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バルトーク/ピアノと管弦楽のためのラプソディ、ピアノのためのラプソディ
カヴァコスの新譜に《ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ》が入っているので思い出したのが、《ピアノのためのラプソディ》。
バルトークには、「ラプソディ」という曲が編曲も含めて数曲あるのでややこしい。

《ピアノのためのラプソディ》はピアノ独奏曲。編曲版として《ピアノと管弦楽のためのラプソディ Op.1 Sz.27》もある。
両方とも、録音はかなり少ない。私がCDで聴いたのは、アンダの《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》で、アンダのDG録音集『Geza Anda - Troubadour of the Piano』に収録されている。

《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》は、ヴァイオリン曲のラプソディと比べて、オドロオドロしい騒然とした雰囲気と暗い炎が燃えているような情熱とが、暗い色調の建物が並ぶ東欧の街のイメージとオーバーラップする。
リストの《ハンガリー狂詩曲》と相通ずるところはあるけれど、それよりもピアニスティックで煌びやかな華やかさや舞曲的な躍動感がやや薄く、暗く重苦しい悲愴感が見え隠れする。

2楽章からなり、第1楽章”Adagio molto”は、冒頭は重苦しい悲愴感漂っているけれど、後半には内省的で叙情的な旋律も出てくる。
第2楽章”Poco allegretto”は、舞曲風のリズムでラプソディ的な激しさと躍動感が出てくる。
ピアニスティックでロマンティックになっているけれど、一気に華やかにエンディングに流れ込むというわけではなく、序盤の冒頭主題のモチーフが回想されたり、静かでゆったりとした旋律が挿入されたり、詩的な美しさも織り込まれている。

BARTÓK Rhapsody for Piano and Orchestra Sz. 27 | László Gyimesi / György Lehel



独奏曲の《ピアノのためのラプソディ》は、ピアノだけのシンプルなソノリティのせいか、オケ版とは随分雰囲気が変わって、冒頭から誌的な雰囲気が漂う。
重苦しい陰鬱さではなく、情熱的な旋律が舞っているなかにも静けさが流れているような美しい曲。
ピアノ協奏曲や民謡をモチーフとした他のピアノ独奏曲とも違ってロマンティシズムを感じるものがあり、それと知らずに聴いたとしたら、バルトークが書いたとはすぐにはわからなかったかも。

そういえば、バルトークはピアノの名手でもあり、当時あまり弾かれていなかったリスト作品を度々弾いていたという。
おぼろげな記憶では、学生時代のブダペスト音楽アカデミー(現ハンガリー国立リスト音楽院)の公開演奏会でも、リストを弾いていた...と本で読んだことがある。
(この頃は、まだドビュッシーやストラヴィンスキーの音楽とは出会っていなかったので、その影響はなかったはず)
作品番号1の曲は、《ハンガリー狂詩曲》の作曲者であるリストに捧げられた《ピアノのためのラプソディ》だったというのは、リストへの敬意の表れなのか、はたまた、リストの《ハンガリー狂詩曲》に対して批判的だったバルトークの回答なのか、どちらなのだろう?

Bartók Béla Rhapsody op. 1 for piano solo Tibor Szász



アンダのDG録音集。”Troubadour of the Piano”(ピアノの吟遊詩人)は、カラヤンがアンダを喩えた言葉。
このBOXセットはもう廃盤になっている稀少盤。そのうち廉価盤で出てくるのでは。
得意のシューマン、ショパンを中心に、ちょっと異色のシューベルト、それに、ベートーヴェン、バルトーク、リスト、フランクの作品も入ったバラエティのある選曲でアンダの演奏が聴ける。

Troubadour of the Piano (Spkg)Troubadour of the Piano (Spkg)
(2005/09/13)
Geza Anda、 他

試聴ファイル(amazon.com)



バルトーク関する面白い小論は、吉松隆の「バルトークに関するバトルトーク」
バルトークとリストの関係については、「1901年のリスト生誕90周年で、まだ音楽院の学生だったバルトークはリストの「ロ短調ソナタ」を弾き、作品番号1を付けたピアノ曲「ラプソディ」をリストに捧げて作曲家としてのスタートを切っている。」と書かれている。

tag : バルトーク アンダ

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バルトークとリスト
こんにちは。

僕のブログの方でいろいろ調べてコメントくださり、ありがとうございました。とても楽しい談義でした!(インターネットって素晴らしい)

バルトークは「聴衆はリストのそれほど重要でない、例えば一連のラプソディのような作品を好む。そのような作品の皮相的要素に惹かれ、リストの重要な作品に内在する本質を理解する能力に欠けているのだ」というコメントを残しています。

この一連のラプソディーとはハンガリー狂詩曲のことだと思いますが、バルトークはハンガリー狂詩曲をそれほど評価していなかったようです。音楽的に好きになれなかったというだけでなく、「ジプシー音楽を真のハンガリー音楽」としてしまった点が心情的に許せないという点もあると思います。ブラームスやシューベルトもジプシー音楽をハンガリーの旋律として作品に使用することがあったのですが、なぜか矢面に立たされるのはいつもリストばかり(笑)

僕はハンガリー狂詩曲がロ短調ソナタのように芸術性に優れているとは思いませんが、しかしそのピアノ技法はリストの書法そのものなので、リストを語るには欠かせない作品かなと思います。
ハンガリー狂詩曲とラプソディ
ミッチさま、こんにちは。

私の方こそ、とても勉強になりました。
今でも頭のなかが少しこんがらがっていますが、演奏を聴けばどの版か大体わかるようになりました。

バルトークのリストに関するコメントは、ブレンデルのコメントとほぼ同じ内容ですね。
リストの場合は、バルトークと同郷のハンガリー人だったので(実質的にはドイツなどが拠点だったようですが)、ブラームスやシューベルトとは違って、許せなかったのかも..という気がします。
リストは幸か不幸か、何をしても目立って注目されてしまうため、毀誉褒貶著しい損な役回りですね。

《ハンガリー狂詩曲》は一部の曲を少し聴いただけなのですが、バルトークに比べれば、華やかでピアニスティックに感じました。
バルトークはリストを好んで弾いていたという記憶があったので、敬意からこの《ピアノのためのラプソディ》を書いたのかと思いましたが、むしろその逆で、リストの《ハンガリー狂詩曲》に対する批判的回答の意味合いがあったように思えてきました。

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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