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ベートーヴェン/ヴァイオリンソナタ第9番「クロイチェル」
クロイチェルソナタの異聴盤なら、世評の高い名盤の類はだいたい聴いたけれど、CDガイドで評論家が推奨している録音はそれほど好きと思えない録音が多く、クロイチェルもその例に漏れず。
そのなかで例外的に好きなのは、パールマン&アシュケナージの若い頃の録音。
聴き直してみると、今ではちょっと印象が変わったけれど、第1楽章の演奏は今でもやっぱり好きだった。
かなり間近からヴァイオリンとピアノの音と旋律が克明に聴こえてくる。
線が太くたっぷりした音量で若々しい勢いのあるパールマンのヴァイオリンと、アシュケナージの色彩感豊かで線のしっかりした響きがよく合っている。特に、ピアノの低音のフォルテは、ガンガン叩きつけずとも力強く量感豊か。

パールマンはいつものように朗々と歌っているけれど、第1楽章はテンポも速いので、それほど気になるほどの濃厚さではなく。
アシュケナージのピアノは、技巧的な切れはそれほど良い感じはしないけれど、線のしっかりした音と重みのある低音で重心が低く、力強くも優美さがあって、メルニコフやブラレイの軽快な弾き方とは随分違う。
重みのある雰囲気とパッショネイトな情感とが融合したところが、(私のイメージする)クロイチェルソナタらしいところ。

第1楽章では、ときどき急速部分なのにテンポと少し落として弾くところがあり、もたっとした感じがする。
重いタッチでフォルテを弾くための技術的な問題なのか、解釈によるものなのか、もう一つよくわからない。
好みとしては、急速部はほぼインテンポで突き進んで行く方が、推進力も迫力も感じられるので好きなのだけど。

Beethoven violin sonata No 9 Kreutzer Mvt 1 (1/4) Perlman


第2楽章は、ヴァイオリンの震えるようなヴィブラートとか表情がやや情緒的に感じられるのと、ピアノがペダルを多用して輝くように煌びやかな音がゴージャスすぎて、私にはちょっとコッテリ気味。
(そういえば、昔は豊かな色彩感のアシュケナージが音大生には特に人気のあったピアニストらしい)

Beethoven violin sonata No 9 Kreutzer Mvt 2 part 1 (2/4) Perlman


                             


ショスタコーヴィチの『24のプレリュードとフーガ』の録音が素晴らしくよかったので、メルニコフのピアノ伴奏が聴きたくて買ったのが、イザベル・ファウストとメルニコフのベートーヴェン・ヴァイオリンソナタ全集。
評判もかなり良いし、試聴した時も感触が良かったので、かなり期待していた。

ベートーヴェン: ヴァイオリン・ソナタ集(全曲) (Beethoven: Complete Sonatas for Piano & Violin) (4CD) [輸入盤]ベートーヴェン: ヴァイオリン・ソナタ集(全曲) (Beethoven: Complete Sonatas for Piano & Violin) (4CD) [輸入盤]
(2009/07/21)
Isabelle Faust、Alexander Melnikov 他

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Isabelle Faust & Alexander Melnikov play Beethoven (harmoniamundiのプロモーション映像)



このベートーヴェンの印象というと、鋭いタッチで軽快な疾走感とあっさりした叙情感のある現代的なスマートな演奏。
時々、他の演奏者とは違う弾き方をしているので、いつもと違った響きが、こんな旋律だったかな?と思えるのが面白いかも。
全体的に急速楽章のテンポがかなり速く、叙情が駆け足で通りすぎていく。(好みとしては、もう少し遅いテンポの方が慌しさがなくて好きなのだけど)
タッチが鋭くて音質も軽め。特に低音はシャープで力感はあっても、量感や重みがもう一つなので、全体的に軽やかな疾走感が強くなる。
初期の第1番~第3番なら、こういうタッチが似合うけれど、第4番以降はそういうところが逆にかなり気になってしまう。

そもそもヴァイオリンの音色が好みとは正反対なので、それも影響しているに違いない。線が細く、音の潤いや膨らみがあまりなくて、ちょっとギスギスした感じに聴こえる。特に高音はか細いキーキーした音なので、耳心地があまり良くない。
それとは対照的に、メルニコフのピアノの音はとても美しい。音色は多彩で、弱音の柔らかさやソノリティの美しさ。音響的にピアノの存在感をかなり強く感じるので、私にはピアノ伴奏の方が印象が強い。
もともとメルニコフのピアノ伴奏を聴きたかったので買ったCDなので、それはそれで良いのだけど...。
メルニコフは速いテンポでも指回りが良く、テクニカルな切れの良さと安定感は抜群だし、音色やソノリティの多彩な美しさを味わえる。
特に、(試聴した時から耳が惹きつけられた)第3番の第1楽章のペダルを入れたアルペジオは、ダイナミックな響きが華やか。

