カヴァコス&パーチェ ~ ブラームス/《F.A.E.ソナタ》より ”スケルツォ” 

2013, 01. 29 (Tue) 18:00

ブラームスのヴァイオリンソナタのなかで、最も演奏機会が少ないのが《F.A.E.ソナタ》。
《F.A.E.ソナタ》は、シューマンとその友人ディートリヒ、それにブラームスの合作という珍曲。
第1楽章はディートリヒ、第3楽章がブラームス、第2楽章と第4楽章はシューマンの作曲で、後に彼のヴァイオリンソナタ第3番に転用。(Wikipediaの作品解説)
《F.A.E.ソナタ》自体が全曲演奏されることはまず無く、第3楽章の”スケルツォ”の録音をたまに見かけるくらい。

初めて《F.A.E.ソナタ》の”スケルツォ”を聴いたのは、スーク&カッチェンのスタジオ録音。
収録時間の制約からか、彼らのヴァイオリンソナタ全集には収録されていない。
シュタルケルがチェロを弾いているピアノ三重奏曲全集の2枚目のディスクに、チェロソナタ第2番とこの”スケルツォ”が収録されている。

若い頃のピアノ小品《スケルツォ》と同じように、《F.A.E.ソナタ》の”スケルツォ”もブラームスらしい陰翳のある情熱的な短調の曲。
同音連打がヴァイオリンとピアノパートの両方に頻繁に出てきて、これが結構物々しい雰囲気。(最初は一瞬、あのメンデルスゾーンの結婚行進曲風に聴こえる)
冒頭はやがて嵐か何かが襲ってくるかのように勇壮な雰囲気。
やがて、爽やかで伸びやかなタッチの長調の第2主題が入ってきて、垂れ込める暗雲のなかから、太陽の光が差し込んでくるよう。
中間部はとても優美な長調に変わって、穏やかな雰囲気に。
再現部は相変わらず物々しいけれど、最後は急に長調に転調して明るく調和に満ちて終ってしまう。


これは珍しいカヴァコスのライブ音源。ピアノ伴奏はパーチェ。
Brahms - Scherzo for violin &piano in c, WoO2


カヴァコスのヴァイオリンは、スークよりも線が太く、力強く鋭いタッチ。長調の第2主題でもその力強さは変わらない。
中間部ではタッチがかなり変わって、スークよりもゆったりとしたテンポをとり、ヴァイオリンが朗々として伸びやか。束の間の安らぎにくつろいでいるような雰囲気。再現部は再び力強いタッチで緩むことなく、堂々としたエンディング。
ライブ録音の状態が良く、ピアノもヴァイオリンも同じくらいの距離感から聴こえ、音量豊かで音もクリア。
カヴァコスのヴァイオリンは、一音一音をしっかりと鳴らして、底から情熱が立ち昇ってくるような力強さはベートーヴェンの《クロイチェルソナタ》の演奏と同じ。この”スケルツォ”もとても素敵。


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