スティングの”Come Again” ~ ダウランド/リュート歌曲集 『Songs From The Labyrinth』  

2013, 01. 16 (Wed) 18:00

ダウランドのリュート歌曲集の情報を探していたら、ロック歌手のスティングがダウランドのリュート歌曲を歌ったCDとDVDを発見。
ジャズピアニストがクラシック音楽を録音することは時々あるけれど(キース・ジャレット、チック・コリア、小曽根真とか)、ロック歌手とダウランドという取り合わせは(私には)かなり意外。
でも、スティングは「ダウランドの歌は20年以上私の心から離れたことがありませんでした」と言っているのだから、彼にとっては待望の録音に違いない。

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スティング

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「ロック歌手スティング、ダウランドを歌う!」(HMVのCD紹介文)
リュート奏者はエディン・カラマーゾフ。リュート独奏曲も5曲収録されており、そのうち3曲はスティング自らリュートを弾いて、デュオ演奏している。(数年前からリュートを練習していたという)


CDを試聴すると、濁った男声の歌うダウランドには、最初はかなりの違和感を覚えて、まるで無頼者や酔いどれ風(?)の歌いっぷりに聴こえてくる。
でも、”Can she excuse my wrongs?”、”Come again, sweet love doth now invite”は、とても自然に耳に入ってくる。昔懐かしいフォークソングかカントリーソング風で、素朴な感じが妙に味がある。


このライブ映像は合唱付き。面白いのは、スティング自身もリュートを弾いて、リュート伴奏とデュオしながら歌っているところ。これがとっても板についている。
古楽演奏者で同じように弾き語りする人っているのかな?

Sting & Edin Karamazov (Lute) - John Dowland - Come Again


この映像のスティングの顔、どこかで見たことがある。
記憶を辿ると、映画化は不可能だといわれていたフランク・ハーバートのSF小説『デューン 砂の惑星』の劇場公開版に出演していた。
主人公である公爵家の子息ポウル・アトレイデス役のカイル・マクラクランは、端正で気品のある貴公子風の外見・キャラクター。
スティングは、それとは正反対のフェイド・ラウサ役(下品な悪役ハルコネン男爵の甥)。極めてりエキセントリックな性格と外見が強烈な印象だった。それにしては、演技がとても上手くて、意外にはまり役だったのかも。

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カイル・マクラクラン/ショーン・ヤング/スティング/ケネス・マクミラン

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珍しい合奏伴奏とスティングのボーカル版。編曲はヴァイオリニストのジョシュア・ベル。
Come Again. John Dowland, arranged by J.A.C. Redford and Joshua Bell.




これはソプラノのバーバラ・ボニーの”Come again...”。
カークビーやボニーとかの透明感のある歌声が、ダウランドにはよく映える。(でも、この曲に限って言えば、好きなのはスティングの歌の方かも...)

Barbara Bonney "Come again, sweet love doth now invite" John Dowland




『The Journey and the Labyrinth: The Music of John Dowland』は、BBCで放映されたTV番組をDVD化したもの。
Youtubeの映像を見ながら聴いていると、スティングの声と歌い方に慣れたこともあって、違和感もかなり解消。
特に”Coma Again”や”Can She Excuse My Wrongs”などのテンポの速い軽快な曲は、独唱・合唱曲とも好きではある。
”Fine Knacks For Ladies”はとっても楽しそう。ハーモニ-が雑然とした感じはするけど、CDの歌よりもずっと活気があって、こっちの方が良い。

でも、”流れよ、わが涙”タイプの短調の叙情的な歌は、やっぱり馴染めなかった。
古楽演奏のダウランドとは別物の、”Sting”のダウランドだと思って聴けば良いのだろうけど、こういう曲はやっぱり透明感のある歌声で聴きたい。

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amazonの紹介文によると、撮影は、Lake House(Wiltshireにあるスティングの16世紀様式のマナーハウス)、イタリア・トスカーニの自宅であるIL Palagioの古風な庭園にて。
ロンドンのSt. Luke教会でのライブ映像に、音楽学者David PintoやAnthony Rooleyとの対話も収録。
ボーナスCD(DISC2)として、St. Luke教会のライブ演奏を収録。さらに、スティングのヒット曲"Message in a Bottle"のリュート編曲版やRobert Johnsonのブルースの古典"Hell Hound on My Trail”の演奏も入っている。

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2 Comments

Tea316  

スティング

こんにちは!
スティングはかなり多才な方のようですね。
ダウランドを歌っていたなんて、全く知りませんでした。
といっても、ロックとか俳優の方もあまり知らないんですけどね。

17世紀くらいの歌は、たいてい透明感のある天使のような声でノンビブラートで歌うので、スティングの独特の声にはとっても違和感を目いっぱい感じちゃうのが、楽しいかも。

イタリアの歌だと、歌唱にアクロバティックな技巧が必要だけど、イギリスの歌はわりと歌いやすいのかもしれません。

スティングもとても自分流に楽しそうに歌っていますね。私もこういう感じ、好きだな。

この歌はキャスリーン・バトルが歌っているアルバムを持っています。ボニーの歌い方とイメージ的には似ています。だいたい普通はみんなこんな感じになりますよね。

リュートを弾きながら歌う人はいますが、この間はヴァイオリン弾きながら歌う人を見て(You Tubeで)、びっくりしました(笑)。

2013/01/18 (Fri) 14:15 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

違和感が逆に面白いですね

Tea316さん、こんばんは。

全くスティングは多才な人ですね!
私もロック(やポップス)はほとんど聴かないのですが、彼はイギリス人なので、ダウランドの歌は昔から身近な音楽だったんでしょう。
それに、しっかり記憶に残っていた「デューン砂の惑星」の演技は、風変わりな役柄なのに、とっても上手かったです。

ボニーの歌声はやっぱり綺麗ですね~。
中世の歌は、アノニマス4やヒリアードアンサンブルCDを何枚か持ってますが、どれも声に透明感がありますし、クラシックの歌手なら普通はそうでしょう。
スティングは、現代的な声と歌い方で中世の歌を歌うので、時間的なズレというか、アンバランスなところが面白いです。
映像で見ると、彼がとっても楽しそうに歌っているので、まあ違和感もその間はどこかに消えてしまいます。

リュートの弾き語りってあるのですね。マンドリンかギターの親戚みたいな楽器ですし、ダウランドも弾き語りしていたのかも。
でも、ヴァイオリンの弾き語りの方は、ちょっと想像つきません。
あご当て(か当て布?)を外さないと歌うのが難しそうですし、発声とヴァイオリン弾くのとでは、そもそも最適な姿勢が異なるのではないかと。
弾くか歌うか、どちらかにした方が良さそうな気がします...。

2013/01/18 (Fri) 23:37 | EDIT | REPLY |   

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