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バックハウスのアンコール曲 ~ シューベルトの即興曲、ショパンのノクターン
山ほどあるCDの整理をしていると、長らく聴いていなかったバックハウスのCDが次々と出てくる。
学生時代にクラシックのCDを集め始めた頃、巷の評判からすると、ベートーヴェンならバックハウスを聴くべきなんだろう..と思ったので、ピアノ・ソナタやピアノ協奏曲のスタジオ録音やライブ録音をいろいろ買ってきたし、ベートーヴェン以外の録音も結構集めていた。
(高校時代に習っていたピアノの先生が貸してくれたLPは、バックハウスではなく、ケンプのベートーヴェンだったけど)

今時バックハウスを聴く人は随分少なくなっているだろうし、今になってバックハウスを聴き直すとは思ってもみなかった。
本当に久しぶりに聴いてみると、昔とは違って、魅かれるものがとても多くなっている。やっぱり年のせいかも...。
数年前からバックハウスのライブ録音が次々とリリースされたり、再発売されたりしていたので、いくつかは買っておいた。
それに収録されているアンコール曲は、ベートーヴェン以外の曲ばかり。
シューベルトの即興曲、シューマンのピアノ小品、モーツァルトのトルコ行進曲、ショパンのエチュードやノクターンなど、ベートーヴェン弾きのバックハウスのイメージとちょっと違っているところが面白い。

バックハウスのスタジオ録音集には、バッハ、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、メンデルズゾーン、ショパン、ブラームスと、古典派とロマン派の有名曲がいろいろ録音されている。
わりと気に入っているのは、初期のベートーヴェンみたいなモーツァルト、甘ったるさのない(でも意外に叙情的な)ショパン。
ブラームスは、ルバートも弱くかなりあっさりした叙情感なので、曲によりけり。どちらかというと、2つのラプソディのような速いテンポのパッショネイトな曲の方がバックハウスらしい力強さと切れの良さがある。
シューベルトは、逆にさっぱりした叙情感が、神経質的でも過剰に繊細でもなくて、私の好みに合うらしい。

特に、アンコール曲で好きな録音と言えば、ショパンのノクターンとシューベルトの即興曲。
シューベルトの即興曲で残っているライブ録音は、D935のNo.2とNo.3。
No.2は1954年カーネギーリサイタルや、1969年の最後のリサイタルでも弾いていたので、この曲の方が好きだったのかもしれない。
こういう小品を弾くバックハウスには、飾り気のない淡々とした中に、ほろほろとこぼれ落ちるような暖かみや淡い叙情感があって、何ともいえないこの味わいにほっこりとしてしまう。

NAXOSサイトにあるバックハウスのプロフィールを読むと、初期のレパートリーは、ショパン、リスト、シューマン、ブラームス、ベートーヴェンが中心。
第2次大戦後、ドイツ古典派を好むようになり、リサイタルのプログラムからショパンとリストが消え始めた。
バックハウスは晩年になっても技巧的に高いレベルを維持していたので、ショパンのエチュードは1950年代までリサイタルで弾いていたという。
ショパンのスタジオ録音は、1928年にHMVに初めてエチュード全曲を録音。DECCA時代にはショパンのピアノソナタ第2番を残している。


バックハウスは、アンコール曲を弾く時に、1曲ごとに、(指鳴らしがわりに?)まず和音を短いアルペジオでポロンポロンと弾くという、珍しい習慣がある。
ライブ録音にはそれも収録されていることが多い。初めて聴いた時は、この音は何なのだろう?と不思議だったけれど、いつもそうしていたらしい。

バックハウスとショパンのノクターンというのは、全然イメージが合わなかったけれど、実際聴いてみると、澄んだ透明感のある音と、さっぱりとしつつも抒情的な語り口が、妙にこの曲に似合っているような気がしてくる。
それに、思いのほか、夢の中でまどろんでいるようなファンタジーがあったりする。

Wilhelm Backhaus plays Chopin Nocturne in D flat major Op.27 No.2




シューベルトの即興曲のYoutube音源には、1956年のライブと注記がある。
1956年のカーネギーリサイタルのことかと思ったけれど、そのときは第3番の即興曲を弾いていたので、こちらは1954年の方のカーネギーリサイタルの時のアンコールかも。
バックハウスの最後の演奏会となった1969年のリサイタルでも、一番最後に弾いたのはこの曲だった。

Wilhelm Backhaus plays Schubert Impromptu, D.935 No.2 - Live


tag : バックハウス シューベルト ショパン

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バックハウスのシューベルト
こんにちは。
バックハウスのシューベルト「即興曲」は、69年のカーネギーリサイタルのものを一時期聴きました。技巧的にはもうこのときはヨレヨレの感じなので、記録的な価値があるということでしょう。ご紹介の54年のものはよいですね。
バックハウスといえば一昔前はベートーヴェンもしくはブラームスが良いという世評でしたが、今は仰る通り、いささか影が薄くなりましたね。実際、私もあまり聴きません。
むしろショパンの練習曲が気になります。
バックハウスの録音について
ポンコツスクーター様、こんばんは。

1969年というと、もう85歳くらいですから、技巧的には苦しいでしょうね。
その1年前、68年のザルツブルグ音楽祭のライブ録音(orfeo盤)を持ってますが、技巧的にはともかく、音楽の流れが良く、音も自然な美しさを感じさせるものでした。
アラウやゼルキンの同年齢頃の演奏と比べると、バックハウスの方が技巧的にはしっかりしているように思います。

バックハウスのステレオ録音のベートーヴェンはもうひとつ魅かれるものがなく、随分長い間聴いていませんでしたが、最近1950年代前半のモノラル録音のソナタ全集を手に入れました。
国内盤なので少し高かったですが、これはとっても私好みのベートーヴェンでした。
昔から、バックハウスはモノラル録音の方が良いという人をよく見かけましたが、確かにその通り。
1950年代なかば(60歳代)頃までは、技巧的な衰えが少なく、スタジオ録音・実演とも良いものが多いように思います。(音質はあまり良くないですが)

ショパンは、古いSP時代のスタジオ録音とライブ録音があるようです。
63年のライブ録音は持ってますが、78歳ころのエチュード演奏なので危なっかしそうで、未聴のままでした。
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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