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ポール・ジェイコブス 『Busoni :the Legendary Recording』 ~ バルトーク/3つのエチュード
バルトークの《3つのエチュード》Sz.72/Op.18(1918年)は、ジェイコブス自身の解説によると、《中国の不思議な役人》を作曲中に書いたエチュードなので、同じ特徴が現れている。
壮麗なハーモニー、器楽的な技巧性の高さ、それに、熱に浮かされたようにエキサイティング。
前衛的な攻撃的、不確実で不気味な時代特有の不安感は、民謡をモチーフとしたピアノ曲とは全く違ったタッチ。
ピアノ協奏曲第1番&第2番よりもさらに厳つく荒々しい雰囲気だけれど、《弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽》を聴いていると違和感なく思えてくる。

No.1 Allegro molto
- ストラヴィンスキーの《春の祭典》の影響が顕著。
- 両手とも9度、10度という広い間隔の音が多く、外側の指(しばしばより弱い指)に対してかなりシビアな動きを要求される。
- 形式的には、オクターブで置き換えられたシンプルな半音階から派生し、その"intervallic stretch"(音の間隔、開き)はシェーンベルクの音楽においても典型的。

打楽器的な奏法で岩のように堅い低音や和音が厳めしく、プリミティブな(原始的な)躍動感と色彩感が煌いて、いたく感覚を刺激するエチュード。
荒々しい曲想とは対象的に、和声が幻想的に美しく、不思議な妖艶さを帯びている。
《春の祭典》の強い影響がある解説どおり、原始社会での祝祭空間のような混沌とした情景が浮かんで来る。


No.2 Andante sostenuto
- 全体が半音階的と3度以外の間隔に基づいた和音がベース。
- 複合和音(Polycode)のアルペジオが煌いて、色彩的には、ハープ、ピアノとチェレスタ。
- ドビュッシーが到達した新しいピアノの和声が増幅されている。

多くのピアニストはバルトークをバンバンと弾きすぎる、バルトークの和声はとても美しいのだと、ハンガリー人のシフが言っていた。
この曲の和声的・色彩的な美しさは、ドビュッシーのような線の細い透明感のある"印象主義的"なタッチとは全く違う。
近現代の合理性とは相容れない本能的・原初的なものを感じさせる和声の響きには、ねっとりとした妖艶な美しさと荒々しい逞しさが融合している。


No.3 Rubato - Tempo giusto capriccioso
- 左手の高速の16分音符が絶えず再集合し(regrouping)、それが生み出すより大きなパルスが伸縮するという、リズミックな対位法で書かれている。
- 右手は和音のフレーズで構成され、不規則的・非対称的に配置。左手の音のまとまりとは対応していない。

冒頭は幻想的な雰囲気で冷たい響きの和声で始まる。
すぐに、原子・分子のようなミクロな何かが自在に動き回っているような運動性のある高速の細かいパッセージが続く。
左・右手で弾く旋律は、それぞれ独自の運動的自律性で動いているので、規則性のない集合離散を繰り返しているような印象。最後の和音のフレーズが少しメシアン風(?)。



Bela Bartok / Paul Jacobs, 1976: Three Etudes, Op. 18, Sz. 72 (1918)
No.2(2:06-)、No.3(5:12-)




Busoni;the Legendary RecordingBusoni;the Legendary Recording
(2000/07/24)
Paul Jacobs

試聴する(allmuisc.com)
作品解説は、ジェイコブス自身によるもの

tag : バルトーク ジェイコブス

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