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レーゼル ~ ベートーヴェン/3大ソナタ集 「月光」「悲愴」「熱情」
レーゼルが録音したベートーヴェンのピアノ・ソナタ集は2種類。
数年前に完結した初の全集録音は、2007年~2010年にかけて日本で行ったリサイタルのライブ録音&セッション録音による全集。(キングレコードの国内盤・全8巻)
このうち、ベスト盤には「月光」「悲愴」「熱情」に加えて第30番を収録。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ・ベストベートーヴェン:ピアノ・ソナタ・ベスト
(2013/03/13)
レーゼル(ペーター)

試聴ファイル



抜粋録音としては、旧東ドイツ時代の1974年~1982年にかけて、国営レーベル「ドイツ・シャルプラッテン」に録音した7曲。
1974年~84年に録音した「テンペスト」「狩」「テレーゼ」「ハンマークラヴィーア」は、Berlin Classicsの2枚組の分売盤と、レーゼルの独奏曲BOXにそれぞれ収録されている。

1980年と1982年にドレスデンのルカ教会で録音した「月光」「悲愴」「熱情」は、キングレコードが”ハイパー・リマスタリング・シャルプラッテン・ベスト”としてリマスタリングし直して、2008年に再リリース。
「ドイツ・シャルプラッテン・レーベル」は、1953年、旧東ドイツ(ドイツ民主共和国)に設立された旧東ドイツ唯一のレコード公団。
最盛期には1000人以上の従業員、西側の音楽家達からも羨ましがられる優秀な制作・録音チームを抱え、東ドイツで外貨を稼ぐトップクラスの公団として「カール・マルクス勲章」を授与されたという。
1990年、東西ドイツの統合による東ドイツの消滅とともに公団も消滅。
大量の音源は、EMI、ドイツグラモフォン、フィリップスおよび徳間ジャパンに流れ、残りはフランクフルトに本社があるエーデルに引き取られた。
1972年以来、徳間ジャパンとシャルプラッテンは提携関係にあった。(以上、キングレコードの解説による)
現在、キングレコードが、シャルプラッテン音源の国内復刻シリーズをがリリース中。

ベートーヴェン:三大ピアノ・ソナタ「月光」「悲愴」「熱情」ベートーヴェン:三大ピアノ・ソナタ「月光」「悲愴」「熱情」
(2008/01/09)
レーゼル(ペーター)

試聴する
旧東ドイツの国営レコード会社であるドイツ・シャルプラッテンのオリジナル・マスター・テープを元にリマスタリング。「熱情ソナタ」では低音の重みがよく伝わってくる。

                      

東ドイツ時代の旧盤を試聴ファイルで聴いたとき、「月光」と「テンペスト」の第3楽章が素晴らしく、これは私の好みにぴったり合うベートーヴェンだと直観。
CDで聴いても、やはり直観は正しかった。それから数十年を経て完結した新盤全集は、それ以上に素晴らしく、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集としてはマイベスト盤。

東ドイツ時代の30代半ばという若いレーゼルの演奏と、60代前半のレーゼルの演奏とを聴き比べてみると、レーゼルのベートーヴェンは基本的な方向性は変わることなく、より深化しているのがよくわかる。
若い頃よりは多少指回りは悪くなっているとしても、テンポはほとんど落ちず、メカニック自体は安定感があり、旧録で時に感じることのあるメカニカルな速さは全く感じない。
より重みのある安定感が増して、ソノリティも美しく多彩になり、澄んだ透明感に加えて、柔らかさや温かさも帯びている。
さらに表現にも深みと奥行きが加わり、外面的な派手さやわかりやすさはなくても、流れが自然で情感豊か。

レーゼルの演奏は、”個性的な魅力があるっていうんじゃないけれど、非常にくっきりとした、あるべきところにちゃんと音のあるピアニスト”と、旧盤の日本人プロデューサーがライナーノートに書いていたけれど、旧盤以上に新盤はまさにその表現通り。

全体的に、新盤の演奏の方が、急速楽章でも打鍵が深く、弾力のある芯のしっかりした音に聴こえる。(録音音質とかが関係しているかもしれないけれど)
特にテンポのコントロールがしっかりしているので、基本的にはインテンポで弾くことが多く、多少テンポを揺らすときも旋律の流れが淀むことなく、流れが滑らかで自然。
旧盤では、テンポを落とすときに、止まりかかったように流れが少し悪くなるように感じるときがたまにある。

新盤も旧盤も、今も昔も粒立ちの良い音で、一音一音がクリアに聴こえるのは昔も今も変わらない。
旧盤では、どんなに速いテンポの細かいパッセージでも、シャープなタッチで音が立っているというか、クリスタルガラスのように一音一音がクリア。
色はやや硬質で、清流のように冷んやりとした温度感があるせいか、蒼色のようなイメージ。
速いテンポで力強くシャープなタッチでメカニックが精巧。まっすぐに伸びた木のように枝葉の細部に凝らず、一直線に弾きこんでいくところがかなりストイックで、クールな叙情感が漂う。
どちらかといういえば、旧盤では、柔よりも剛の方がやや強い感じはする。

レーゼルが弾いているベートーヴェンのピアノソナタの音源。
最近のライブ&セッション録音ではなく、東ドイツ時代の若かりし頃の演奏のもの。
30~40年近い隔たりがあっても、レーゼルのピアニズムのコアの部分は大きく変わってはいない(と思う)。
残響は多めだけど、クリアでしっとりとした潤いのある音質が美しくて聴きやすい。
7曲録音したピアノ・ソナタのうち、特に好きなのが、「月光」、「テンペスト」、「熱情」。
若い頃の演奏とはいえ、何度聴いても、澄み切った音色の美しさと颯爽とした演奏に惚れ惚れしてしまう。

Beethoven - Piano sonata n°14 op.27 n°2 - Rösel



Beethoven - Piano sonata n°17 op.31 n°2 - Rösel



Beethoven - Piano sonata n°23 op.57 - Rösel



<過去記事>
レーゼル ~ ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」(旧盤・新盤)

tag : ベートーヴェン レーゼル 「悲愴ソナタ」 「月光ソナタ」 「熱情ソナタ」 「テンペスト」

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プロフィール

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

愛聴するのはベートーヴェンとブラームス、それにバッハ。ロマン派ならリスト。​さらに現代(20​世紀)の音楽を探検中。特に好きなのはピアノ音楽(ソロ、コンチェルトに室内楽)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなピアノ曲:ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30・31・32番,ピアノ協奏曲第3番&第4番。ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番、ヘンデル変奏曲、後期ピアノ作品集。バッハ:パルティータ、フランス組曲、イギリス組曲

好きなヴァイオリン曲:バッハ・ベートーヴェン・ブラームスのヴァイオリンソナタ(ピアノ&ヴァイオリン)、シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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