2013_04
10
(Wed)18:00

ブリテン/春の交響曲 

クラシック音楽で春にちなんだ曲というのは、山ほどあるだろうけど、すぐに思い浮かぶのは、

ビバルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」第1番「春」
ストラヴィンスキー:春の祭典
シューマン:交響曲第1番「春」
リヒャルト・シュトラウス:四つの最後の歌 第1曲「春」
ブリテン:春の交響曲
ドビュッシー:管弦楽のための映像~「春」
メンデルスゾーン:春の歌
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第5番「春」
チャイコフスキー:四季-12の性格的描写 ~3月「ひばりの歌」、4月「松雪草」


調べて見ると、聴いたことがない曲では、
ゴトコフスキー:春の交響曲
ピアソラ:ブエノスアイレスの春
ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」より バレエ「四季」~春
(ピアノやヴァイオリンの独奏曲や歌曲を探せば、まだたくさんあるはず)

知っている曲のなかで、一番春らしくない(?)ところが多いのがブリテンの《春の交響曲》
この曲はソプラノ、アルト、テノール独唱に混声合唱と少年合唱、それに、管弦楽のために書かれたシンフォニー。
12曲それぞれにイギリス詩人の詩が使われている。
各曲の標題は春らしい明るい雰囲気。でも、歌詞は別として、音楽自体は標題のイメージとは違った曲も多い。
ブリテンの作品(ピアノ協奏曲や歌曲など)を思い出させる独特の旋律と和声があちこちで出てくるし、”春”の交響曲なのに、なぜか鬱々とした翳りが差しているところもブリテンらしい。
他の作曲家が書いた”春”にちなんだ曲のような明るく陽気な曲を期待すると、かなり趣きが違うけれど、逆にそのギャップが面白く思えるのかも。

Britten Spring Symphony

ブリテン指揮、ロンドン交響合唱団、ジェニファー・ヴィヴィアン(S)、ノーマ・プロクター(A)、ピーター・ピアーズ(T)、ワンズワース・エマニュエル・スクール合唱団、コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団(1961/1963年録)

ブリテン:春の交響曲ブリテン:春の交響曲
(2006/10/25)
ブリテン(ベンジャミン)、ヴィヴィアン(ジェニファー) 他

試聴ファイル(別盤)


第1曲 序奏:輝き出でよ/Shine out(合唱) (詩:作者不詳)
冒頭の序章から、現代音楽らしい、やや無調がかった不協和的な和声が続き、かなり陰鬱な雰囲気。暗く重苦しいどんよりとした灰色の冬のなかから、何かが起こりそうな-春が徐々に胎動し始める兆しのような序章。最後のフォルテで合唱するところはなぜかコワイ。

第2曲「陽気なカッコウ/The merry cuckoo」(テノール)(詩:エドマンド・スペンサー)
調性的にはやや暗いけれど、カッコウの鳴き声を模したトランペットが賑やか。

第3曲「春よ、やさしい春よ/Spring」(ソプラノ、アルト、テノール、合唱)(詩:トマス・ナッシュ)
ようやくかなり春らしい曲。調性が明るくなり暖かさも感じる。
ソリストたちが、鳥の鳴き声を真似したように歌うのが面白い。

第4曲「馬車に乗る少年/The driving boy」(児童合唱)(詩:ジョージ・ピール、ジョン・クレア)
児童合唱がとっても楽しそう。ソプラノと児童合唱のコーラスも良い感じ。
ソプラノ独奏の背後で、児童合唱が口笛(?)を吹いているような旋律が面白い。

第5曲「朝の星/The morning Star」(合唱)(詩:ジョン・ミルトン)
鐘の音が朝を告げるようで、合唱は夜明けの清々しい雰囲気。

第6曲「来たれ、誉れの娘たち/Welcome maids of Honours」(アルト)(詩:ロバート・ヘリック)
ハープの音色が神秘的。アルトの背後で鳴るヴァイオリンの旋律は、ちょっと不気味。

第7曲「天の水よ/Waters above」(テノール)(詩:ヘンリー・ヴォーン)
ヴァイオリンの旋律には、じりじりとした焦燥感と切迫感がある。(《ジョン・ダンの聖なるソネット》の"Batter My Heart"を連想させるような)

第8曲「芝生に寝ていると/Out on the lawn I lie in Bed」(アルト、合唱)(詩:W・H・オーデン)
のんびり芝生で寝転がっているにしては、のどかというよりも、何か良くないことが到来しそうなオドロオドロしさ。中盤では管楽器や打楽器が、不吉な何かを警告するように騒々しい。

第9曲「わが五月はいつ来るのか/When will my May come」(テノール)(詩:リチャード・バーンフィールド)
タイトルどおり、5月がやって来るのを、じりじりと焦り気味に待ち焦がれているような旋律。

第10曲「美しい、美しい/Fair and fair」(ソプラノ、テノール)(詩:ジョージ・ピール)
第9曲と似たような速いテンポと曲想。5月がやって来たうれしさ(?)から、せわしく走り回っているような慌しさ。

