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’作曲家’ワイセンベルクとジャズ
ジャズの影響を感じるクラシックの曲というと、思い浮かぶのはラヴェルのピアノ協奏曲やリゲティの練習曲集など。
ほとんどジャズ(?)と思える曲なら、カプースチン。グルダもいくつかジャズをテーマにした作品を書いている。
現代音楽(20世紀の音楽)を探せば、他にもいろいろ見つかるのかもしれない。

ジャズとクラシック(の現代音楽)が融合したような曲といえば、珍しくもピアニストのワイセンベルクの作品。
ワイセンベルクは、”即物的”な演奏すると言われたりするけれど、とても色彩感豊かな音色と硬質で透明感のある音で、感傷性に溺れることないクールな演奏をする。
彼はジャズに興味があったせいか、小澤征爾とガーシュウィンの《ラプソディ・イン・ブルー》、《ピアノ協奏曲》に、珍しくも《アイ・ガット・リズム変奏曲》まで録音している。

ワイセンベルクは、ルーマニア人作曲家ヴラディゲロフの元で幼少期から作曲も学んでいた人なので、ジャズの素材を使った作品をいくつか書いている。
カプースチンとは違った作風で、幾分リゲティの練習曲風を連想させるところがあったり、調性感があいまいな現代音楽風だったりする。
ワイセンベルクのピアノ演奏と同じく、彼の作曲も音色と色彩感が美しくウェットな感傷性のない”硬派”なものを感じる。

ワイセンベルクが作曲した《Sonata In a State of Jazz》は、アムランの録音が有名。
タンゴ、チャールストン、ブルース、サンバが現代音楽と融合したような、独特な面白さがある。
1. Evocation d'un tango
2. Réminiscences de charleston
3. Reflets d'un blues
4. Provocation de samba

In a State of JazzIn a State of Jazz
(2008/05/13)
Marc-André Hamelin

試聴する(hyperionウェブサイト)
ジャズをテーマにしたクラシック作曲家の作品集。アムランらしく、精密な技巧でシャープで切れ良く、拍子もきちっと崩すことなくカチッとした構成感がある。ジャズのようにはスウィングしない、生真面目なクラシックな演奏スタイル。
アルバムの収録曲自体は、ワイセンベルクが編曲した6曲も含めて、クラシックよりははるかにジャズの世界に近い。
なかでも、ワイセンベルクの《Sonate en état de jazz》は、現代音楽風で調性感が少し崩れて、他の曲とは違った作風なので、(私の好みから言えば)一番面白い。


Hamelin plays Weissenberg - Sonata in a state of jazz
(1st mvt)"Evocation d'un tango"


(2nd mvt)"Rminiscence d´un Charleston"


(3rd mvt) "Reflets d´un Blues


(4th mvt) "Provocation de samba"



 
                      


ワイセンベルクが作曲した作品を録音したとても珍しいアルバムが『The Piano Music of Alexis Weissenberg』(Nimbus)
演奏しているピアニストはサイモン・マリガン(Simon Mulligan)。
ブレンデル、ローゼン、ペライア、それにワイセンベルクのもとで学んだ人で、その経歴にしては珍しく、(プレヴィンのように)クラシックとジャズの両方の分野で活動をしている。
クラシックではソロと室内楽、ジャズピアニストとしては自身のカルテットでの演奏と作曲をしている。

マリガンのウェブサイトのディスコグラフィを見ると、ジャズとクラシックの両方の分野にまたがっている。
そのなかにネッド・ローレムの《ピアノ協奏曲第2番》(NAXOS盤)の録音があり、ローレムのピアノ作品が好きなのでこのCDは持っていた。(マリガンの名前はすっかり忘れていたけど)

アルバムの収録曲は、ワイセンベルクの作品が2曲-《Sonate en tat de Jazz》とスクリャービン風エチュード《Le regret》。
それに、ワイセンベルクが書いたコメディ'La Fugue'に出てくる歌曲を素材にして、マリガンが即興した《Improvisations on songs from 'La Fugue'》。

《Sonate en tat de Jazz》とは全く違って、《Improvisations on songs from 'La Fugue'》はモダン・ジャズだと言われても、それほど違和感がない。
"Spirale"、"Mon destin"、"C´est si facile"、"Nostalgie"という4曲から構成。
"Mon destin"では、マリガンが得意とするカルテットでサックスも入っていて、旋律も馴染みやすくてとてもムーディ。
"C´est si facile"、"Nostalgie"では、現代音楽風に少し捻ったロマンティシズムがあるので、センチメンタルな雰囲気は少ない。

