ペーター・レーゼル ~ 来日公演の演奏曲 

2012, 11. 07 (Wed) 18:00

今年も例年通り秋に来日したレーゼルは、10月下旬~11月上旬にかけて、東京紀尾井ホールにて4回のコンサートで演奏。
東京の演奏会が終わった翌日に宮崎、翌々日に大分で、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏するという、かなりタイトな日程だった。

東京での演奏曲目は、シューマンの《ピアノ五重奏曲》、ブラームスの《ピアノ協奏曲第2番》(コンチェルトは2日連続の演奏会)。
ソロリサイタルでは、メンデルスゾーンの《無言歌》、ブラームスの《ピアノ・ソナタ第1番》、シューベルトの《ピアノ・ソナタ第17番》。アンコールが数曲。

演奏会で実演を聴いた方のブログ記事を読むと、ピアノ協奏曲に関するものが多い。レーゼルらしい、期待にたがわぬ素晴らしい演奏だったそう。
ピアノ協奏曲は、クリスティアン・エーヴァルトというドイツ人指揮者が指揮していた。レーゼルと30年にわたる親交があり信頼している指揮者だと紹介されていたので、たぶんレーゼルの希望で招聘したのではないかと。
今年は珍しく宮崎と大分での演奏会もあったので、関西を素通りせずに京阪神のどこかのホールで演奏会をして欲しかったのだけど..。
ピアノ協奏曲第2番を紀尾井ホールで聴かれた方のブログ<Intermezzo-piano-musique♪>の記事((Peter Rösel ペーター・レーゼルを聴く♪)によると、ソフトペダルを多用し、コントロールしながら、物凄く音色に変化をつけていたという。これは実演を間近で見ないとわからないだろうなあ。

今回の演奏曲目のうち、過去のスタジオ録音またはライブ録音が残っているのは、シューマンとブラームス。

シューマンの《ピアノ五重奏曲》は旧東独時代の録音。
Berlin Classicsから分売盤と室内楽曲BOXセットの2種類がリリースされている。
今回の来日に合わせて、ドイツ・シャルプラッテン・コレクション(国内盤)として、リマスター版がキングレコードからリリースされたところ。
再版されたCDは合計4枚。いずれも最近撮影したと思われるレーゼルの写真をCDジャケットに使っているけれど、録音したのは、数十年前の若い時。
レーゼルのお弟子さんのピアニスト、高橋望さんのブログでもこの国内盤が紹介されている。既存のCDよりも音質が良くなっているらしい。

シューマンの《ピアノ五重奏曲》は、作曲家Schweizer_Musikさんのブログ<鎌倉スイス日記>の記事”レーゼルとゲヴァントハウス四重奏団によるシューマンの五重奏曲、超名演!!”で絶賛されていた。
この記事を読んだのがきっかけで、レーゼルの録音を集めるようになったので、私にはとても思い出に残る曲。

ペーター・レーゼル ドイツ・シャルプラッテン・コレクション レーゼルの室内楽ペーター・レーゼル ドイツ・シャルプラッテン・コレクション レーゼルの室内楽
(2012/10/24)
レーゼル(ペーター)

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ブラームスの《ピアノ・ソナタ第1番》は、30歳になる前に録音したピアノ作品集に収録。
レーゼルの『ブラームス:ピアノ作品集』は、日本でとても人気のある録音。(CD5枚組なのでほぼ全集版。「ワルツ集」、「ハンガリー舞曲集」、変奏曲数曲などは未収録)
《ピアノ・ソナタ第1番》の録音も、ドイツ・シャルプラッテン・コレクションとして、今回の来日の合わせて再リリースされたところ。

ブラームスのピアノ・ソナタというと、第3番が有名で録音も多い。
この第1番は、実際は2番目に作曲されたピアノ・ソナタ。(出版の関係で曲番が前後している)
3曲のソナタのなかでは、あまり演奏されていないと思うけれど、一番好きなのはこの第1番。
巷のブラームスの”重厚で渋い”イメージとは全然違って、明るく爽やかな曲。
若々しい感情がストレートに溢れ出て、特に終楽章のエンディング部分の喜びに溢れたような開放感と高揚感で気持ちよい。

レーゼルは、全体的に速いテンポでタッチも切れ良く、音も全く濁らずクリア。
力感・疾走感豊かで、青年作曲家のブラームスが書いた作品に相応しい、若々しく爽やかな演奏。
少し気になるところといえば、急速楽章の強奏部で、メカニックの切れがあまりに良すぎて、力強くやや一本調子で押していくような感じがしないでもないような...。でも、これだけ鮮やかに弾き切っているのを聴くのは爽快。

Brahms - Peter Rösel - Piano Sonata No 1 in C major, Op 1 - 01 Allegro


Brahms - Peter Rösel - Piano Sonata No 1 in C major, Op 1-04



ブラームスのピアノ作品集(5CD)(Berlin Classics)
Piano WorksPiano Works
(2008/07/08)
peter Rosel

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ブラームスのピアノ作品集Vol.1(ドイツ・シャルプラッテン・コレクション/キングレコード)
ペーター・レーゼル ドイツ・シャルプラッテン・コレクション レーゼルのブラームス1ペーター・レーゼル ドイツ・シャルプラッテン・コレクション レーゼルのブラームス1
(2012/10/24)
レーゼル(ペーター)

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ブラームスの《ピアノ協奏曲第2番》は、旧東独時代のスタジオ録音はなく、ドイツのマイナーレーベルAntes Editionから2005年のライブ録音がでている。
このライブ録音は60歳頃の演奏なので、技巧も相変わらず精密で切れ味も鮮やか。力感も豊かで、至るところにある難所もテンポを落とすことなく細部まできっちり弾いている。
ライブ録音にしては音質も良く、この難曲でもミスタッチがほとんどないのは凄い。クリアなソノリティと明るい色調で、とても爽やかな叙情感がレーゼルらしい。
若い頃のブラームス録音とは違って、急速楽章の強奏部でも、メカニックの切れの良さが前面に出過ぎることなく、一つ一つの音に情感やニュアンスが篭もっていて、音楽の流れも滑らかで、表情も情感もずっと豊か。
第2番のコンチェルトの数ある録音のなかでも、とても好きな録音の一つ。こんなブラームスを聴いてしまったら、30年以上も前に録音したピアノ独奏曲を再録音して欲しくなる。

Brahms: Piano Concerto No 2Brahms: Piano Concerto No 2
(2005/09/05)
Peter Rosel(Piano),Golo Ber(Conductor), Dessau Anhalt Philharmonic Orchestra

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<過去記事>
 レーゼル&ゲヴァントハウス四重奏団~シューマン/ピアノ五重奏曲
 レーゼル~ブラームス/ピアノ協奏曲第2番(ライブ録音)

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