アンリ・バルダ ~ 紀尾井ホール・リサイタルのライブ録音 

2012, 07. 17 (Tue) 12:00

音楽評論ブログ<アリスの音楽館>のコンサート評「アンリ・バルダ ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ほか @浜離宮朝日ホール 7/12」で紹介されていたので興味を惹かれたピアニストがアンリ・バルダ。

録音がほとんど無いけれど、そのわりにいろいろ情報が見つかった。
アンリ・バルダのプロフィール[concert imagine]
アンリ・バルダ・インタビュー[TowerRecords/intoxicate]

ピアニストで文筆家の青柳いづみこさんが、2012年にバルダに関する本を出版する予定。
「青柳いづみこのメルド日記」(ブログ)でも、バルダに関する記事がいくつか掲載されている。
- 2002年11月6日/アンリ・バルダのリサイタル
- 2003年9月8日/アンリ・バルダの講習会
- 2004年4月16日/アンリ・バルダ追っかけ記

今入手できる音源は、「2008年東京ライヴ~ブラームス、ベートーヴェン、ショパン」のみ。
これは、2008年12月18日、東京・紀尾井ホールでのリサイタルのライブ録音。

<曲目>
ブラームス:8つの小品op.76より 第1番~第5番
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番イ長調 op.101
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 op.60
ショパン:バラード第1番~第4番

アンリ・バルダ、2008年東京ライヴ~ブラームス、ベートーヴェン、ショパンアンリ・バルダ、2008年東京ライヴ~ブラームス、ベートーヴェン、ショパン
2012年03月27日
アンリ・バルダ

試聴する
amazon(米国、日本)ではCDの取り扱いがなく、MP3ダウンロードのみ。
日本のHMV,TOWER RECORDSのオンラインショップでCD販売中。
※試聴するなら、米国のNaxos Music Libraryが一番便利。無料試聴する場合でも、合計15分以内ならどのトラックのどの部分でも自由に聴ける。


試聴ファイルを聴いただけでも、バルダはとても個性的。
コンサート評に書かれているような"ロックなピアニスト"なのか私にはわからないけれど、自身の解釈について、迷いや曖昧さは全くなく、確信を持って弾いているのは間違いない。
音も綺麗で色彩感豊か。力感・量感もたっぷりあって、和声はとても厚い。紀尾井ホールの残響の多さも影響しているのか、ブラームスは内声部の動きがわかりにくく、残響が多くて和声が渾然一体となって聴こえてくる。
ブラームスはあまり聴き慣れない響きと弾き方だったので、どの曲を弾いているのかちょっと混乱してしまった。
私には、ブラームスというよりはショパン(か何か他のロマン派)の曲を聴いているような感覚がするんだけど...。
陰翳と渋みのあるブラームスというよりは、輝くような音がゴージャスで喜怒哀楽の表情豊か。
特にパッショネイトな曲想のところは、力強くて感情が噴出するような勢い。
ブラームスに限らず、どの曲でも強奏時のタッチがかなりきついので、時々耳が痛くなるのは気になる。
Op.76は後期ピアノ作品よりも早い時期の作品なので、かなり感情的な起伏が激しい曲も多いから、バルダのパッショネイトな演奏も曲想には合っているとは思う。

このアルバムで一番好きなのは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番。
ブラームスやショパンとは違って、それほど激しい感情がほとばしる曲でもないので、演奏の方も多少穏やかではある。
そのせいか、肩の力の抜けた即興的な自由さとフランス人ピアニストらしい洒落た雰囲気を感じるので、面白くて聴きやすい。
細部の表情の変化が多彩で、演奏はとてもニュアンス豊か。
第1楽章は、弱音で柔らかく歌うような旋律の弾き方がとても綺麗で、洒落ている。ノスタルジックな甘い雰囲気が素敵。
特に、第2楽章や第3楽章は速いテンポで生き生きとした躍動感があって、フーガ独特の形式的な硬さも感じず、とてもしなやか。
個人的な好みから言えば、この曲を聴くためにこのCDを買う値打ちはありそう。

ショパンのバラードは、嫌いな曲ではないけれど、あまり聴かないのでよくはわからない。
一番好きな第1番を聴くと、流麗でもしなやかでもなくて、激しい感情が渦巻くように力強くて情熱的。
こういうタッチのバラードもあるのかもしれないけれど、ちょっと聴き疲れてしまう。
私がいつも聴くのはアラウのスタジオ録音。アラウは骨太のタッチで過度な感情表現をしないので、バルダのバラードとは随分違う。

Youtubeにあるバルダの音源は多くはない。
これはスカルラッティのソナタL.33。他にショパンのマズルカのライブ映像もある。
ノンレガートは使っていないのでチェンバロ的な響きはせず、音が明瞭で粘り気のあるタッチのレガートが流麗で美しい。
しっとりとした深い情感をたたえつつ、芯の通った毅然さがあり、気品とロマンティシズムが漂っている。

Henri Barda plays Scarlatti Sonata L.33


タグ:ブラームス ベートーヴェン ショパン スカルラッティ

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