Piano MusicPiano Music
(2001/10/02)
Weissenberg、Mulligan 他

試聴する


アルバムの作品解説
ジャズとヨーロッパのクラシック音楽が結びつくのは、目新しいものではない。
Duke Ellington, James P.Johnson, Louis Armstrong は、1920年代にクラシック音楽から影響を受け、1950年代の”third stream movement”はジャズとクラシックのフュージョン。
それにも関わらず、依然としてジャズ/クラシックの癒合は、21世紀においても多くの可能性を秘めており、サイモン・マリガンは、2001年に録音したアルバム『The Piano Music of Alexis Weissenberg』のなかでそれを探っている。
ワイセンベルクは1929年、ミリガンは1980年代に生まれたという全く異なる世代。
このアルバムのスタジオ録音にワイセンベルク自身も立ち会っていた。
マリガンは明らかにワイセンベルクの音楽( "Le Regret"と"Sonate en Etat de Jazz")に強い感情を持って演奏している。
純粋なジャズまたはクラシックのピアニストとしての演奏を目指したものではなく、むしろジャズとヨーロッパのクラシックにそれぞれ片足をかけた音楽的ハイブリッド。
ジャズとクラシックを同等に”valid”(正当)だと理解できる許容性の持ち主なら、聴いて得るものがある。
モダンジャズのカルテットやガンサー・シュラー(Gunther Schuller)の実験音楽をかなり聴いている人なら、難なくこのアルバムの音楽を受け入れられるだろう。
Alex Hendersonのプロダクションノートを要約)

アルバムレビュー
”Simon Mulligan:The Piano Music of Alexis Weissenberg” [JazzTimes]


tag : ワイセンベルク アムラン

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(非公開コメント受付中)

ワイセンベルク
こんにちは。
ワイセンベルクというと器用な才人といったイメージがあります。昔(「徹子の部屋」だったかNHKの音楽番組だったか)で、後ろ向きになってピアノを弾いていました。
彼が作曲した曲を初めて聴きましたが、現代音楽とジャズのエッセンスがまとまった感じですね。いくぶん苦みのきいた音楽だと感じました。
器用な才人
ポンコツスクーター様、こんにちは。

後ろ向きでピアノを弾くというのは、なかなかアクロバティックな...。
ジャズかポップスのピアニストで、ピアノの下にもぐりこんで弾いていた人がいましたが、ワイセンベルクはクラシックピアニストにしては、サービス精神旺盛で、面白い人だったんですね~。

ピアニストで作曲もする人は何人かいますが、あまりパッとしない曲が多いように思います。
ワイセンベルクの作品は、幼少から作曲を勉強していただけあって、現代音楽の作曲家でもあまり見かけないようなオリジナリティが感じられて面白いですね。ほんとに「起用な才人」です。
カラヤンが重用したのも、たぶん彼の望む音色とスタイルに合わせて弾ける器用さがあったためではないかという気がします。

ワイセンベルク
こんにちは。
ワイセンベルクの作品のご紹介ありがとうございます。

パッ聴いた感じではスクリャービンの後期作品(特に詩曲や前奏曲)のように聴こえました。第1楽章の調性感がはっきりしないところは特に。調性感のある部分は確かにジャズですね。

これだけ本格的な曲を作れたというのはやはり彼が多才だったからですね。

あと「クラシックとジャズ」と言えばベートーヴェンのピアノソナタ第32番Op.111の第2楽章もジャズっぽいところがあります(笑)
ミッチさま、返信が遅くなりすみません
ミッチさま、こんばんは。

コメントをいただいていたのですが、さきほど気がつきました。
承認・返信が大変遅くなりまして、すみませんでした。

スクリャービンは、初期作品(ピアノソナタ第4番)までは好きなのでよく聴くのですが、それ以降の曲(ソナタと小品)は、摩訶不思議でミステリアスなところがあるので、どうもとっつきが悪くて...。
詩曲や前奏曲は有名ですね。有名な曲は一通り知ってはいるので、また聴いて見れば思い当たりそうです。

作曲というのは、理論や技法を習得する以前に、まず才能の問題があるらしいです。
そのため、バルトークは音楽院でピアノは学生に教えても、作曲は教えなかったと、ショルティが自伝で書いてました。作曲は教えてできるものではないと思っていたようです。
そういう点では、ワイセンベルクは多彩な才能の持ち主だったんですね。

ジャズっぽいというと、32番ソナタの第2楽章の第3変奏(符点のリズムの変奏)のところですね。
あの変奏は、ダンスしながら、空の彼方へ飛翔していってしまいそうです。
今までにないモダンな曲想の変奏なので、ジャズ風とおっしゃる方は多いですね。
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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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