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青山通 『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』
「紀伊國屋書評空間」(2013/08/06)に載っていた”青山通『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』”の書評を読んで、久しぶりに聴いたのがリパッティのシューマンの《ピアノ協奏曲イ短調》。

この本が出ているのは知っていたので、そのうち読もうと思っていたら、書評がとても詳しくて、半分読んだ気になってしまった。
子供の頃に好きだった特撮ものには、仮面ライダーにウルトラマンシリーズ、人造人間キカイダー、ゴレンジャー(それにおぼろげな記憶では、月光仮面)など、結構多い。ゴジラ(とモスラ)の映画も時々見ていた。

ウルトラシリーズのなかでは、初代ウルトラマンとウルトラセブン(たぶん再放送された番組)をよく見ていた。
特にセブンは、ストーリーやテーマが子供向けの怪獣特撮物の域を超えて、制作当時に存在した社会的問題を扱っていた話もあったせいか、映像の色調や映像の雰囲気が暗めで、そこはかとなく漂う哀感を子供心に感じたものだった。

最終回を見たのは覚えているけれど、かすかな記憶なので、終盤のシーンで使われていた音楽は全然覚えていない。
著者の青山さんも、当時子供だったのに、このシーンで使われていたシューマンのピアノ協奏曲を覚えていて、それが後年の音源探しにつながって行く。

「クラシック音楽は、同じ曲でも演奏によってまったく違う表情になる。そして、同じ演奏者でも同じ演奏は二度とない」というのは、確かにその通り。
それにしても、子供の耳で、TVでオリジナルな劇伴音楽に混じって使われていたシューマンのピアノ協奏曲を覚えていて、さらには、後年になって、その曲が、リパッティのカラヤン盤とアンセルメ盤、ルービンシュタイン盤、ケンプ盤と同じかどうか、演奏の違いが聴き分けられた...というのは、凄いかも


文芸評論家・研究者でウルトラマンマニアらしき小谷野敦氏が、amazonのカスタマーレビューや自身のブログ<猫を償うに猫をもってせよ>の5月5日の記事で書評を書いている。
「クラシック音楽は、演奏によって違うということらしいが、まあ違うといえば違うが、ちょっと誇張し過ぎ」、「 『セブン』で聴いたシューマンのピアノ協奏曲がリパッティであったところから、それ以外の演奏を聴いて「違う」と思ったという話が、どうも信じられない。」と書いている。
著者の年齢から考えれば、そう思ったのもわからないではないけれど、著者にとっては、この曲が使われているシーンが強烈に記憶に刻みこまれていたに違いない。


ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれたウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた
(2013/04/25)
青山通

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これが、問題の最終回のシーンと音楽。確かにシューマンのコンチェルトの第1楽章冒頭の旋律が、(0:55のところで)突然聴こえてくる。

ウルトラセブンとシューマンのピアノ協奏曲イ短調



ためしに、TV番組で使われていた曲と、 リパッティ、ルービンシュタインの演奏の冒頭部分を聴いてみた。
冒頭のピアノソロの旋律は、リパッティ/カラヤン盤は速めのテンポで切れ良いタッチ。それに比べると、ルービンシュタインは、ややテンポが遅く、符点のリズムが少し鈍くて重たい。
その後に続く部分は、さらにテンポが違ってくるので、両者の演奏の違いが明らかにわかる。
私の聴く耳が良くないのだろうけど、番組中の演奏と、リパッティの演奏とが一緒だとは、すぐには確信を持って言えるほどではなく。
トゥッティが終わった後のピアノソロの旋律を聴くと、これはリパッティみたいだと思えてくる。
リマスタリングしたCD、LP、実際の番組中の音源とでは音質が違うだろうし、Youtubeの映像はかなり圧縮されているはずなので、音が滲んでひび割れた感じがする。
それでも、ルービンシュタインの演奏ではないというのはわかるし、リパッティ/アンセルメ盤は、冒頭部分から、テンポもタッチも、明らかに他の音源とは(それに番組中の曲とも)違っている。


これはカラヤンが伴奏指揮したリパッティの1948年スタジオ録音。
1950年のライブ録音よりも、全体的にテンポが速めでタッチにも切れの良さがあり、音質はやや古めかしくとも、繊細で瑞々しい音と叙情が流麗でとても美しい。

Schumann - Piano Concerto - Lipatti, Karajan (1948) mvt. I



著者が聴き比べたというルービンシュタインの1967年録音(指揮はジュリーニ)。
Arthur Rubinstein - Robert Schumann, Piano Concerto, Op. 54 - Allegro affettuoso (1)




