アラウ ~ ウェーバー/コンツェルトシュテュック(Konzertstück) Op.79 

2012, 08. 21 (Tue) 12:00

グールドが弾いていたシュトラウスの《ブルレスケ》を聴いて、思い出したのがカール・マリア・フォン・ウェーバーの《Konzertstuck Op.79》(コンツェルトシュテュック(小協奏曲)ヘ短調,1815年)。
ウェーバーはロマン派初期の作曲家。有名な曲というと、(聴いた覚えがない)オペラ《魔弾の射手》、ピアノ曲の《舞踏への勧誘》。

珍しくもハフがルーブルのリサイタルで弾いていた《舞踏への勧誘》。(この曲を知らない人も結構多そう)
ハフは録音もしているので、この曲が好きらしい。
Stephen Hough plays Carl Maria von Weber - LIVE (2008)


ピティナの解説によると、作曲家のウェーバーはフンメル、モシェレス、ツェルニー並の演奏技術を持った優れたピアニストでもあった。
それがピアノ作品にも反映され、半音階や分散和音が散りばめられ、鍵盤を端から端まで使ったパッセージがピアニスティックで、ヴィルトゥオーゾ向きの華やかな雰囲気がある。

《コンツェルトシュテュック》は、ロマン派のピアノ協奏曲らしく、華麗でドラマティックで、ロマンティシズム漂う曲。
喩えていうと、メンデルスゾーンをベースに、ショパンの華やかさと陰翳をフレーバーにしたような感じ。
アラウやカーゾン、ブレンデル、レーぜルなどが録音しているので、技巧華やかな名曲なのだろうと思う。(なぜかグールドも1951年に録音している)

このウェーバーの小協奏曲はアラウの愛奏曲だったという。
アラウはガリエラ指揮フィルハーモニア管とEMIにスタジオ録音している。
1950年代後半から1960年にかけて、ガリエラの伴奏指揮で録音したピアノ協奏曲はベートーヴェン、グリーグ、シューマン、チャイコフスキーと多い。
テンポは速めで技巧の切れ味も良く、流麗なロマンティシズムと煌くような輝きがあるので、後年のPhilipsのスタジオ録音よりも好きなものが多い。

Icon: Claudio Arrau-Virtuoso Philosopher of the PiIcon: Claudio Arrau-Virtuoso Philosopher of the Piano
(2011/02/28)
Claudio Arrau

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NAXOSの英文解説を読むと、《コンツェルトシュテュック》には、ウェーバー自身が語った音楽的ストーリーがある。
友人の批評家Friedrich Rochlitzに、別離、嘆き、哀しみ、再会と歓喜をテーマにした作品を書こうと考えていると言い、ベルリンで1821年6月に完成。
初演の日の朝、ウェーバー自身がピアノを弾きながら、彼の弟子と妻カロリーヌにこの新作にまつわるストーリーを説明したという。

”哀しみ沈んでいるレディ(姫)が塔の中で座っていた。彼女のナイト(騎士)が十字軍に従軍して旅立ってしまったのだ。彼から便りがなく、彼女の祈りが応えられないままになって以来、彼女は彼と再会できるだろうかと思い悩んでいた。彼女は、騎士が戦場で死に横たわっている姿を想像し、彼の元へ飛んでいき、彼の傍らで死にたいと切望している。
彼女が気を失いそうになった時、遠くから行進曲が聞こえてきて、太陽の光が再び雲を突き抜けて差し込んできた。騎士たちとその従者が、旗印と十字架を運びながら段々と近づいてきた。彼女の騎士も帰還し、恋が勝利した。全てが幸せだった”

ただし、ウェーバーは、この話を楽譜と一緒に出版して広めようとはしなかった。
作品自体は単一楽章形式のピアノ協奏曲で、基本的にロマンティックな曲であり、(付いているかもしれない)音楽上のストーリーとは独立したもの。(以上、NAXOS解説の要約)

このストーリーを念頭にすると、劇伴音楽のようにいろいろなシーンを連想しながら聴けるし、それを知らずとも濃厚なロマンティシズムとドラマティックな雰囲気を楽しめる。


第1部:Larghetto ma non troppo
冒頭の憂愁漂う旋律は、劇伴音楽の序曲風。続くピアノソロは、貴婦人の哀しみを歌うようにメロディアス。
ロマン派の感傷的な音楽はそれほど好きというわけではないにしても、これだけ素直にロマンティックだと、かえって割り切って聴けてしまう。

Claudio Arrau - Carl Maria von Weber: Konzertstück - 1/3
Alceo Galliera(conductor),Philharmonia Orchestra



第2部:Allegro passionato
疾走感とドラマティックなところがあるので、これは戦場のシーン。
戦闘の激しさと、ナイトの元へ飛んで行きたいというレディの情熱が相まって、とってもパッショネイト。
鍵盤上を駆け巡るようなピアニスティックなフレーズは、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲にとても良く似ている。

Claudio Arrau - Carl Maria von Weber: Konzertstück - 2/3




第3部:Tempo di Marcia
ここは騎士と従者達が十字軍の遠征から帰還したところ。
トゥッティで演奏される冒頭の行進曲風の旋律は、小学校の構内放送で良く聴いた懐かしいメロディ。曲名自体は知らなかったけど。
学校の昼休みや運動会の時にもたびたび流れていたのは、雰囲気的に似合うかららしい。

第4部:Piu mosso~Presto giojoso
トゥッティ(とピアノ)による行進曲風の主題が終わってから、ピアノソロで始まるPresto giojosoの主題は、ナイトと再会したレディの歓喜満ちた心のように、軽やかで明るて愛らしい。
曲自体が私には劇伴音楽風に聴こえるので、ウェーバーのストーリー展開をイメージして聴いた方がやっぱり面白い。

Claudio Arrau - Carl Maria von Weber: Konzertstück - 3/3


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