吉松隆/3つの聖歌より ~ カッチーニ/アヴェマリア(ピアノ編曲版) 

2013, 05. 03 (Fri) 18:00

吉松隆の自叙伝『作曲は鳥のごとく』には、ピアニスト舘野泉さんのために編曲した”左手のためのピアノ音楽”のことが書かれている。

「北欧の光や水や風の香りを感じさせる音楽を」という舘野さんの要望から生まれた曲は《タピオラ幻影》。
左手1本で弾くといっても、「フルスペックで書いた」という。(リハビリ中の)舘野さんには「弾いていると心臓が止まりそうになります。左手も壊れちゃいますよ」と言われてしまったという。
それに続いて左手だけで弾くために書いた曲は、いくぶん易しい《アイノラ抒情曲集》やピアノ協奏曲《ケフェウス・ノート》、三手のための連弾曲《4つの小さな夢の歌》(自作のピアノ独奏曲を編曲)、アンコール用の《三つの聖歌》などを作曲。
なかでも、《三つの聖歌》のうち、ピアノ独奏用に編曲されたカッチーニの《アヴェ・マリア》は舘野さんのリサイタルのアンコールとして定番になっている。(他の2曲はシューベルトの《アヴェマリア》、シベリウスの《フィンランディア賛歌》の編曲)

原曲は、実際はソ連の音楽家ヴァヴィロフが1970年頃に作曲したもので、スラヴァがカッチーニの《アヴェマリア》として録音してから、ポピュラーになったらしい。

ソプラノ歌手が歌うと、たいてい感情をたっぷり篭めて朗々と歌っている。
このピアノ編曲版は、言葉はないけれど、美しいピアノの音だけでもとてもセンチメンタル。切々とした染み入るようなしっとりとした叙情感がとても綺麗。

舘野泉 3つの聖歌~アヴェマリア/カッチーニ~



原曲のソプラノ&管弦楽伴奏バージョン
Ave Maria - G. Caccini / Brinums - Inessa Galante



舘野泉×吉松隆舘野泉×吉松隆
(2012/07/04)
舘野 泉

試聴ファイル

タグ:吉松隆 舘野泉

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

4 Comments

Tea316  

アヴェ・マリア

こんばんは!
舘野泉さんも、吉松隆さんも私はよく知らないのですが、カッチーニのアヴェ・マリアのピアノ盤はとても美しくて気にいりました。歌曲よりはさっぱりとして、宗教的な香りも少し薄まっていて親しみやすい感があります。

スラヴァが歌うアヴェ・マリアなどは、昔よく聴きました!すっかりバロック時代の作曲家カッチーニの作曲だと思っていました!が、違うんですね!!1970年頃作曲されたなら、ついこの間じゃないですか(爆)!!スラヴァが誤解を広めたのが悪いのか?それともヴァヴィロフが自作と騙ったことが悪いのか?両方共に、悪いような(苦笑)。

2013/05/03 (Fri) 19:03 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

バロックとしてはロマンティック過ぎますね

Tea316さん、こんばんは。
この曲は何度聴いても、ピアノの方がすっきりと美しく聴こえてきます。
オペラ歌手はここぞとばかりに情感たっぷりに歌うので、私にはちょっとベタっと粘着的な感じがするせいでしょう。

舘野さんはキャリアも長く、北欧(特にシベリウス)の音楽を得意としているピアニストで、国内ではわりと知られている方だと思います。(それでも、凄くメジャーな人ではないですが)
吉松さんは「平清盛」の音楽を担当したことで、知名度が随分上がりましたね。

カッチーニの「アヴェ・マリア」は、ヴァヴィロフが別名で発表したのがそもそもの誤解の原因なので、まあ第一に責められるべきはヴァヴィロフの方ではなかろうかと。
本当にバロック音楽かと疑いたくなるほどあまりにロマンティックなので、1970年頃の作曲だと言われると納得してしまいました。
ヴァヴィロフだけでなく、他の曲でもこの種の偽作があったと思います。(何の曲か忘れましたが)

2013/05/03 (Fri) 23:58 | EDIT | REPLY |   

chokujin  

平清盛を思い出します

こんにちは。いつもブログ拝見しています。カッチーニのアヴェマリアは大河ドラマ「平清盛」の中で、ここ!という場面で流れて何度も涙したのを思い出します。吉松さんは、それぞれの曲がどの場面で使われるかについてはノータッチだったと言ってますが、演出家?の感性には感心していました。
自分がいいと思っている曲を紹介してる記事に出会うと嬉しくなります。

2013/05/04 (Sat) 16:36 | REPLY |   

yoshimi  

異色の大河ドラマ音楽

chokujin様、こんばんは。

「平清盛」自体は見たことがないのですが、5枚組(!)のサントラが発売されていますね。
大河ドラマでこれだけ多くの音楽を書いた作曲家はいないそうですし、これは聴いてみたいですね。
1万円近くするのでそのうち値下がりするのを待とうかと思いますが、当面はレンタル盤で聴くか、主要曲の単体盤の方を買うか、どちらかでしょう。

カッチーニの「アヴェマリア」はとても素敵な曲ですね!
結構センチメンタルな曲なので、ドラマには使いやすいそうです。
ピアノソロバージョンが左手だけで弾いていると、気がつかない人がたぶん多いのではないかと思います。

2013/05/04 (Sat) 22:40 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment