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レーガー/モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ(2台のピアノのための)
マックス・レーガーは、ドイツ3大B(バッハ、ベートーヴェン、ブラームス)の後継者と自認していたらしく、対位法や変奏曲を多様した作風と、オルガン曲から管弦楽曲・協奏曲・室内楽・器楽曲・歌曲・合唱曲まで幅広いジャンルの多作家。
身長2mと体重100kgを超える巨漢で、ヘビースモーカーの大酒飲み(?)。その人となりも豪快だったらしい。[Wikepedia解説]

不摂生な生活がたたってか、43歳で急逝してしまったけれど、その短い生涯に残した作品は、交響曲とオペラ以外のジャンルをカバーし、数も多い。優れたピアニスト・オルガニストであったレーガーの作品は、ピアノ作品全集はCD12枚(Thorofon盤)、オルガン作品全集はCD14枚(Mdg盤)にわたる。
それにしては、一般にあまり聴かれていないのは、オルガン作品が有名なこと、重厚長大で時として難渋な作風なのが、大きな理由なのかもしれない。
彼のピアノ作品で有名なのは、おそらくピアノ独奏曲の《バッハの主題による変奏曲とフーガ Op.81》。
レーガーのピアノ作品は、対位法と変奏を駆使した作品を聴くと独特の作風がよくわかる。
《ピアノ協奏曲》も書いてはいるけれど、これも重厚長大な曲で、ロマンティックで馴染みやすい曲とはとても言い難い。
ピアノ小品数が膨大にあり、陰翳の薄いあっさりとしたブラームス風の作風で聴きやすくはあるけれど、演奏や録音が多いとは言えない。編曲作品も多く、そのなかではバッハの編曲ものが有名。

珍しい2台のピアノのための作品は、いくぶん奇妙な作風が面白い《モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ/Variations And Fugue On A Theme Of Mozart Op. 132A For Two Pianos》。
あのピアノ・ソナタが、こういう曲に変容するのかという斬新さがとっても刺激的。これはレーガー自身が管弦楽版に編曲し、そちらの方が有名。
《バッハの主題による変奏曲とフーガ》の如く、やたらに音が密集し、不協和音じみた濁った響きの和音があちこちで聴こえる。
冒頭のシンプルな主題のモチーフは、とても可愛らしいモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番(トルコ行進曲付き)第1楽章の第1主題。
変奏は全部で8つ。変奏が進んでいくと、主題がイメージできないような旋律と和声に変形されていたりする。
最終変奏(に限らないけれど)になると、原曲の主題がどういう風に変形されているのかよくわからなくなる。
それに、レーガーらしく極度に密集した重層感のある旋律や和音と、やや調子の外れた不協和的な和声が、2台のピアノでさらに強化されている。第2変奏はまだしもましな方で、急速な第4変奏、第5変奏、第8変奏はとってもパワフル。
全体的に混沌として錯綜したような独特の雰囲気がとっても摩訶不思議。

どことなく不健康で(?)物憂げな気だるい雰囲気の和声は、世紀末風かも。現代音楽や無調・不協和音を聴き慣れた人なら、面白く思えるのではないかと。
この曲は、1914年に書かれたので、レーガーが43歳で急逝する2年前の作品。
調性感がずれた不安定感を感じさせるのは、調性感が曖昧になっていった後期ブゾーニの音楽を思い出す。
そういえば、ブゾーニが書いた不可思議な雰囲気の2台のピアノ作品《バッハのコラール「幸なるかな」による即興曲》も、同時期の1916年に書かれていた。(ブゾーニとレーガーは親しい友人だったらしい)

Youtubeにある音源は、Genova & Dimitrovが、ポーランドのInternational Chopin Piano Festivalで演奏したライブ録音。
Genova & Dimitrov in Duszniki - Max Reger - Mozart Variations op.132a (1)


Theme
I Listesso
II Poco agitat
III Con moto
IV Vivace
V Quasi Presto
VI Sostenuto
VII Andate gra
VIII Moderato
Fugue Allegro grazioso


レーゼルのディスコグラフィで見つけたCD(ロドリゲスの専属レーベルの録音)は廃盤らしく入手しにくい。
それに90年代のデジタル録音のわりには、狭い室内で録音した古い音源をリマスタリングしたような古ぼけた響きがするので、音質は良くない。日本のamazonやitunestoreでダウンロード可能。
Con Brandenburg 3/5/Var & Fugue on Theme of MozartCon Brandenburg 3/5/Var & Fugue on Theme of Mozart
(2002/05/21)
Santiago Rodriguez,Peter Rosel

試聴する(MP3ダウンロード)


                           

2台のピアノ版よりも、管弦楽盤の方が、レーガーの重厚さと、混沌・錯綜とした雰囲気が強く出ている。
Max Reger - Variations and Fugue on a Theme by Mozart, Op. 132 - Variation 5: Quasi presto


Max Reger - Variations and Fugue on a Theme by Mozart, Op. 132 - Fuge: Allegretto grazioso


tag : レーガー モーツァルト レーゼル

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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