ブレハッチ,アラウ ~ ドビュッシー/月の光 

2012, 09. 09 (Sun) 09:00

ブレハッチの新譜『Szymanowski&Debussy』を注文したのは良いけれど、海外盤なので国内盤のボーナストラック《月の光》が入っていない。

ブレハッチが弾く《月の光》ってどんなのだろう?と興味があったので探してみた。
どちらかというと、ドビュッシーではなくて、ショパンを聴いている気分...。
いままで聴いた《月の光》というと、音響中心というか、和声が移り変わる響きの美しさや、幻想的なシーンを想像させるような視覚喚起力がある。いわゆる”印象派的な"ドビュッシー。
ブレハッチの強弱や緩急の変化の激しい弾き方は、そういう外的な世界の表現ではなくて、ロマン派音楽のような内面のドラマを聴いているような気がしてくる。

Prelude Clair de Lune - Claude Debussy (Piano: Rafał Blechacz)



最もオーソドックスさからかけ離れた《月の光》なら、アラウの晩年(88歳)の91年録音。
今まで聴いた(そしてこれから聴くことになるだろう)《月の光》のなかで一番好きなもの。
まるで異世界の夜の空から降り注ぐ《月の光》。
アラウ-それも最晩年のアラウ-でしか絶対に弾けない境地の演奏。
これを聴くと、映画『コンタクト』に出てくる、色とりどりの月や星々が天空に浮かぶ異世界の浜辺の幻想的な風景をいつも思い出す。

一音一音に意味が込められているような音と、静かに暖かく包み込むようなまったりとした響きに浸っている時の心地良いこと!
中間部のアルペジオはありえないようなゆったりと遅いテンポなのに、なぜか違和感を感じることもなく、《月の光》が意志と感情を持った生命体のように語りかけてくる。
最初から最後まで摩訶不思議な響きと雰囲気に満ちて、魔力のような輝きで人を虜にしてしまう。

(HD) Claude Debussy - Clair de Lune | Claudio Arrau, piano. From Suite Bergamasque



関連記事:アラウ~ドビュッシー/ベルガマスク組曲より《月の光》


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12 Comments

ポンコツスクーター  

アラウ

アラウの「月の光」は美しい。一杯やりたくなりました!

2012/09/09 (Sun) 17:24 | REPLY |   

ひでくんママ  

はじめまして

アラウの演奏、なんか心に沁みますね。素敵です。
夏のあいだセルジオ・フィオレンティーノさんの「月の光」だけを聴きつづけ、秋を感じるこのごろ、他のピアニストの演奏も聴きたくなってました。すぐは購入できませんけど、いずれは・・・と思っています。

2012/09/09 (Sun) 17:51 | REPLY |   

Tea316  

No title

アラウの演奏も、多分初めて聴きました!
これは89歳での演奏なんですか?凄いなあ。
イブリー・ギトリスさんも、現役で頑張ってらっしゃいますが。

聴いていてその静かなパワーに、圧倒されて身動きできなくなってしまいました。こんなにゆっくりした月光は初体験です。異様なほどゆっくりなのに、だんだんその強烈な魔力にはまってしまいます!ゆっくりと地上から自分の体がだんだん離れて行って、高いところから地球を眺めているような気分になります!衝撃的すぎる月光です!もう普通の月光は聴けなくなっちゃったかも(笑)。



2012/09/09 (Sun) 19:12 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

この美しさは言葉を超越してます

ポンコツスクーター様、こんばんは。

アラウの「月の光」の美しさは、言葉では言い尽くせないものがあります。
聴いていただくのが一番です!

2012/09/09 (Sun) 23:10 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

フィオレンティーノ、とても素敵ですね!

ひでくんママ様、はじめまして。
ご訪問、コメントどうもありがとうございます。

フィオレンティーノの「月の光」、私も大好きです。
アラウほど遅くはありませんが、ゆったりしたテンポなのは似ていますね。
音色に温かみがありますし、曲の隅ずみにまで優しさがこもっています。
古き良き時代の品の良さが感じられますが、これもフィオレンティーノ独特の味わいなんでしょうね。
彼のバッハ演奏や編曲も素晴らしいですし、それ以外にも魅かれる演奏はたくさんあります。
急逝したために、予定していたブラームスとベートーヴェンの録音を聴けなくなってしまったのが本当に残念です。

アラウが1970年代に録音したドビュッシーも独特のタッチですが、最晩年に録音した「月の光」はそれとは違った境地にあるように思います。
機会がありましたら、アラウのドビュッシーもいろいろ聴いてみてくださいね。

2012/09/09 (Sun) 23:18 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

衝撃的な「月の光」ですね!

Tea316さん、こんばんは。

初アラウ体験、いかがでしたでしょうか。
異世界を垣間見ているような演奏ですから、初めて聴いたときはかなりの衝撃でしたね~。
アラウはドビュッシーの音楽を”別の惑星の音楽”と言っていましたが、それを演奏で表現してしまいました。やっぱりアラウは凄いピアニストでした。

それから、記事中の年齢が間違っていました。録音年が91年なので、正しくは88歳です。(1歳違いなので、ほとんど同じようなものなんですが..)

