルで弾いているポリーニが好きなのは、今でも変わらない。

1990年代前半くらいまでのポリーニの演奏が好きだったので、CDはほとんど持っている。(最近のCDは買っていないけれど)
1980年代途中から徐々にピアニズムが変わっていったようで、1990年代に入ると打鍵が微妙にぶれるし、過剰に思えるペダリング(と編集で?)で音が混濁しているので、昔のような堅牢な造形力が弱くなっていったように感じる。
2000年代の熱情ソナタと悲愴ソナタのスタジオ録音(とライブ録音)を聴くと、やっぱり昔はよかった...みたいな感想になってしまう。
この東京リサイタルは、好きだったポリーニのピアニズムが終わりに近づいていた頃なのかもしれない。

Pollini, Schubert, 3 Piano Pieces, D946-1



これは1985年のスタジオ録音。エコーがかかったような音が好きではないし、リサイタルの演奏のようなテンションの高さは感じない。
Schubert / Pollini, 1985: Drei Klavierstücke, D.946



東京リサイタルで弾いていた熱情ソナタ第3楽章のライブ映像。
第3楽章を7分半くらいで弾いているので、限界ぎりぎりくらいの速さ。(それより速いのはグルダの7分10秒。ここまでくるとセカセカと落ち着きなく聴こえる)
昔からポリーニのベートーヴェンには賛否両論激しいけれど、この圧倒的な技巧で一分の隙もなく一直線に突き進んでいく揺るぎない演奏は、何度聴いても胸がすくような気持ち良さ。
2002年のライブ映像(Cité de la musique)もあるので、両方聴くとその違いがよくわかる。

Pollini Beethoven Appassionata 3 (1986)



tag : シューベルト ベートーヴェン ポリーニ

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実は
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/7628/index.html
によると1986年の「熱情」は青少年のためのコンサートだけということです。
ということは,その昔私が大学生だったころ,このコンサートにいました。ポリーニさん,いい人です。高校生のときと,大学院生のときにも青少年のためのコンサートで格安で聴かせていただきました。
ポリーニのポリシー
Kazさま、こんにちは。

ポリーニの実演を何度もお聴きになられたとは、うらやましい限りです。
ライブは日によって好不調の波がありますが、Youtubeで聴くと東京公演はとても良かったですね。
私は一度だけ、大阪のリサイタルを聴きに行きました。シューマンとショパンだったのは覚えているので、1995年のリサイタルのようです。
そのリサイタルは、ちょうど彼のピアニズムが変わった頃でしたね。実演で聴いてもそれがわかりました。

教えていただいたサイトには、インタビューなど情報がたくさん載っていますね。どうもありがとうございます。
今年は珍しくも名古屋で演奏会があるようです。米国での演奏会は、健康上の理由からキャンセルしたそうです。

ポリーニは若い頃、指揮者のアバド、作曲家のノーノと共にイタリア共産党員でしたから、クラシック音楽を聴く機会に恵まれない(疎外された)労働者や青少年のための無料(格安)コンサートをよく行っていました。
無料コンサートは、海外では今でも時々しているようです。
脳みそが痺れました
こんにちは。
ポリーニの86年の映像があるのですね。きっと、テレビ放映があったのでしょうね。私はFMで(確か生だった)聴いたのが印象に残っています。
それにしても、この演奏、ラストの追い込みはスゴすぎます。ちょっと神がかり的なものを感じます。
ポリーニのセッション録音でのベートーヴェンは、70年代の後期録音を含めて、いいとは思えないのです。でも、ライヴは別人のように素晴らしいと感じるんですよ。
この熱情ソナタは凄いです
吉田様、こんばんは。

映像を見ていると、当時TVで見た(聴いた)頃の記憶が蘇ってきたかのように感じました。
何度聴いても圧倒されますね!
こんな風に弾く人は、後にも先にもポリーニしかいないかもしれません。

ポリーニのベートーヴェン録音を聴きなおしてみると、76年、88年、92年・97年、2000年代と録音が分かれてますが、弾き方もそれぞれ違いますね。
後期ソナタ集は、若者らしいベートーヴェンで今でも好きですが、80年代以降の録音を聴くと、演奏スタイルが段々変化していて、う~ん...と思ってしまうものが多いです。

そういえば、最近のポリーニのCDはセッション録音ではなく、ライブ録音がわりと多いです。
ポリーニ本人も、リサイタルの方が自分らしい演奏ができると思っているので、ライブ録音を好んでいるのかもしれません。
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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