*All archives*



Medical Rresponse Dog
----------------------------------------------------------------------------------
Medical response dog
----------------------------------------------------------------------------------
先日たまたま見ていた医療関係のネットニュースの見出しで目にした言葉は"低血糖アラート犬"。
もしかして、医療ニュースだから、人間が低血糖になったら(なりそうだという兆候を感じたら)、ワン!と吠えて、警告してくれるんだろうか?まさか~と思っていたら、実際その通りだった。

障害のある人を介助する犬と言えば、真っ先に浮かんで来るのが盲導犬。それから、介助犬、聴導犬、セラピー犬。
医療分野以外でも、人間の手助けをする犬は、警察犬、麻薬捜査犬、災害救助犬(救難犬)、軍用犬。
探せば、このほかにもいろんな文野で役立っている犬たちがいそう。

驚くべき能力を持つ犬たち~Extraordinary Dogs~ [National Geographic Channel]
イギリスの実話では、ヨークシャー・テリアが糖尿病の飼い主の発作を事前に警告する、コリー犬が飼い主のガンを発見して知らせた。ベルギーでは持病を抱える飼い主に発作の前兆を知らせる犬がいる。

"Medical response dog"のタイプ
国際団体Assistance Dogs International, Inc.(ADI)の定義・分類によると、使用者(handler)に対して特殊なサービスを提供する犬のことを"Assistance dogs"と言う。
"Assistance dogs"のタイプは3種類:Guide dogs(盲導犬)、Hearing dogs(聴導犬)、Service dogs。
"Service dogs"は、視覚・聴覚以外の障害を持つ人を手助けする犬で、ほとんどが特殊な訓練を受けたゴールデン・リトリバーかラブラドール・リトリバー。
ニュース記事を見ていると、例外的にたまたま飼っていた犬が、訓練も受けていないのに、同じような役目を果たしたケースもある。
使用者の障害・症状は様々で、車椅子使用者や平衡感覚障害、自閉症、てんかん、糖尿病、精神的障害を持つ人など。
"Service dogs"の定義・役割[Assistance Dogs International, Inc.(ADI)]

"低血糖アラート犬"は、Service dogsの一種である"Medical response dog"に分類される。
"Medical response dog"が対応している障害・症状は4種類。
- Diabetic alert dog : 糖尿病患者の低血糖状態の感知
- Seizure response(alert) dog : てんかんや発作性障害の発生の予知
- Psychiatric service dog : 精神障がい者のサポート
- Cancer & bio-detection dog : 癌を感知
犬の病気探知能力~低血糖、てんかん、癌 [子犬のへや]

身体障害者補助犬法
この法律では、「補助犬」として、「盲導犬、介助犬及び聴導犬」が規定されている。
特定の病状を感知・予知する犬は対象外。
てんかんや発作などの予知対象・予知確度がわからない、予知能力が学術的に解明されていないことなど、「予知犬」として認定することが困難というのが理由らしい。

Assistance Dogs International,Inc.(ADI) (国際アシスタンスドッグ連盟)
1987年にアメリカで設立。事務局本部はカリフォルニア州。
加盟団体数:世界中の110の補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)育成団体が加盟。日本では、日本盲導犬協会の他に、介助犬が1団体、聴導犬が1団体合計3団体が正会員として加盟。
目的は、補助犬育成事業者の訓練方法や認定基準の統一、補助犬を受け入れるための理解促進。毎年、米国や欧州で国際会議を開催している。
(参照:日本盲導犬協会ホームページ)

訓練団体
一般的に非営利団体、慈善団体が"Medical response dog"の訓練を行っており、海外サイトには関連NPOや個人のホームページが多数ある。
Indiana Canine Assistance Network (ICAN)
米国インディアナ州で介助犬訓練のボランティア事業を実施。hearing alert dogs(聴導犬)、seizure alert/response dogs(てんかん予知犬)は訓練していない。
Medical Detection Dogs : 英国の慈善団体。Cancer & Bio-detection dogMedical Alert Dogの訓練を行っている。



----------------------------------------------------------------------------------
低血糖アラート犬(diabetic alert dog)
----------------------------------------------------------------------------------
"低血糖アラート犬"は、英語で "diabetic alert dog" または "Hypo alert dog" と言う。
(diabetic=糖尿病、hypoglycemic=低血糖)

