ブラームス/まどろみはますます浅く ~ 《5つの歌曲 Op. 105》より 

2012, 08. 08 (Wed) 10:00

ブラームスのピアノ協奏曲第2番第3楽章の有名な冒頭主題はチェロが独奏する牧歌的な旋律。
ブラームス自身、この主題がとても気にいっていたのか、後に《5つの歌曲 Op.105》の第2曲「まどろみはますます浅く」の旋律に転用している。
詩はHermann Van Lingg。(訳詞:梅丘歌曲会館 詩と音楽)

ピアノ協奏曲の第3楽章は変ロ長調。主題旋律は穏やかで安らぎに満ちているので、子守歌のようにまどろんでしまいそう。
それと正反対に、歌曲「まどろみはますます浅く」は嬰ハ短調で、まどろむどころか、歌詞は悲嘆にくれた痛切な思いを切々と綴っている。
同じ主題を別のフォーマットの曲に転用することは多いけれど、長調と短調を入れ替えて曲想を180度変えるのは、珍しいかも。
この主題旋律は、長調でも短調でもとても美しい。
短調の歌曲は”Langsam und leise”(ゆっくりとそっと静かに)。静けさの奥深くで強く抑えた感情が滲みでてくるようで、ブラームス独特の陰翳が濃い。
調べてみると、第3楽章の中間部でクラリネットが弾いている旋律も、歌曲《Todessehnen/死へのあこがれOp.86-6》へ転用されている。
もしかして、ピアノ協奏曲の方でも、表面上の穏やかさとは裏腹に抑制された哀感を篭めていたのだろうか?


《5つの歌曲》は"für eine tiefer Stimme"とあるので、アルトのレパートリーとして有名らしい。ソプラノ歌手もよく歌っている。(録音があるのは、フェリアー、シュトゥッツマン、ポップなど)

これはアルトではなく、ソプラノのマーガレット・プライスの歌。
Margaret Price: Immer leiser wird mein Schlummer by Johannes Brahms
(James Lockhart, piano)




こちらがピアノ協奏曲第2番第3楽章。
冒頭のチェロ独奏は、ウィーンフィルの首席チェロ奏者シャイヴァイン。
クラリネット独奏は7:00~。(注意して聴いていないと、歌曲《Todessehnen》で使われている旋律と同じだとわからないかも)

Brahms - 4_5 - Piano Concerto N 2 - 3° mov. - Andante - Pollini - Abbado.



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2 Comments

Tea316  

5つの歌曲

ホルンも好きだけど、チェロも好きなので、この部分もとても大好き!ですが、歌曲に転用されていたとは知りませんでした。クラリネット独奏のところなどは、指摘してもらわなければ、気付かないまますぎてしまいそうです。

歌曲もとてもブラームスらしい陰影のあるものですね。とっても好きだなあ。

これもアルトのための歌なんですね。ブラームスは自分のメロディーは、アルトが一番映えると自分で考えていたんでしょうか。

2012/08/09 (Thu) 08:36 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

ブラームスとアルト歌手

Tea316様、おはようございます。

チェロ独奏はとっても素敵ですね!この曲では一番有名な旋律かも。
クラリネットの旋律は、メロディ自体が地味ですし、歌曲冒頭ではなく曲半ばで出てくるので、かなり注意して聴いていないとわからないかもしれません。

ブラームスの歌曲は聴けば聴くほど良いですね~。
ブラームスは学生時代から好きなのですが、歌曲はピアノ曲や交響曲ほどにはしっかり聴いていなかったので、(年のせいか?)今になってその良さがよくわかるようになりました。

調べてみると、《5つの歌曲 Op. 105》は、当時ブラームスが恋していた24歳も年下のアルト歌手シュピースの声の素晴らしさに触発されて、書いた曲でした。
彼女には、歌曲のOp.96&Op.97も捧げられたそうです。ロマンティックな交響曲第3番もこの時期に書かれてます。
ブラームスの人生に深く関わりがあったアルト歌手やソプラノ歌手は数人いますから、彼女たちがブラームスの創作意欲を刺激したのではないかと思います。
それにブラームスは《アルト・ラプソディ》を書いていますから、アルトはもともと好きな声域なのでしょう。
ヴィオラを伴奏で使ったりソナタを書いたりしているのも、ヴァイオリンよりもやや低く地味目の音色を好んだのかもしれませんね。

2012/08/09 (Thu) 08:56 | EDIT | REPLY |   

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