リスト/ヘクサメロン変奏曲(ベッリーニの「清教徒」の行進曲による華麗な大変奏曲)

ミッチさんのブログ<フランツ・リストに花束を>で紹介されていたハワードの『リスト ピアノ作品全集 Disc.96:ピアノと管弦楽のための作品2』のなかで、とても面白そうな曲が《へクサメロン - 演奏会用小品 "ベルリーニの《清教徒》の行進曲による華麗なる大変奏曲"》。

《へクサメロン変奏曲》は、複数作曲家の合作という珍しい作品。
合作曲で今でもよく演奏されている曲で私が知っているのは、ブラームスの《F.A.E.ソナタ》くらい。
”へクサメロン”とは、ギリシャ語で6編の詩という意味。
同一主題に基づいて、複数の作曲家が変奏曲を書いているという点では、ディアベリ変奏曲と発想は同じ。
《へクサメロン変奏曲》の場合は、6人の作曲家が書いた曲をまとめて1つの変奏曲にしている。
主題や変奏曲のつなぎにあたる間奏曲とフィナーレは、監修役(らしい)リストが作曲。

《へクサメロン変奏曲》を書いた作曲家は、リスト、タールベルク、ピクシス、ヘルツ、チェルニー、そしてショパン。(ピクシスとヘルツは私は知らなかった)

楽章構成は以下の通り。
Introduction: Extremement lent (Liszt)
Tema: Allegro marziale (transcribed by Liszt)
Variation I: Ben marcato (Thalberg)
Variation II: Moderato (Liszt)
Variation III: di bravura (Pixis) - Ritornello (Liszt)
Variation IV: Legato e grazioso (Herz)
Variation V: Vivo e brillante (Czerny) - Fuocoso molto energico; Lento quasi recitativo (Liszt) 10:15
Variation VI: Largo (Chopin) - (coda) (Liszt)
Finale: Molto vivace quasi prestissimo (Liszt)

行進曲が主題なので、変奏はいかにも行進曲風なものが多いけれど、モデラートの第2変奏(リスト作)と、ラルゴの第6変奏(ショパン作)は、少し曲想が違っていて、とてもロマンティック。
ヘルツの第4変奏は、蝶が舞うようないかにも変奏らしいパッセージが続く。
第5変奏⇒第6変奏へと移行する部分はリストが書いている。テンポと曲想の違う2つの変奏が、自然に繋がっていく。
第6変奏も最後にリストによるコーダ部分がつき、最後のフィナーレにつながる。さすがにリストが作曲したこのフィナーレはとっても華やか。


《へクサメロン変奏曲》は、ピアノ独奏、2台ピアノ、6台ピアノ、管弦楽曲&ピアノとバージョンがいろいろ。特に録音が多いのは、ピアノ独奏版。

Hamelin plays Liszt - Hexameron
ショパンが作曲した曲は、13:19~。



独奏曲版以外は音源が少ない。
このピアノ協奏曲版の音源はVOXレーベルの『Eugene List-the Great Piano Concerti』というCDに収録されている。
Eugene List Plays "Hexameron" (Liszt & others... version for Piano and Orchestre 1/2)


※ピアノ協奏曲版の楽譜については、<フランツ・リストに花束を>の記事のコメント欄で、ミッチさんが説明されています。



面白いのは、オケと6台のピアノによるライブ演奏の映像。
これだけ多くのコンサートグランドが並んでいるのは、壮観。
独奏または複数のピアノで合奏。複数で弾く場合は、同じ旋律を合奏したり、違う旋律を弾いている。

6台ピアノ版を録音したCD『6人の作曲家による『ヘクサメロン変奏曲』全曲』の紹介文を読むと、もともとは6人のピアニストの演奏で初演される予定だったらしい。(実際に初演したのは、リスト自身がソリストをつとめたピアノ協奏曲)。


hexameron 01.wmv


hexameron 02.wmv


タグ:ショパン フランツ・リスト

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コメント

ヘクサメロン

こういう作品はそれぞれの個性だとか性格が出ているようで面白いですね。当時のピアノの名手たちがそれぞれのピアノの腕を競い合っているような情景を妄想してしまいます。ショパンだけは一歩引いて冷静に見ているような気がします。それにしてもよくここまで錚々たるメンバーが集まったものです。

ショパンの変奏はとっても素敵ですね。リストはコーダを自然につなげるためにショパンの書いた変奏の最終小節を削除しているようですが、そのショパン自身による最終小節もどうなっているか少し気になります。

コンポーザーピアニスト

ミッチ様、こんにちは。

へクサメロンをご紹介くださってありがとうございました。
この曲はあまり知られていないでしょうし、設定がとてもユニークなので、記事に書きたくなる曲でした。

当時はコンポーザーピアニストであることが普通でしたね。ベートーヴェンは即興演奏の腕比べをしたそうですし、今のクラシックの世界ではありえないですね。
その2つが分離してしまったのは、ピアノ自体が巨大化して、演奏技術も高度になっていったリスト以降の時代からでしょうか。
今も作曲するピアニストはいますが、ピアノ演奏ほど作曲の方の評価は高くないことが多いでしょう。

たしかにショパンだけ作風が違っていますね。もともと他の作曲家とはメンタリティが違っていたのかもしれません。
性格も作風も違うショパンとリストの交友についてはちょっと興味があります。
当時の音楽界の様子を綴った本がいくつか出ていますので、そのうち読もうかと思っています。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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