全曲を聴き終わってみると、ベートーヴェンにしてはちょっとタッチと音が軽い気はするし、強弱のコントラストは明瞭でも、彫の深い表情とはちょっと違うように思えてきた。
クロイチェルソナタについていえば、ピアノがフレーズ末尾を短く切ったり、フォルテの和音をスタッカートにように軽く切ったりしているので、ちょっと重みに欠ける気がする。第1楽章中盤で右手と左手が3度で反行するパッセージを弱音で軽いタッチで弾くので、子ねずみがちょこまかと動き回っているようなイメージがしてきた。
テンポがかなり速いので、第2楽章の変奏部分ではせかせかと慌しく感じる部分もある。
シャープなタッチと強弱の対比は鋭くて、そういうところは印象的に聴こえるけれど、テンポが速いせいもあって、細部の表情づけはそれほど彫が深い濃さはない。第8番第1楽章冒頭のヴァイオリンの高音、第10番第4楽章の緩急・静動の対比や舞曲的なリズムの弾き方がわりとあっさりしているので、諧謔さはあまり感じない。
試聴した時はとっても印象が良かったのに(特に初期の3曲)、聴けば聴くほど気になるところが多く、珍しくも結果的に期待とはかなり違った録音だった。
こういうのは好みの問題なので、もう仕方がない。(細かいことを気にしなければ)現代的な颯爽としたベートーヴェン風なので、異聴盤をきかずにこれだけ聴いている分には、結構スリリングで楽しめる。

メルニコフのブラームス録音では、逆にルバートたっぷりでかなりウェットな叙情感があるので、彼のベートーヴェンとブラームスは、どうも好みとは違うのがわかってきた。ショスタコーヴィチとかのロシアものの方が私の波長には合うのかも。

tag : ベートーヴェン パールマン メルニコフ

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「クロイチェル」
こんにちは!

「クロイチェル」はレーピン&アルゲリッチのものを持っています。
悪くはないけど、凄くお気に入りでもなく、埃をかぶってしまってます(爆)。

こうして二つの演奏を比べてみると面白いですね。
一昔前という感じの感じの演奏と、現代風と…。
時代によって演奏が変わるのか、単に演奏者の違いなのか、どうなんでしょうね。

私もファウストの音色は、あまり好みではないような気がします。じっくり詳しく聴いたわけじゃないから、分かんないけど。

お話は変わりますが、ロイ・タイのマサマン・カレー購入して、食してみました。適当に冷蔵庫にある鶏肉と野菜を入れましたが(笑)、美味しかったです!!でもちょっと甘いですよね。絶対砂糖が入ってます??
タイってとにかく甘いのが好きな国民なのだなあ…と、つくづく思います。レッドカレーやイエローカレーよりも、マサマンカレーが良いです。安かったので、さらに4つさらに買い足しました!
マサマンカレー、美味しいですね~
Tea316さん、こんにちは。

アルゲリッチのクロイチェルというと、クレーメルと録音した全集盤が有名ですね。随分長い間聴いていませんが、私も持ってます。
さすがに指回りは凄く良くて、ハイテンションな演奏だったと思います。

パールマンはどんな曲でも明るく歌ってしまうところがあるので、ファウストのようには弾かない(弾けない)でしょうし、メルニコフとアシュケナージではピアニズムが違うので、演奏者の違いの方が大きいでしょうね。
メルニコフのようなピアニストが出てくるというのは、時代の違いでもあるのでしょう。

ファウストは、アバドと録音したベートーヴェン&ベルクの協奏曲集が大変評判がよくて、有名な賞をいくつももらっていますから、若手ではトップクラスの人ですし、とても人気がありますね。
残念ながら、音色で好みの半分以上が決まってしまう私には、どうも合わないようです。

マサマン・カレー、お気に召して何よりです!
栄養成分表示を見ると、製品80g(1/3個)あたり、”Sugar”が6g入っています。
イエローカレーは3gですから、マサマンカレーが甘いはずです。やっぱり味覚って確かですね~。
3個ストックしてますが、甘くて辛くないのでスープ代わりに飲めてしまいますから、すぐなくなってしまいそうです。
昨日カルディへ行ったら、まだ売れ残ってました。私も追加して買おうかな~。

気候が暑い国は、甘い食べ物が多いのかもしれませんね。
腐敗防止のために砂糖を多く使っていることもあると思います。
コーラや甘いものが大好きなメキシコ人の肥満度は米国並らしいですし、エジプト人は紅茶に山ほど砂糖を入れるらしいです。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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