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新譜情報:ブッフビンダー ~ ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集(1976-82年録音)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集、変奏曲全集、バガテル全集

ルドルフ・ブッフビンダーが若かりし頃に録音したベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集のリイシュー盤が、HMVで6月26日にリリースされていた。
1976-82年のスタジオ録音で、変奏曲全集とバガテル全集も収録されている。全部で15枚のBOXセット。

ピアノ・ソナタ全集、変奏曲全集、バガテル全集ピアノ・ソナタ全集、変奏曲全集、バガテル全集
(2012年06月26日)
Rudolf Buchbinder

試聴ファイルなし/収録曲リスト(HMV)
現時点では、HMVとTowerRecordsで販売中。なぜかamazonサイトでは国内外ともまだ取り扱っていない。
試聴ファイルは、原盤を分売した国内盤で試聴可能 (ピアノ・ソナタ全集のリスト(amazon))

原盤はTeldec。2000年に1枚1000円の国内盤(分売盤)が発売されていた。(今は廃盤)
国内盤の試聴ファイルの方で聴いてみると、昨年リリースしたライブ録音とはまた違った趣き。
全体的に速めのテンポと切れの良いテクニックで、淀みなくスラスラと弾いていく。過剰な力みもなく、アゴーギグも使わず、きりっと引き締まった中に優美さがあり、30歳代前半の録音ということもあって、とても若々しく爽やかなベートーヴェン。
ウィーンの伝統を受け継ぐベートーヴェンというものがあるとすれば、これがそうなのかも?

個人的な好みからいえば、試聴した限りでは、このスタジオ録音よりは、昨年リリースしたリサイタルのライブ録音の方が、演奏自体はいろいろ楽しめる。
一つ一つの演奏をとってみれば、スタジオ録音の方が完成度は高いとは思う。
スタジオ録音の紹介文を読むと、「セッションということもあって、細部の仕上げの精度が驚異的なレベルに達しており、なおかつ時代様式を鑑みた説得力のあるスタイルが常に維持されるなど、当時のブッフビンダーにしかできなかった完璧な演奏が多くのピアノ・ファンの心を掴み、世界的にも高い評価を獲得していたものです。」とあるので、リファレンス盤として持っておくためなら買った方が良いだろうけど、価格次第というところ。



Beethoven-the Sonata Legacy

最近リリースされた2度目のピアノ・ソナタ全集は、2010年9月~2011年3月にドレスデンで行われたサイタルのライブ録音。
リリース当初に試聴したときは、テンポ感やディナーミクがしっくりとこず、テヌート気味になってテンポが落ちたり、ルバートがかかっている感じでリズムに粘りがでるところがあるのが気になってしまった。
それに、ライブ録音のせいか、色彩感はあっても、ソノリティがそれほど美しく感じなかったので、購入するのはパス。

改めて聴き直してみると、演奏スタイルに耳が慣れたようで、気になるところが少なくなっている。
残響が少ないために、ピアノの音の輪郭が細部までくっきりと聴こえるのも、慣れればとても聴きやすい。
旧盤を聴いてからライブ録音の試聴ファイルを聴いたせいか、表現に膨らみやいろいろなニュアンスが感じられて、逆にとっても良さそうに思えてきた。
この前聴いたときは、レーゼルの録音を聴いた直後だったので、それと比較すると印象が良くなかったのかも。
同じウィーンで学んだブレンデルほどにタッチ・音色やアーティキュレーションに凝っているというわけではなく、かえってその方が独特のクセが強くなく、音楽の流れが自然に感じられる。

ブッフビンダーは、「これまで40回以上のベートーヴェンのソナタ全曲演奏をしてきました。毎回の自分の研究によって、演奏は進化しています。毎回違った弾き方になってしまうほど、アイデアが楽譜に刻まれています。...私はできる限りそれ以前に(リスト校訂版以前の自筆譜に)ロールバックし、歴史的楽器の仕組みを探求し(実際にシュタインなどの楽器を所有)、現代ピアノ演奏解釈に取り入れました。」と言っている。
たぶんベートーヴェンのピアノ・ソナタの演奏解釈に最も通じている現役ピアニスト(の一人)には間違いなく、手馴れて余裕のある弾きぶりなのだろうけれど、実演のせいか、ときどき急速部分でささっと慌しく通り過ぎていくように感じることがあり、精緻な演奏という感じはあまりしないけど。
ちょっと"粗さ"を感じるところがどうも気になるけれど、この全集はもしかしたら買うかも。

Buchbinder/Beethoven-the Sonata LegacyBuchbinder/Beethoven-the Sonata Legacy
(2011/06/21)
Rudolf Buchbinder

試聴する(独amazon)



ワルトシュタインの第1楽章。勢いはとても良くて疾走感もあるけれど、やっぱりどこか粗いな~という気がする...。




<2012.9.30 追記>
結局、ブッフビンダーの全集はスタジオ録音・ライブ録音とも買うのは見送り。偶然見つけたアルフレッド・パールの全集(Oehms盤)が素晴らしく、そちらが私にはぴったりだったので。


tag : ベートーヴェン ブッフビンダー

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(非公開コメント受付中)

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コメントご無沙汰しておりました。
お元気ですか?
先日ブッフビンダーのベートーヴェンのソナタ聴いてきました。
ところどころ内声を強調したりする演奏はとても示唆に富んでいて、ベートーヴェンのソナタの奥深さを改めて感じさせられるものでした。
でも演奏はブラームスのコンチェルトの方がずっと良かった印象です。
とても評判が良かったようですね
マダムコミキ様、お久しぶりです。

こちらは急に蒸し暑くなってきました。
うず高く積まれた未聴CDの山を征服すべく、音楽を聴くのに勤しんでおります。

ブッフビンダーのブラームスの演奏会は、いくつかネット上のレビューを見ましたが、とても評判が良いようですね。
1晩であの大曲2曲を連続して弾くのは珍しいですが、海外でもそうしているらしく、エネルギッシュな人なんですね~。
最近のイスラエルでの演奏会のライブ録音(ブラームスのピアノ協奏曲2曲とアンコール3曲)がCDでリリースされているので、それを買ってみようかな~と思っています。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集のライブ録音の方は、試聴しただけでも結構楽しんで聴けました。
廉価盤(9枚セット)で3000円少々で手に入りますし、聴いて損するような演奏ではないので、そのうちCDを買おうと思っています。
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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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