ライブ録音集 『Great Pianists』 

2012, 06. 14 (Thu) 18:00

Membranの10枚組BOXシリーズ"documents"の『Great Pianists』は、名だたるピアニストのライブ録音が10枚組セットで千数百円という超廉価盤。
数年前にリリースされたときは、オンラインショップだけでなく、近所のショッピンセンターのCDショップでも輸入盤が平積みされていた。
収録されているのは、あまり見かけたことのない音源ばかり。
ゼルキンのルガーノライブは、随分昔に買ったErmitage盤でも出ている。
ほとんどの音源は、ルガーノ、アスコナなどの音楽祭のリサイタルを放送用に録音しているものらしく、バックハウスのCDの音質が少し悪い以外は、1950-60年代の録音のライブ録音でもかなり良い。
ベルマンは1989年、カニーノは1993年と比較的新しいので、音質も充分なくらいに良い。

Great PianistsGreat Pianists
(2007/08/14)
Frederich Gulda、Wilhelm Backhaus 他

試聴ファイルなし

収録しているピアニスト・演奏曲目(HMV紹介文)


気に入っているのは、昔から聴いていたゼルキンはもちろん、グルダ、ベルマン、アンダ、カニーノのライブ録音。

ゼルキンは、1957年の演奏なので、壮年期のエネルギッシュで気合の入った演奏が聴ける。
選曲も得意な曲が並んでいるし、熱情ソナタはスタジオ録音と同じかそれ以上の内容ではないかと。
ブラームスのヘンデルバリエーションも、後年のスタジオ録音は指回りがやや悪くソノリティが美しく優美な雰囲気が強いけれど、このライブ録音では、ずっと若いゼルキンの技巧の切れ味が良く、生き生きとした躍動感もあって軽快。
ゼルキンが良く弾いていたバッハの曲は、カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」変ロ長調BWV992。
しっとりとした情感と端正さがとても清々しく綺麗な曲。

Bach-Capriccio on the departure of a beloved brother BWV 992




もともとあまり好きではないグルダでも、モーツァルトとシューベルトは良く思えたし、何よりワルトシュタインが普通に聴けた。
グルダの大人気のピアノ・ソナタ全集(1967年スタジオ録音)に収録されているワルトシュタインは、猛スピードでせかせか慌しい。
このスピード感が好きという人もいるけれど、私のテンポ感覚だと異様な速さでコミカルに聴こえる。
グルダ自身、テンポが速すぎて一線を超えていた..と言っていたくらいだし。
このライブ録音ではそれより少しテンポを落として、限界に近い(超えない)くらいの速さで弾いている。(これでも充分すぎるくらいに速いけど)

Friedrich Gulda - Beethoven - Piano Sonata op.53 "Waldstein" - I. Allegro con brio
(第1楽章のリピートは省略)



ベルマンは、1960年頃の全盛期よりも30年ほど後年の演奏なので、昔のような切れの良さはないのだろうけれど、リストの編曲・オリジナル、それにスクリャービンも、わりと好きなタイプの曲なので、これは聴いて楽しい。

アンダのライブ録音は1965年のアスコーナ音楽祭のリサイタル。
エチュードOp.25は、アンダのショパン録音の中でも一番多い。1955年~1965年にかけて全部で6種類の録音があり、モノラル・ステレオ録音を取り混ぜて、セッション録音よりもライブ録音の方が多い。
今時の若手ピアニストと違って、アンダは技巧的にバリバリと弾きこなしているわけではなく(テンポも遅めだし)、技巧の鮮やかさよりも、アンダらしい音楽づくりを聴くためのエチュード。
シューベルトのピアノ・ソナタの録音は珍しい。第21番はスタジオ録音が残っているけれど、この13番はアンダの甘く美しい音色にとても良く似合う。

Géza Anda plays Chopin 12 Etudes Op 25 No 10,11,12


カニーノのゴルトベルクは、いつ聴いても新鮮。
カニーノを聴くのが目的のBOXセットだったけれど、他にも気にいった録音がたくさんあるので、これはやっぱりお得なBOXセットだった。

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