「“低血糖アラート犬”が1型糖尿病患者の低血糖を感知し、意識消失や緊急通報回数が減少」 [日経メディカルオンライン]
2012年6月8日~12日にフィラデルフィアで開催された第72回米国糖尿病学会での研究報告。
"低血糖アラート犬"は、患者の生活全般を手助けする介助犬の訓練と、糖尿病患者の低血糖時の汗を嗅ぎ分ける訓練を受けている。
アラート犬が患者の低血糖を感知したら、どういう行動をとるかと言うと
1)患者の腕や足を揺すり、患者がそれに反応しないときは、ワンワンと吠えて他の人間に知らせる。
2)周囲に誰もいないとわかると、アラート犬は電話の受話器を外し緊急通報用パッドを叩いて救急車を呼ぶ。
3)患者が反応した場合は、冷蔵庫を開き、糖分を含む飲食物を選んで、患者の手元に運ぶ。

実際の生活場面でアラート犬の能力を調査した結果は、調査期間中に67回反応し、そのうち28回は正常血糖値。
低血糖の検出感度は97.5%、低血糖をアラートしなかった偽陰性は2.5%(1回)。
アラート犬の警告により、患者が低血糖で意識を喪失した回数が時間が経つにつれ減少している。

低血糖アラート犬が汗の中のどのような成分に反応しているのかは未解明。

<参考サイト>
犬の低血糖探知能力[子犬のへや]

関連記事:低血糖を感知して知らせる「糖尿病アラート犬」 [糖尿病ネットワーク:創新社,2011年09月21日]
犬のトレーナーの説明では、ヒトの1000倍の嗅受感覚器を持つ犬は嗅覚が鋭く、低血糖やケトアシドーシスを嗅ぎ分けるらしい。

関連記事:Dogs alert diabetes patients when blood sugar is off [USA Today,10/13/2010]
- 犬の訓練施設の一つで非営利団体の"Dogs4Diabetics"(D4D)でトレーニングを受けたBriaは、13歳の少女Ashleyに低血糖状態の兆候が現われる(または定期的に行っているデジタル血液テストの)数分前に、低血糖の危険ゾーンに入りそうになるとAshleyに知らせる。
- 低血糖アラート犬の価値は3万ドル相当。しかし使用者は申し込んでから数ヵ月後に、わずか150ドルの申込費用と諸経費(application and materials fee)を支払って、アラート犬を手にすることができる。
- D4Dは今までに12歳~75歳の糖尿病患者(航空整備士や大学生もいる)にアラート犬を提供している。
- D4Dが行う犬のscent-detection(臭い弁別)訓練は数ヶ月。訓練している犬の大半はすでに盲導犬育成団体で訓練済みの犬で、テニスボールに興味を示したり遊ぶのに気をとられたりするため、盲導犬としては不適格だった、
- 糖尿病はおびえて孤立した状況にもなりうるため、アラート犬は医療面だけでなく、精神的にも良い効果をもたらす。



----------------------------------------------------------------------------------
てんかん反応犬(Seizure response dog)
----------------------------------------------------------------------------------
使用者のてんかんや発作性障害を予知して対処する犬は、"Seizure response dog"、"Seizure alert dog"(てんかん反応犬、てんかん予知犬)と言う。
"Seizure response dog"に関する研究論文はほとんどなく、今のところ、てんかんなどの発作を"予知"する犬の能力とそのメカニズムは科学的に未解明。

彼らが使用者のてんかん発作に対してとる行動 (英文Wilipediaの解説)
- (てんかん発作を起した使用者のために)助けになる人を見つける、または、医療用警報や事前にプログラムされた電話を作動させて、助けを呼ぶ。
- 潜在的に身体への危険がある物(歩行上の障害物など)から使用者をブロックする。
- 発作中または発作後に意識不明になっている使用者を起こす。
- 精神的なサポート(と二次的に感情面でのサポート)。
- 犬と使用者の病状に関する情報、最初に発見した人向けの指示書き、緊急医療用キットと酸素の携帯。

Seizure Dogs に関する定義とQ&A [Epilepsy Foundation of America, Inc]
Epilepsy Foundation of Americaは、メリーランド州に本部のあるてんかん患者のための全国的非営利組織。
- 犬がてんかんを予知する行動は訓練可能だというトレーナーの言葉に対しては、(特に高額な訓練費用がかかる場合はなおさら)非常に慎重に考えるべき。
- 犬ができることとできないこと、血統による違いがあるのかどうか、この独特のスキルを開発・習得するための一番良い方法はなにかについて、より多くの研究が必要。

Epilepsy Foundation’s Position on Seizure “Predicting” Dogs
Epilepsy Foundationの"Seizure 'Predicting' Dogs"に関する見解。
- メディアの報道記事はほとんどが逸話(anecdotal)であり、個人的な経験を語ったもの。
- このタイプの犬の能力を試験した研究はほとんどないが、ある英国の研究結果では、生まれながらこのスキルを持っている犬がおり、訓練すれば使えるようになるかもしれないと示唆している。
- Roger Reep博士(フロリダ大学生理学部准教授)の研究(1998年):30~60歳のてんかん患者77人に対して、てんかん発作前・発作の間に飼い犬がとった行動等をアンケート。調査後のインタビューでは、31人中3人がてんかん発作が起こるのを飼い犬が知っているように思えると言い、他の28人はてんかん発作の間、飼い犬が一緒にいてくれたと答えている。
- "seizure predicting" dogsに関して、さらに多くの研究が必要だと考えており、"seizure predicting"するServeice animals(介助サービスを行う動物)を訓練して提供するというプログラムには注意が必要。

