グルダ ~ バッハ/平均律クラヴィーア曲集 第1巻

一時期グルダのCDを集めていたことがある。ベートーヴェン、モーツァルト、バッハやライブ録音など、いろいろ持っていたけれど、聴けば聴くほど、好きなタイプのピアニストではないのがわかってしまった。
今ではCDを聴くこともほとんどなく、amazonのマーケットプレイスに出しておいたら、さすがに根強い人気のあるグルダのCDなので、すぐに買い手が見つかった。

リファレンスのために手元に残しておいたCDも、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ(旧盤抜粋、新盤全集、ライブ録音)&ピアノ協奏曲全集も手放してしまったので、今手元に残っているのは、バッハの《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》。

Well-Tempered Clavier Book 1Well-Tempered Clavier Book 1
(1995/10/17)
Friedrich Gulda

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グルダの平均律曲集は、山ほどある同曲の録音のなかでも、かなりの人気盤。
何度聴いても、私には全く合わない。曲によっては、至極まっとうに思うこともあるけれど、急にポップスみたいな世界になったりする。
グルダが弾いているイギリス組曲やイタリア協奏曲の方は普通に聴けるけれど、この平均律は一風変わったものがある(と私には思える)。

残響を極度に排除しているので、残響の乏しいチェンバロのようなタッチ。
グールドがノンレガートでチェンバロ的に弾こうとしたのとは違って、タッチはスタッカートの緩いノンレガートが多く、タッチよりも録音方法でチェンバロの響きを模しているように思える。
そのタッチも曲によって変わる。第1番のプレリュードはかなりまともに聴こえるけれど、すぐにグルダが本領発揮して、他のピアニストなら絶対こんな風には弾かないだろうという曲がたくさん。
”音の戯れ”とレビューしていた人がいたけれど、自分の思うところのバッハを弾いているという点で、確かに音と戯れているような自由さは感じる。

テンポ設定も独特だし、弱音のタッチが軽く柔らかいので、第1番のフーガなど、優しく語りかけるような演奏は多い。
第10番のプレリュードなどは、まるでポップスのように聴こえる。
急速系のフォルテのタッチの曲は、チェンバロのビンビンとした弦の張りを感じさせるような弾力のあるタッチで、ゴツゴツと硬く強すぎるくらいで、勢いも良い。
声部はそれぞれくっきり聴こえてはくるのだけれど、一つ一つの音の発音がマルカート的に強くて、声部の横の動きが寸断されて流れが悪く、縦の線でピシっと合っているように聴こえる。(声部同士の絡みとか対位法の面白さを味わうなら、コロリオフを聴いた方が良い)

バッハの平均律の演奏としては、私は全く好きではないとしても、グルダの弾く平均律は面白いことは面白い。
昔は聴くのも嫌だったので、処分したいCDの筆頭だったけれど、今はさほど抵抗なく聴けるし、他のピアニストでは聴くことができない自由さとユニークな個性が面白いと思えるようになっていた。


スタジオ録音の第1番プレリュードとフーガ。
Prelude and Fugue No. 1 in C major, BWV 846, from Bach's Well-tempered Clavier, Gulda pianist



めずらしいライブ録音の第15番BWV 860。スタジオ録音とは違って、ペダルも使っているので、ピアノの響きが綺麗でややシンフォニック。
響きが混濁しているのは少し気になるけれど、何より自由闊達な雰囲気がグルダらしい。スタジオ録音よりはこちらの方が好きかも。

Gulda plays Bach Prelude &fugue



こちらは、スタジオ録音の第15番BWV 860。
Prelude and Fugue No. 15 in G major, BWV 860, from Bach's Well-tempered Clavier, Gulda pianist


タグ:バッハ グルダ

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コメント

平均律

私にとっては
グルダ盤が最高で
リヒテル盤が最悪なんです
リヒテル盤は聴き続けることが
できないくらいの不快さです

好みは人それぞれ

いしむらさん

私はリヒテル盤が特に好きというわけではありませんが、あなたがグルダの平均律に感動するように、リヒテルの平均律に感動する方も多いですよね。
(私がグルダに対して感じたのと同じように)”不快”という感覚もわかりますが、好みに合わないのは致し方ないことですね。
ご自分のお好きなものだけを聴かれればよいように思います。
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yoshimi

Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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