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耳鳴り治療のための音響・音楽療法(11) Widex Zen Therapy
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”A New Integrated Program for Tinnitus Patient Management: Widex Zen Therapy”
Hearing Review. 2012;19(07):20-27.
Robert W. Sweetow, PhD, and Anne Mette Kragh Jeppesen, MA
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 Widex Zen Therapy (WZT)とは
カウンセリング、(音の)増幅、フラクタル音(fractal tones)、リラクゼーション戦略、睡眠管理、TRT療法関連の多数の要素、認知行動療法(CBT)を組み合せて、パーソナライズした包括的耳鳴治療プログラム。

- 現存する耳鳴患者治療法の最適部分を組み合わせた設計。
- 専門家向けのエビデンスに基づいた包括的プログラム。
- 柔軟性のある音響ベースのツールを用いた音増幅(amplification)と共に、幅広いカウンセリングとリラクゼーションプログラムで構成。

[注]"Widex Zen"とは、ワイデックス社がサウンドジェネレーター付き補聴器用に開発した音楽プログラム"Zen Program"のメニューの一つ"Zen tone"のこと。
"Zen Program"がサポートしている音源は、環境音、スピーチ、"Zen tone"(音楽とノイズ)の4種類。
"Zen tone"は、<fractal(フラクタル)>テクノロジーに基づいた音楽で、Aqua/Coral/Green/Lavendar/Sandの合計5種類。この音楽は耳鳴マスキングにも使えるが、"ノイズ(ブロードバンドノイズ)"もオプションで追加できる。(後掲の参考記事参照)
"Zen Program"と"Zen tone"を使うためには、Widex社のサウンドジェネレーター付き補聴器が必要になると思う。


プログラムの重点・独自性
- 重点を置いているのは、協同的(collaborative)カウンセリング手法。馴化(habituation)というコンセプトを推進すると共に、認知行動的な手法を統合し、不適応な思考と行動を修正し、耳鳴りに対処する戦略を作り出す。
- 単一の手法が正しいアプローチであるとは考えず、耳鳴りに伴う多くの問題に対処するために、それぞれの手法の重要な役割を強調する。
- 一つの療法では全ての耳鳴患者に効果があるかどうか、また、単一の音響的ツール(ノイズ、音、音楽、etc.)が全ての患者に受け入れられるかは、いずれも疑わしい。
- 柔軟性と複数の音響オプションを備えたパーソナライズ(カスタマイズ)型治療計画を提案。主観的評価手法として、新たに公開された"Tinnitus Functional Index (TFI)"を推奨。
- 耳鳴りによる3つの主な苦痛(音、注意、感情)を扱う統合プログラムという点に独自性がある。
- 患者の多くは、カウンセリングと音響療法(フラクタル音とノイズオプションを備えた補聴器)で対応するのが適切。
- 耳鳴に対して強いネガティブ反応を増大させている患者については、カウンセリングと音響的ツールに加えて、認知行動的概念、リラクゼーション訓練、睡眠管理を行う包括的プログラムによる治療が最善である。

Widex Zen Therapy (WZT)を構成する4手法
カウンセリング
- 大脳辺縁系が行っている耳鳴に対するネガティブな解釈を変更または再分類するように、患者を教育し手助けする。
- 苦痛やネガティブな感情を生み出しているのは耳鳴りではなく、そういう反応を誘引する感情を作り出している患者自身の不適応思考だと、患者が理解できるようにする。
- 指示的(Instructional)および適応的(Adjustment-based)手法の両方を備えたカウンセリング。
- Instructional カウンセリング:TRT療法の指示的(directive)カウンセリングを含み、耳鳴り自体に関する理解を促進させる。患者が耳鳴り馴化のプロセスを理解し耳鳴りを再分類できるよう手助けする。
- Adjustment-based カウンセリング:Instructional カウンセリングのコンセプトをさらに拡張し、耳鳴りが患者自身に対してどういう影響を与えているのか、患者が理解できるようにする。認知行動療法と双方向で行う。

