【新譜情報】ツィンマーマン&パーチェ ~ ヒンデミット/ヴァイオリン作品集  

2013, 05. 28 (Tue) 12:00

今年は、パウル・ヒンデミット没後50周年のメモリアルイヤー。
といっても、ヴェルディとワーグナーで賑わっているオペラ界と違って、ヒンデミットの音楽で盛り上がることもないだろうけど..。
ヒンデミットのメモリアルイヤーに合わせて、思いがけなくフランク・ペーター・ツィンマーマンの新譜がリリースされるのを見つけて、これはとっても嬉しい。

今回のツィンマーマンの新譜は、ヒンデミット作品集。BISから6月10日発売予定。
ツィンマーマンが最近出した新譜は、<トリオ・ツィンマーマン>が演奏する弦楽三重奏曲で、全てBIS盤。
SONYから長い間新譜が出ていなかったので、BISに移籍したのだろうか?
BISはシュニトケなど現代曲の録音も多く、日本の現代音楽に関する面白い企画のアルバムもいくつか出ている。BISなら、それほど人気があるとはあまり思えないヒンデミットの作品でも、SONYよりは録音しやすいように思える。

収録曲は、ヴァイオリン協奏曲、無伴奏ヴァイオリンソナタ1曲、ピアノ伴奏付きのヴァイオリンソナタ3曲と、ジャンルの異なる曲が3種類。
ピアノ伴奏は、いつものようにエンリコ・パーチェ。パーチェには、ヒンデミットのピアノ・ソナタ第3番の(あのフームズ音楽祭での)ライブ録音がある。これがグールドの同曲の演奏と並んで好きなものなので、今回のピアノ伴奏を聴くのも楽しみの一つ。

新譜のジャケットデザインは、カンディンスキー(か誰かの)の抽象画に少し似ているかも。
ダークでカラフルな色合いと幾何学的な構図が、ヒンデミット作品のイメージによく合っている。
パウル・ヒンデミット : ヴァイオリン作品集 [SACD hybrid] [輸入盤]パウル・ヒンデミット : ヴァイオリン作品集[SACD hybrid] [輸入盤]
(2013/06/10)
フランク・ペーター・ツィンマーマン (ヴァイオリン), エンリコ・パーチェ (ピアノ)、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団

試聴する(amazon.de)
HMVの紹介文

<収録曲>
1. ヴァイオリン協奏曲 (1939)
  パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)(2009年9月録音)

2. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ op.31-2 (1924)
3. ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 op.11-1 (1918)
4. ヴァイオリン・ソナタ ホ調 (1935)
5. ヴァイオリン・ソナタ ハ調 (1939)
  ピアノ伴奏;エンリコ・パーチェ (2012年5月録音)

ヒンデミットの音楽は、旋律の歌謡性があまりない曲が多くて、もう一つとっつきが悪いかもしれない。
でも、無調ではないので、現代的な乾いた叙情感というか、漠然とした不安感や好奇心・不可思議な眼差しを感じさせるような独特の和声が美しい。
それに、クールな諧謔やヒンデミットが生きていた時代の都市の喧騒を連想するような騒々しい音遣いもあったりして、ロマン派音楽のような感情移入できる音楽を期待しなければ、結構面白く聴ける。

ヒンデミットはもっぱらピアノ作品を聴いているので、ツィンマーマンの新譜はよく聴いていない曲ばかり。
試聴してみると、無伴奏ソナタは、和声の響きに独特の美しさを感じるピアノ独奏曲とは違って、和声よりも旋律自体の動きが面白い。
なぜか第4楽章はどこかで聴いたことのある調性音楽の旋律で始まる。”Fünf Variationen über Das Lied Komm Lieber Mai Von Mozart”というタイトルが付いているので、これはモーツァルトの曲。
収録曲のなかでは、ヴァイオリンソナタが比較的叙情性が強く、ピアノ独奏曲(ルードゥス・トナリスとか)で使われているのに似たような和声や旋律も出てくるので、私には一番聴きやすい。
初期の作風は後期ロマン主義の影響があるらしく、1918年のヴァイオリン・ソナタ変ホ長調の旋律も、ヒンデミットにしてはかなりロマンティックでわかりやすい。
ホ調(1935年)、ハ調(1939年)のヴァイオリンソナタとなると、調性感がやや曖昧になり、ヒンデミットらしい不可思議な雰囲気漂う乾いた叙情感が美しい。ハ調の第2楽章はフーガ。ピアノ・ソナタにも使われているフーガを連想する。
ヴァイオリンソナタ3曲は試聴しただけでも、好みにぴったり合いそう。


ツィンマーマン&パーチェのヒンデミット演奏の音源がYoutubeでは見つからなかったけれど、なぜかクレーメルとガヴリーロフが、ヒンデミットのヴァイオリンソナタを弾いている音源を発見。
私には、ちょっと不思議な組み合わせのデュオに思えるのだけれど(それも曲がヒンデミットだし)、2人とも同じロシア出身だし親交があったのかも。
ツィンマーマンのCDが届いてから聴き比べれば、この2組のデュオの演奏の違いがわかって面白そう。

KREMER & GAVRILOV - HINDEMITH Violin Sonata in E-flat, 1979 (Violin Sonata No.1 )



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ヒンデミット/ピアノ・ソナタ第3番

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