ギトリスは90歳になるんですね!
ヴァイオリニストの演奏家寿命は、ピアニストよりはるかに短いと言われますが、90歳まで弾き続けているなんて驚異的です。
ピアニストの最高齢記録は、ホルショフスキでしょう。99歳までリサイタルで弾いていたそうです。
95歳の来日リサイタルのCDを持っていますが、深みと荘重さのあるバッハのイギリス組曲の演奏は凄いものです。現役の有名なバッハ弾きでも、こういうバッハは弾けないでしょう。

2012/09/09 (Sun) 23:35 | EDIT | REPLY |   

ひでくんママ  

ブラームスのピアノ小品集

いたずら専科のムスコちゃんがおねむの間に、コメント致します(笑)。

フィオレンティーノさんのブラームス録音がかなわなかったのは、残念でなりません。きっと私好みな演奏になったろうと勝手な想像をしています。
それで、ブラームスのピアノ曲を、午前中からヒマをみて聴いてみました。

ペーター・レーゼルさんの弾く Op.117 Nr.1
ルプーさんの若い日の名演 Op.79 Nr.1
ジョゼフ・ドゥ・ベーンハウワーさんの、滋味あふれる Op.76 から、いくつかを。

ブラームスの作品は心にうるおいを与えてくれますね。
お礼が遅れましたが、ご丁寧なお返事を頂いて、感謝しております。

2012/09/10 (Mon) 13:58 | REPLY |   

ミッチ  

アラウ

アラウは僕にとって最高のリスト弾きのひとりでありますが、また最高のドビュッシー弾きのひとりでもあります。ドビュッシーの音楽を別次元まで高めている奇蹟的な演奏ですね。

アラウはドビュッシーの音楽を「異なる天体の音楽」と評しましたが、それに対しアラウのものはまさに「異なる天体の演奏」と言えるのではないでしょうか。

2012/09/10 (Mon) 16:52 | REPLY |   

yoshimi  

秋にはブラームス

ひでくんママ様、こんにちは。

ブラームスは昔からずっと好きな作曲家です。
無人島に持っていくCDをベートーヴェンかブラームスのどちらにするべきか...なんて、たまに真剣に考えてます。

ブラームスの小品集は、Op.118-2が一番好きな曲なので、聴くときはたいていカッチェンかレーゼルです。
Op.117-1も雰囲気にはちょっと似たところがありますね。これとOp.119-1の3曲が特に好きな曲です。
初めて買ったブラームスのCDがルプーです。彼のブラームスでは、このラプソディ第1番を一番よく聴きました。

ベーンハウワーは聴いたことがありませんが、シューマンで定評がある人なのですね。
NAXOSでクララ・シューマンのアルバムを試聴すると、音色やタッチはブラームスを弾いてもとても似合いそうな気がします。

これからブラームスがよく似合う季節になりますが、今年の秋もブラームスと一緒に過ごすことになりそうです。

またお時間のおありになる時にお立ち寄りくださいませ。
今後ともよろしくお願いいたします。

2012/09/10 (Mon) 20:04 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

異なる天体の音楽

ミッチ様、こんにちは。

アラウのドビュッシーは、独特の音響と雰囲気を持っていますが、”印象派のドビュッシー”とは全く違い、有機的な生命が蠢いているような感覚がします。
アラウ自身、印象派のような音が綺麗に並んでいるドビュッシーではなくて、音の奥にある感情的なものを表現したい...と言っていたように記憶しています。
アラウのようなドビュッシーを弾く人は、後にも先にも、他に誰もいないでしょう。

特に最晩年に録音したドビュッシーは、まさに異世界の音楽のようですね。
「月の光」を初めて聴いた時は、一体どこの世界の音楽なんだろうかとと思ってしまいました。
それで映画『コンタクト』の幻想的な異世界の風景を思い出したのです。

2012/09/10 (Mon) 20:06 | EDIT | REPLY |   

ここさぶろう  

No title

私はドビュッシーの曲が大好きなのですが、これといって好きな奏者がいませんでした。ですが、アラウの演奏するドビュッシーを聴いて、この人こそまさしく探していたドビュッシー弾きだ!!!と、衝撃をうけたのを覚えています。
「月の光」などでの、アラウの一音一音を大切にする弾き方や、間の取り方がとても大好きです。他の作曲家の作品もアラウの演奏のおかげで好きになってしまったほどです。
あまりこういうタッチの奏者は探してもなかなか辿り着かないので、クラシックはアラウばっかり聴いてしまいます。

2012/10/22 (Mon) 18:28 | REPLY |   

yoshimi  

アラウの演奏スタイル

ここさぶろう様、こんばんは。
ご訪問、コメントありがとうございます。

アラウのドビュッシーは独特のタッチとソノリティで、雰囲気も他のピアニストとは全く違いますね。
「月の光」はアラウのドビュッシーの中でも別格で、非常に特異な演奏だと思います。

アラウの録音は、シューマン以外はほとんど聴いていますが、役柄に合わせて演技を変える俳優のように、時代様式・作風に合わせて演奏スタイルを変えていますね。
また、若い頃と全盛期、晩年では、アラウ自身の演奏解釈がかなり変化していると感じることもあります。

随分昔からアラウが好きで聴いてきましたが、ベートーヴェン、ショパン、リストに私の好きな演奏が多いです。
私にとってアラウがいつもベストな演奏だと限りませんので、いろんなピアニストの演奏を聴くようにしています。
異聴盤を聴くことで、アラウの演奏がさらによくわかるようになったように思います。

2012/10/23 (Tue) 00:41 | EDIT | REPLY |   

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