音の増幅(amplification)
- 中枢神経の活動(過剰補償)の増大と不適応な皮質再構築を最小化するため、耳と脳を刺激する。
- 蝸牛さらには聴覚皮質に増幅された刺激を与えることにより、(外部からの)刺激の欠如を”過剰補償”しようとする脳活動を最小化することができる。
- 環境音は耳鳴りをマスキングすることも可能。
- 補聴器の使用は、耳鳴の知覚を低下させる点で非常に効果的でありうる。きわめて良くフィルタリングされた高品質の補聴器が耳鳴患者に役立つと考えられることから、Widex社の補聴器は特に効果的。

フラクタル音(Fractal tones)
- フラクタル音は、その効果が証明されている新しい音響刺激。
- リラクゼーションと音響刺激の両方が目的。聴力損失に応じてフィルターされ、控えめで目立たない手軽な方法で両耳に呈示される。
- フラクタル音は、リラクゼーション促進と耳鳴りによる煩わしさの緩和の両方に有効。音響ベースの耳鳴治療を長期的に受け入れ可能にするためには、この2つの効果が結合していることが重要な要素。
- 臨床試験では、フラクタル音とブロードバンドノイズとも耳鳴りの煩わしさを緩和するのに有効だったが、長期的(6ヶ月)にブロードバンドノイズだけ聴くことを選択した被験者はわずかだった。
- "Zen options"にはブロードバンドノイズが組み込まれているため、フラクタル音とノイズの両方、または、どちらか一方だけ選択することが可能。
- 患者の難聴の状態に応じてノイズを選択することは、この療法の初期段階で特に有益かもしれない。

ゼンシミュレーター[ワイデックス社日本サイト]
"Zen program"は、フラクタル技術をベースに、リラクゼーションにより耳鳴りを気にならなくするようにつくられた不規則なチャイムのような音楽。ゼンシミュレーターでは、ボリュームやピッチを調整できる。


<参考:フラクタル構造・フラクタル音楽の解説>
- 日本庭園に学ぶ共生コンピューティング[積水化学工業ホームページ]
「“f分の1ゆらぎ”のfはfrequency(周波数)の頭文字です。星の瞬き、ろうそくの炎の揺れ、そよ風、心拍などに“f分の1ゆらぎ”が見られ、人に心地よさを与えていると言われています。たとえば、時間の経過と共に変化する星の瞬きをグラフ化すると、ある波形が得られます。そして、全体(長時間)の波形と一部分(短時間)を拡大した波形がとても良く似たものになるそうです。つまり、細かい波形の繰り返しが良く似た大きな波形を形成していると言えるのです。これはフラクタル(自己相似性)と呼ばれ、“f分の1ゆらぎ”、すなわち心地よさの重要な特徴なのです。」

- トピックス「フラクタル音楽」[RCDIGITAL,Inc.]
- 不思議な音楽>フラクタル音楽[音楽研究所]


リラクゼーション戦略プログラム
- 行動療法(Behavioral exercise)と睡眠管理に重点。
- 具体的なリラクゼーション訓練:筋肉弛緩法、深呼吸、漸進的弛緩療法(progressive relaxation)、イメージ誘導法(guided imagery)。
- これらのシンプルなリラクゼーション法をマスターすれば、すぐに身体的な変化が現われるのが患者自身にわかる。


<参考記事> 耳鳴り治療のための音響・音楽療法(9)サウンドジェネレーター付き補聴器
- 耳鳴り対策用音楽・ノイズを組み込んだWidex社の補聴器と音楽プログラム"Zen Program"について紹介。


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備考
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この記事は、英語論文を抜粋要約したものです。
正確な内容については、本文中にリンクしている英文原文で確認してください。


tag : 音響・音楽療法 認知行動療法

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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