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イグ・ノーベル賞(医学賞)「心臓移植したマウスにおけるオペラ聴取の影響評価」
今年2013年のイグ・ノーベル賞の医学賞に選ばれたのは、日本人研究者グループによる「心臓移植したマウスにおける、オペラ聴取の影響評価」。

この研究論文ウェブ上で公開されており、論文タイトルは "Auditory stimulation of opera music induced prolongation of murine cardiac allograft survival and maintained generation of regulatory CD4+CD25+ cells,"。[Masateru Uchiyama, Xiangyuan Jin, Qi Zhang, Toshihito Hirai, Atsushi Amano, Hisashi Bashuda and Masanori Niimi, Journal of Cardiothoracic Surgery, vol. 7, no. 26, epub. March 23, 2012.]。(Pubmed抄録はこちら)
この英文論文は日本語では発表されていないらしく(検索したけれど見つからなかった)、Pubmedで英文論文の抄録・全文が見つかる。


論文を読むと、実験に使われたマウスは、全部で5グループに分割されている。
1)非治療群:音楽聴取なし。
2)治療群:4パターンの音楽聴取(オペラ、クラシック音楽、ニューエイジのいずれか)、または、単一周波数。心臓移植手術日から6日後までの合計7日間。
- オペラ:La Traviata by Giuseppe Verdi, Royal Opera House Covent Garden Chorus and Orchestra, conducted by Sir Georg Solti, 448 119-2; Decca, London, United Kingdom [UK], 1995
- クラシック音楽:The Ultimate All Mozart, Berlin Philharmonic, POCG-30044; Polydor, Tokyo, Japan, 1999
- ニューエイジ:Paint the Sky with Stars: The Best of Enya, Enya, WPCR-2345; Warner Music Japan, Tokyo, 1997
- 6種類の周波数のうち、1種類:100, 500, 1000, 5000, 10,000, or 20,000 Hz

3)対照群:心臓移植手術前の7日間に音楽聴取(事前治療)
- tympanic membrane perforationのあるマウス
- 心臓移植前の7日間に音楽聴取


この論文を読むと、周波数の帯域と種類がかなり違った音楽をマウスに聴かせている。
多数の歌手とオーケストラが参加するオペラは、周波数帯域が幅広く周波数の種類も多い。
その次に周波数が多様なのが(曲にもよるが)、音楽療法に良く使われるモーツァルトの管弦楽曲。
NEWAGEは、歌手が女性一人(バックコーラスはあり?)で楽器もそれほど多くは使っていないだろうし、単一周波数(100, 500, 1000, 5000, 10,000, or 20,000 Hz)になると、いわゆる雑音。
オペラの中でも、ベルディの《椿姫》を選んだのは、単に研究者の趣味の問題のような気がする。

この研究は、「心臓移植を受けた」マウスを使って、音楽聴取による免疫反応への影響を研究したもの。オペラを聴いたマウスが免疫反応が緩和されたため、他の音楽・ノイズ(単一周波数)を聴かせたマウスよりも、生存期間が長かった。
一般論として、マウスがオペラを聴くと病気がよくなるとか、長生きする可能性があるということでは、全然ないし、人間に対する効果は未知数。
心臓移植分野では、音楽療法に対しては論争があり、音楽療法の効果に対しては懐疑的な医師が多いらしい。
実際に心臓移植患者で臨床試験をするとしても、(日本国内の)患者数はそれほど多くはないだろうし、著しい効果が期待できるわけでもなさそうなので、人間の被験者で実験するのは難しいのかもしれない。

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(非公開コメント受付中)

私も読みました
私の他にもオリジナルを読んだ人がいるのを知ってちょっと嬉しいです。聞いたことのないジャーナルですが、あまりにも結果が素晴らしすぎるのが逆に心配です。こんなに差が出るのでしょうか。動物実験の大学の倫理委員会も通さなきゃいけないし。。。大事なデータも抜けているし私には怪しい論文の一つにしか思えません。
音楽の選択基準は?
K様、こんばんは。

私が興味があったのは音楽の選択基準だったので、他の部分はさっと目を通した程度です。
残念ながら、音楽については詳しく解説されていなかったのですが、人間に応用できるかどうかは別問題ですから、マウスの実験結果自体にはさして興味はないですね。
被験者の方が集まるかどうか疑問ですが、いつか臨床試験で確認してもらいたいものです。
周波数ですか…
おはようございます。

ほ~、オペラは周波数帯域が幅広く周波数の種類も多いのですね、なるほど。その次がモーツァルトですか…だからよく音楽療法に使われるんですね。

椿姫を選んだのは、研究者の趣味が反映されている可能性大なのですね。私的にはカルメンとかで試して欲しいな(笑)。

う~ん、被験者はあまり集まりそうに無さそう。もしもうちの父親なら、オペラが苦手だからきっと拒否すると思う(苦笑)。
オペラによって効果が違うかも?
Tea316さん、こんにちは。

記事の内容は、私の勝手な推測で書いていますので、合っているかどうかわかりませんよ。
モーツァルトが音楽療法に使われるのは、曲にもよるでしょうが、高周波数の音と倍音が多いので精神安定効果があるようです。

オペラはそうではありません。
歌声と楽器は、周波数域の範囲と倍音の多さがそれぞれ違いますが、オペラは歌手と楽器の数から言えば、周波数の幅が広く種類も一番多そうです。
なので、何らかの効果が得られる可能性が高くなる...ということなのかも。
「椿姫」は多分個人的趣味ではなかろうかと。「カルメン」は興奮しやすい音楽のような気がするので(聴いたことがないので単なるイメージですが)、逆効果かも。
「椿姫」や「ドン・ジョバンニ」、「カルメン」の周波数解析すれば、周波数特性や違いがわかるのでしょうが、そんな研究している学者さんはいるかな~?
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