リパッティのシューマンのピアノ協奏曲には、1948年のスタジオ録音から2年後にあたる1950年の演奏会のライブ録音も残っている。伴奏指揮はアンセルメ。
音質はスタジオ録音に比べればさらに悪いけれど、ピアノの音自体は明瞭に聴き取れる。
タッチの切れも良く煌びやかさを感じるカラヤン盤と比べると、この演奏会の頃は病気がかなり進行していたため、全体的にテンポが遅めで、タッチの切れもやや鈍って重たく感じる。
リパッティが最後まで弾き切ることができるかどうか危ぶまれる状態だったらしく、スタジオ録音とは違ったある種の重苦しさと緊迫感が漂っている。
特に、第3楽章は、ひたすらエンディングを目指してひたひたとにじり寄っていくような息詰まるものがある。

Lipatti & Ansermet - Schumann Concerto in A minor Op. 54


tag : シューマン リパッティ

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ウルトラセブン
こんにちは。
最終回を含めた巻のDVDを持っています。パンドンとの対決、何度見ても鳥肌が立ちます。
ご紹介いただいた映像も観まして、また感動しました。。
終盤は圧巻です!
ポンコツスクーター様、こんばんは。

子供の頃に見た番組のDVDが出ていると、観たくなってきますね。
特撮物のDVDは持っていませんが、SF番組なら「スタートレック」、アニメは「宇宙戦艦ヤマト」に「侍ジャイアンツ」など、子供の頃に好きだった番組のDVDはいくつか持ってます。

セブンのYoutubeの映像を観ると、おぼろげながらも記憶が蘇ってきました。
終盤のパンドンと戦っているシーンは、人間が着ぐるみ姿で戦っているのがわかっていても、それを忘れるほどリアリティがあるというか、迫力満点ですね。エンディングも全く感動ものです。
流れているシューマンのコンチェルトが、悲愴感をさらに増幅してます。
まさか、この曲がこの戦闘シーンにこんなにぴったり合うとは思ってもみませんでした。
選曲した人のセンスは凄い。それに、青山さんが子供心にこの曲を覚えていたのも納得です。
知らなかったです
セブンは弟が大好きで、いつも「ちぇぶんちぇぶん」と騒いでいました。一緒に見ていたけれど、子供すぎてBGMまで気が付きませんでした。
でも本当にリパッティなんですかねぇ?そうだったらすごい話しですね。
楽しい情報♪いつもご紹介ありがとうございます。
やっぱりリパッティだと思います
Leaf Pie 様、こんにちは。

実際、番組の映像の音楽と、リパッティの録音を、冒頭部分40秒間だけ、繰り返し聴いていると、やっぱりリパッティ/カラヤン盤というのは、正しいように思います。(演奏時間もほぼ一緒です)

リパッティの録音を聴き込んだ人なら、すぐにわかるかも。
でも、子供の頃にブラインドで聴いた演奏の音源を、後年になって、探し当てた..というのはやっぱり凄いです。

リパッティのシューマンは、1950年のライブ録音の方を何度も聴きましたが、このスタジオ録音もいいですね。
おかげで、リパッティのBOXセットを買う気になってしまいました。

セブン
おはようございます。

私も子供の頃、ウルトラマン好きでした。
セブンもたぶん見ていたと思います。あまり記憶が残ってないけど。

このシーンでシューマンですか?
とっても私的に大ウケ!!シーンにぴったり合っているじゃないですか?誰のアイデアだろう?素晴らしい(笑)。

音源探しは楽しいですよね。映画とかで流れると、これは誰の演奏だろう?ってエンドロールで確認することが多いです。
選曲の妙ですね
Tea316さん、こんにちは。

ほんとうに、シューマンのコンチェルトがやたらにぴったり合っていますよね!

Wikipediaの記述によると、当初、満田監督はラフマニノフの曲を提案したところ、記憶違いでイメージに合わず。(間違って覚えていたのはどんな曲だったんでしょうね?)
そのイメージに合うように、劇中音楽担当の作曲家冬木透氏がシューマンのコンチェルトを提案。最初は数秒間使う予定だったものを、冬木氏が最後の戦闘シーンまで断続的に数分間使うことにしたそうです。
監督がラフマニノフ、作曲家がシューマンを思いつくあたり、クラシックに意外と詳しかったのかも。

映画の音源探しは、すぐにわかるときは良いのですが、聴いた覚えがあるのに曲名が出てこないと、結構フラストレーションが溜まります。
私は公式サイトやサントラで確認してましたが、確かにエンドロールにも載ってましたね。
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yoshimi

Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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