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耳鳴り関連情報トピックス/音響外傷に関するレスター大学の研究 (アップデート版)
英国レスター大学は、音響外傷による耳鳴&難聴の発症メカニズムなどについて研究中。
最近発表された2件の研究結果は、米国・英国の耳鳴協会など海外の耳鳴り情報サイトでニュースになっている。

今回の最新情報は、8月下旬に発表された騒音外傷による難聴の発症メカニズムに関する大学のニュースリリース。

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レスター大学の最新研究では、イヤフォンはジェットエンジン騒音と同じくらい潜在的に危険
[University of Leicester press release/2012年8月29日](以下、要約)
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”Earphones 'potentially as dangerous as noise from jet engines,' according to new University of Leicester study.”

論文:”Mechanisms contributing to central excitability changes during hearing loss” [Proceedings of the National Academy of Sciences]

ヘッドフォンの音量を高く上げすぎると神経細胞の保護膜にダメージを与え、一時的な難聴につながることを、レスター大学の科学者が初めて明らかにした。
イヤフォンやヘッドフォンの音は、ジェットエンジンのノイズと同等レベルに達する、と言う。
音量が110デシベル以上のノイズが、一時的な難聴や耳鳴りのような聴覚的な問題を引起すことが知られている。
その根底にある細胞損傷が観察されたのは、今回のレスター大学の研究が初めて。

この研究を主導する同大学の研究者Dr Martine Hamann(Department of Cell Physiology and Pharmacology)の話。

"この研究により、大騒音に曝されてから聴力損失に至るまでの経路(pathway)を理解することができた。この状況の根底にある神経細胞メカニズムの分析(dissect)は、多くの人にヘルスヘア上の多大な恩恵をもたらすこともありそうだ。聴力損失に対する適切な治療法の発見を促進すると共に、予防にも役立つだろう。”

耳から脳へ電気的信号を伝達している神経細胞は”myelin sheath(ミエリン鞘)”という保護鞘に覆われており、電気的信号を細胞に沿って伝達するのに役立っている。

※ミエリン鞘:脳や脊髄内の神経線維(軸索)を覆うコレステロールでできた髄鞘。神経繊維が電線なら、ミエリン鞘は電線の絶縁体(ビニール部分)に相当しているところ。(資料:日本食肉消費総合センターホームページ)


騒音暴露(つまり110デシベル以上のノイズ)は、この保護鞘を細胞から引き剥がし、電気的信号を霍乱しうる。そうなると、神経細胞はもはや耳から脳へ情報を効果的に伝達できなくなるが、神経細胞を覆っているミエリン鞘は再生可能であり、神経細胞を再び正常に機能させる。
つまり、聴力損失は一時的で、聴力の完全回復は可能だと意味している。

Dr.Hamann の説明では、"特定のケースで聴力損失が回復可能なのはなぜか、ようやく理解できた。我々が観察した細胞の約半分で、聴覚神経の周囲にあるミエリン鞘が失われていた。これは、アンプからラウドスピーカーに接続している電気ケーブルが剥ぎ取られたようなもの。
この影響は可逆的であり、3ヵ月後に聴力損失が回復すると、聴覚神経の回りをミエリン鞘が覆っている。"

研究チームは、この領域の細胞が損傷すると耳鳴りを引起しうる、という研究結果を発表済み。
研究助成機関:Wellcome Trust, Medisearch, GlaxoSmithkline、Royal Society。



<発表済みの研究内容>
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レスター大学の研究チーム 耳鳴り発症の鍵となる細胞メカニズムを特定
[University of Leicester press release/2012年5月10日](以下、要約)
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”University of Leicester study identifies key cellular mechanisms behind the onset of tinnitus.”

レスター大学の細胞生理学・薬理学部の研究者たちは、騒音暴露後の耳鳴り発症の根底にある細胞メカニズムを特定した。新たな耳鳴り治療法につながる可能性があり、現在、耳鳴り予防のポテンシャルをもつ薬物調査が進行中。

同大学のハーマン博士の研究チームは、背側蝸牛神経核(音を知覚し意味をなすように信号を耳から脳へ伝達するリレー)と呼ばれる脳領域内細胞に注目した。
騒音暴露後、背側蝸牛神経核の神経細胞(ニューロン)の一部が不規則に発火を始め、その制御されていない活動が最後には耳鳴りとなる。
騒音暴露はその数日後に難聴を引起し、背側蝸牛神経核の神経細胞が不規則活動を始める引き金となる。これら全てが起こるのは極めて速く、数日以内の問題。

博士とスポンサー・GSKの共同研究におけるブレークスルーは、ニューロンの過剰活動につながる特定の細胞メカニズムを発見したこと。
神経細胞の電気的活動を規則化するのに有効な特定カリウムチャネルの機能不全は、神経細胞が平衡静止状態に復帰しないことを意味する。
通常、これらの細胞は規則的に発火・静止状態となる。しかし、カリウムチャネルが正常に機能しない場合、細胞は静止状態に戻ることができず、その代りに、実際には存在していないノイズを継続的に知覚し、不規則なバーストで発火し続けている。

耳鳴のメカニズムとして、細胞の発火活動の特徴を明らかにし、特定のカリウムチャネルに関連づけたのは今回が初めて。
耳鳴りの初期段階で関与するカリウムチャネルを特定することで、早期の薬物治療による耳鳴り予防の新しい可能性が生まれる。

ハーマン博士のチームは現在、損傷した細胞を規則化して不規則な発火を防止し、静止状態へ回復させるポテンシャルを持つ薬剤を調査中。現在はまだ予備段階にあり、新しい薬物による治療はさらに数年先になるだろう。

この研究はResearch Councils UK fellowshipの助成、フォローアップ研究はDeafness Research UKの3ヶ月間の助成による。
その後の薬剤研究は、Medical Research Council Case studentshipを通じて、Autifony Therapeutics Ltd との共同研究としてレスター大学が行う。2012年10月に開始予定。


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備考
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日本語訳文は、英文を抜粋要約したものです。
正確な内容については、英文原文をお読みください。

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