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ポール・ジェイコブス 『Busoni ;the Legendary Recording』 ~ メシアン/4つのリズムのエチュード
メシアンの《4つのリズムのエチュード/Quatre etudes de rythme》(1949-1950)は、ストラヴィンスキ、バルトーク同様、このジャンルでの唯一の作品。
どの曲も、煌きのある鋭い高音の華やかに装飾されたフレーズと、低音の厳つい響きがメシアンらしい曲。
伝統音楽のような形式的規則性や叙情感はなくとも、"リズムの練習曲"という名の通り、メシアン独特の異なるリズムの組み合わせが面白い。

No.1 <火の島 第1> "Ile de feu I"
-パプア風の主題。主題がストレートに提示され、伴奏は低音部のクラスターでパーカッション的ノイズ。
-主題が度々再現され、鳥の音、不協和音、ゴングなども繰り返し伴奏される。
-対位法が長くなる部分は、インド音楽ラーガから派生した旋律が使われている。

Olivier Messiaen / Paul Jacobs, 1976: Quatre Etudes De Rythme (1949-50) - Nos. 1 and 2



No.2 <音価と強度のモード> "Mode de valeurs et d'intensites"
-完全にセリエル主義化された最初の作品の一つ。作曲技法として、メカニカルな進行を使っているだけでなく、演奏者の側に解釈の余地を与えない。この作品の最も革新的なところは、ダイナミックレベルとタッチのコンセプト。
-3つの12音のセットに分割された36音で構成。それぞれ違う長さ、打鍵の強度、各ピッチに関連したダイナミックレベルを持つ。終始断片的で、縦の線のコンビネーションが頻繁に変化するが、各音は単一のダイナミックレベルで打鍵の質も不変で、音楽もほとんど全体的にスタティック。
-この作曲の登場で、50年代の欧州の音楽にどのくらい影響を与えたかという点は驚くべきもの。電子音楽の美学に対するロジカルな橋渡し役。

解説の意味はさっぱりわからないけれど、聴いていると、氷雨のような鋭く冷たい高音が、不規則的な規則性を持って、雫のようにしたたり落ちているイメージ。
高音部はリズミカルだけれど、低音の響きと長さはそれとは対照的。高音の音はそれほどまばらでもなく、絶えず動き回っているのに、音楽としてはスタティック(静的)。


No.3 <リズムのネウマ> "Neumes rythmiques"
"neumes"とは、中世の音楽のことで、ギリシア語では〈合図〉を意する。特にグレゴリオ聖歌において、四線譜や五線譜が成立する以前に使われていた楽譜記号。旋律の動き方を1音~数音のグループで示す。(百科事典マイペディア)

-メシアンは、この作品の基本的な素材を生み出すために、メロディアスでリズミックなセル(リズミックなネウマ)を並置している。
-各セルは、再現されるたびに同じダイナミックスと不協和音で提示される。冒頭とラストに現われる2つのリフレインが散りばめられている。

この間聴いた《アーメンの幻影》を思い出させるような和声と旋律が入っている。
No.1とNo.2とは違って、運動性が低く、素材がさらに断片的に繋がっているように聴こえる。

Olivier Messiaen / Paul Jacobs, 1976: Quatre Etudes De Rythme (1949-50) - Nos. 3 and 4



No.4 <火の島 第2> "Ile de feu II"
-No.1とは異なるパプア風の主題。12の半音階ピッチが置換されて散りばめられたり、結合したりするリフレイン素材。
-コーダはインド音楽の旋律。

Busoni;the Legendary RecordingBusoni;the Legendary Recording
(2000/07/24)
Paul Jacobs

試聴する(allmuisc.com)
作品解説は、ジェイコブス自身によるもの。

tag : メシアン ジェイコブス

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