<参考サイト>
犬のてんかん予知能力[子犬のへや]

関連記事:Seizure-Alert Dogs Save Humans With Early Warnings (February 11, 2004) [National Geographic News]
How dogs detect an oncoming seizure in a human is a mystery. Some trainers and researchers think they detect subtle changes in human behavior or scent before an episode occurs. There are no scientific studies, however, to prove these theories. Trainers also believe the behavior is not breed, age or gender specific in dogs.
- Seizure alert dogsがどうやっててんかん発作を事前に察知するのかは謎。理論的に証明するための科学的研究はない。
人間の行動の微妙な変化を見つける、てんかん発作前の臭いをかぎ分けるという訓練士や研究者もいる。彼らは、血統や年齢などとは無関係の生まれながらの能力によるものだと信じれている。
- 1996年以降、非営利団体が25頭以上のseizure alert dogsを育成。てんかん発作が起こる15分~12時間前に、鼻を鳴らす、足で掻く、不安そうに吠えるという行動で警告する。
- 犬たちの出自は様々。ブリーダーやアニマルシェルターの犬やもともと飼い主のペットなど。
- 飼い主がテンカン発作を起している間、その側に留まるか、電話で911番をダイヤルするように訓練される。
- てんかん予知能力を持ったアラート犬の実際の頭数は不明。標準化された訓練や認証システムが無く、個々人でペットを訓練している人もいるため。
- 1998年の研究では、29人の犬の所有者(少なくとも月1回の発作がある)のうち、9頭が飼い主のてんかん発作に対処し、うち3頭は事前に警告したという報告がある。

関連記事:Personal Story of a Seizure Dog [Epilepsy Foundation (Minnesota)、2008.6]

"危険予知犬":日本に一頭しかいない飼い主の発作を予知する犬。

映画「私の中のあなた」
白血病の姉のドナーとなる目的で遺伝子操作により生まれてきた9歳の少女から、両親を相手どった訴訟の弁護人を依頼された敏腕弁護士の飼い犬がボーダーコリーのジャッジ。飼い主の態度や臭いでてんかん発作が起こるのを察知し知らせるように訓練された"てんかんアラート犬"。(<私の中のあなた  MY SISTER'S KEEPER>[映画の話でコーヒーブレイク])



----------------------------------------------------------------------------------
ガンを感知する犬(Cancer detection dog)
----------------------------------------------------------------------------------
低血糖やてんかん・発作を予知する以外に、癌を感知する能力を持つ犬は"Cancer detection dog"と呼ばれる。
ガン患者の体内で生成される化学物質を犬の嗅覚が捉えるらしいが、その化学物質は特定されていない。

Can dogs detect the smell of cancer? [Cancer Research UK]
Dogs detecting cancer: Intriguing but not practical [Cancer Research UK]
上記2件の記事は、この犬の能力については、"興味深いが実用的ではない"という批判記事。
それによると、トレーナーと犬との両方の育成訓練に時間がかかり、訓練できたとしても犬の能力差やその時々のコンディションによるばらつきがあり、医療手法として導入できるものではない。
犬ではなく、"electronic noses"(電子式の鼻=検知装置)を開発するべきであり、実際、世界でその種の装置の研究開発が行われている。

<参考サイト>
犬のガン探知能力 [子犬のへや]

参考論文:Olfactory detection of human bladder cancer by dogs:proof of principle study

関連記事:Saved by the dog-tor: Pet collie 'sniffed out' that owner had breast cancer (27 February 2009,Mail Online)
イギリスでコリー犬が飼い主の乳ガンを発見してその命を救ったという逸話。

関連記事:The dogs that can detect cancer: Meet the four-legged 'bio-detectives' who are pioneering a health revolution (16 November 2011,Mail Online)


----------------------------------------------------------------------------------
C.difficile感染を検知する犬
----------------------------------------------------------------------------------
ビーグル犬クリフがC.difficile感染患者を高精度に探知 ベッドサイドで座り込めば陽性[日経メディカル オンライン]


----------------------------------------------------------------------------------
備考
----------------------------------------------------------------------------------
この記事は、主に英文情報を要約・編集したものです。正確な内容はリンク先の原文情報をお読みください。
Secret
(非公開コメント受付中)

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。