第11曲「笛を吹け/Sound the Flute!」(合唱、児童合唱)(詩:ウィリアム・ブレイク)
春が完全に訪れた喜びが表れた曲。児童合唱が軽快で楽しげで、オケ伴奏も明るい雰囲気。

第12曲 フィナーレ「ロンドンよ、五月の楽しい月を」(テノール、アルト、ソプラノ、合唱、児童合唱)(詩:フランシス・ボーモント)
終曲らしく、たえず動き回っているようにダイナミックでシンフォニック。(あまり明るい調性ではないけれど)
エンディングはまるでサーカスの空中ブランコでスイングするような音楽で、賑やかで壮快。


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4 Comments

Tea316  

ブリテン

こんにちは!
この曲は初めて聴きました。これは交響曲というよりカンタータですよね?

あまりたくさんは聴いてませんが、ブリテンの合唱曲(カンタータといった方が良いのか?)は少し怖くて(?)好きです。この曲もちょっと怖めですが(笑)、良いですね。ロンドンっ子たちに、愛されている曲だそうですね。

最初は「どこらへんが一体春なんだろう?」と思うけど、何度も聴くと、「春」がちらほら感じられるような気がしてくる不思議な曲です。

この曲を聴いていると、なんとなく夜桜を連想してしまいました。綺麗だけど怖い…みたいな(笑)。

馬車に乗る少年は、児童合唱が口笛吹いてますよね?口笛をうまく使っていて、楽しいわ!こういうセンスは、ブリテンならではだと思います。

「来たれ、誉れの娘たち」、好きだなあ。ハープとヴァイオリンの伴奏が、とても素敵。とにかくどれもパワフルで、エネルギッシュ。児童合唱の使い方も良いし、賑やかな終曲のフィナーレもカッコいい。やっぱりブリテンは好きだ!

2013/04/13 (Sat) 14:46 | EDIT | REPLY |   

ポンコツスクーター  

ブリテンの春

こんにちは。
東京は葉桜も終わってしまい、本格的な春です。

ブリテンの「春の交響曲」は、大昔にBBCのライヴをNHKがまとめてFMで放送したときにやってました。エアチェックして聴いたものです。久々に思い出しました。懐かしい。。

春の曲といわれて一番に思い出すのは、シューマンかもしれません。ちょっと陰のあるところがなんともいえません。

2013/04/13 (Sat) 17:22 | REPLY |   

yoshimi  

ブリテンの才気が煌くような

Tea316さん、こんにちは。

タイトルは”Spring Symphony”なんですが、形式はカンタータですね。
ブリテンは組曲形式を得意にしていましたので、これも連作歌曲みたいな曲です。
この曲はイギリスのオケの録音が多いようですから、ロンドンっ子にも人気がありそうですね。
イギリスで春を迎えると、この曲の雰囲気にぴったり合うのかも。
日本の春というと、”春のうららの隅田川~”のメロディがすぐに頭の中で鳴り出します。

最初はオドロオドロしいですが、徐々に明るい雰囲気になって春めいてくるところが、暗い冬から明るい春へと変化していくようで、面白いですね。
なかなか一気に”春”にならずに紆余曲折していくようなところが、ブリテンらしさでしょうか。

「馬車に乗る少年」は、やっぱり口笛ですよね。少年の無邪気な感じが良いですね。
歌手が鳥の鳴き声を真似するのは時々ありますが、口笛を使うのはちょっと珍しいかも。
「来たれ、誉れの娘たち」だけ、他の曲とは一風違ってますが、ハープの音色が神秘的で綺麗です。ハープ伴奏の歌曲もありましたし、ブリテンはハープが好きだったんでしょう。
私は最初の序奏と「天の水よ」も気に入ってます。
この曲はいろんな曲想が盛り込まれていて、バラエティ豊か。やはりブリテンは才気煥発!
私もブリテン、やっぱり好きです。

2013/04/14 (Sun) 00:10 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

陰翳のあるシューマンの”春”

ポンコツスクーターさま、こんにちは。

東京は3月がお花見シーズンですね。
大阪では、”造幣局の通り抜け”の時期(今年は4月16日~22日)が、お花見のピークみたいな感じになってます。
近所や大阪城公園・万博記念公園の桜はすでに葉桜状態なので、造幣局が満開になる時期が一番遅いようです。

この『春の交響曲』は、あまり演奏や録音を見かけたことがないのですが、昔聴いた時よりもずっと面白く聴けました。
多分ブリテンの曲をかなり多く聴いた後なので、ブリテンの作風に慣れたせいでしょう。

シューマンの”春”は有名ですね。
学生時代にバーンスタインとウィーンフィルの録音で初めて聴きました。
シューマンにしては、リズミカルで躍動感のある曲ですが、悲愴感が噴出するようなところもありますね。
それにベートーヴェンの交響曲を聴いているような気が時々します。
私は弾けるような第1楽章が一番好きです。

2013/04/14 (Sun) 00:39 | EDIT | REPLY |   

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