2012_12
08
(Sat)13:00

ソコロフ ~ バッハ/イギリス組曲第2番 

発売予定日が何回か変更になった末、ようやく届いたソコロフの新譜は、バッハのゴルトベルク変奏曲、イギリス組曲第2番、パルティータ第2番という豪華なカップリングの2枚組。

ゴルトベルク変奏曲はLPでリリースされていたライブ録音のCD化。1982年のレニングラード音楽院大ホールでの演奏。
Youtubeには以前からあった音源で聴いていたので、ようやくCD化されて、ステレオの良い音質で聴けるのが嬉しい。

パルティータ、イギリス組曲は、ブックレットの表記では、それぞれ1975年と1989年のライブ録音。録音場所の記載なし。
パルティータ第2番は、naive盤でスタジオ録音が収録されている。
このMelodiya盤のライブ録音とスタジオ録音とを聴き比べてみると、音質も演奏時間もほとんど変わらない。
演奏自体も同じように聴こえるし、ライブ録音特有の観客ノイズもなく、冒頭・最後の拍手も未収録。
どうもnaive盤と同じ音源ではないかと思えるんだけど...気のせい?

曲としては、ゴルトベルクよりもパルティータとイギリス組曲の方がずっと好きなので、このアルバムで一番聴きたかったのが、初めてソコロフで聴くイギリス組曲第2番。
イギリス組曲第2番は、ピアノ版で好きなのはホルショフスキのライブ録音。でも、高齢の頃の録音なので技巧的な面では気になるところがいろいろあって、クリストフ・ルセのチェンバロ版もよく聴いていた。
ピアノの音の方が私には自然に入っていけるので、いろいろなピアニストの録音も聴いてはみたけれど、ソコロフのイギリス組曲には、最初の一音を聴いたときから、張りと深みのある研ぎ澄まされたピアノの音の力に惹きつけられてしまう。
何度聴いても惚れ惚れとするくらいに、ソコロフのバッハはやはり素晴らしい。

ソコロフ:ゴルトベルク変奏曲、パルティータ第2番、イギリス組曲第2番ソコロフ:ゴルトベルク変奏曲、パルティータ第2番、イギリス組曲第2番
(2012/12/6)
グリゴリー・ソコロフ

試聴ファイルなし

Ⅰ プレリュード Prelude
Ⅱ アルマンド Allemande
Ⅲ クーラント Courante
Ⅳ サラバンド Sarabande
Ⅴ ブーレ I-II Bourree I-II
Ⅵ ジーグ Gigue

この第2番のサラバンドの楽譜には、2種類のバージョンが続けて記載されている。後に掲載されているバージョンは、右手で弾く旋律の装飾音の解釈を音符で書き込んだもの。
バッハが実際に弾いていた順番はわからないらしく、リピート時に装飾音バージョンを弾く奏法はC.P.E.バッハが広めたという。(ソコロフもリピート時に装飾音版楽譜の方を弾いている)
作品解説によれば、最後のジーグも終結部は2パターンある。演奏者の判断で、(リピートした後に3番括弧へ飛んですぐに終わる弾き方と)2番括弧の”Da Capo”から再び最初に戻り、リピートなしで最後まで弾いて3番括弧で終わる...ということらしい。(ソコロフは”Da Capo”の方で弾いていた)
作品解説:3月3日《イギリス組曲》[○○| XupoakuOu]
楽譜ダウンロード:English Suite No.2, BWV 807(IMSLP)


ソコロフのイギリス組曲は、細部まで研ぎ澄まされ、エッセンスが凝縮されたように引き締まっている。
タッチもソノリティも曲想に応じて多彩に変わり、歌いまわしはリズミカルで自然な流れがあり、全編に緊張感が張り詰めつつも、生気が溢れている。
粒立ちの良い装飾音のトリルは、一音一音が明瞭でくっきりと浮かび上がるように響いて、表情がとても豊か。
絡み合う声部もそれぞれの旋律は明瞭で、色彩感やソノリティも弾き分けられて、立体的に聴こえてくる。

プレリュードの冒頭から、弾力のある引き締まった力強い音が何よりも印象的。
ノンレガートなタッチでも、クリスピーな軽さはなく、流れるように滑らか。
高速の細かいパッセージでも全く乱れることなく、ディナーミクやタッチコントロールは完璧。
アルマンドは、軽やかな柔らかいレガートの響きが美しく、ベタつきのない透き通るような哀感がしっとりと流れている。
軽快なクーラントのタッチは力強いけれど、アルマンドのようなノンレガートは少なく、レガート主体でステップのように軽やかで優美。弾力のあるトリルの響きくっきり浮かび上がってリズミカル。

サラバンドはとりわけ美しく、ゆったりとしたテンポで、静かに一人物思いに浸っているような佇まい。
ソコロフのしっとりと水気を含んだような響きが、叙情的なこの曲に良く似合っている。
装飾音を多用しているリピート時の演奏は、動きが出てきて表情が明るくなり、優美な雰囲気に。

ブーレは、左手のノンレガートの伴奏的旋律は、駆け抜けるようにリズミカル。
最後のジーグは、プレリュードのように、速いテンポで弾力のあるノンレガートで疾走していく。
終曲に相応しく、圧倒されるような力強さで堂々と輝かしいジーグ。


CDの収録曲より1年前のライブ録音。
J.S.Bach: English Suite no. 2 in A minor, BWV 807 (G. Sokolov, piano)
(St Petersburg 26-3-1988)




<過去記事>
 ソコロフ ~ バッハ/ゴルトベルク変奏曲
 ソコロフ ~ バッハ/パルティータ第2番

タグ:バッハ ソコロフ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

0 Comments

Leave a comment