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「大君の通貨 幕末「円ドル」戦争」
amazonで買ってから久しく積読状態だった「大君の通貨 幕末「円ドル」戦争」(佐藤雅美)をようやく読了。
読んでみると、意外と面白くて一気に読み終えた。
大君の通貨―幕末「円ドル」戦争 大君の通貨―幕末「円ドル」戦争
佐藤 雅美 (2003/03)
文藝春秋
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あらすじはというと、幕末に米国・イギリスから開国を迫られて、幕府は神奈川、横浜など数港を開港したが、そのときに問題になったのが、円-ドルの交換レート。その当時は、一分銀とドルとの交換レートになる。

江戸幕府は、度重なる財政悪化から銀貨に含まれる銀の含有量を本来の3/1にまで下げた。
しかし、それでは貨幣価値も下がるので、幕府の刻印を押すことで従来と同様の銀貨として流通させていた。
これで幕府の財政難を解消してきたのであるが、まさに禁じ手の打ち出の小槌である。                             

開国してから、英米はあくまで銀の重量に基づいた交換レート(1ドル3分)を要求してきた。
これでひと悶着。
当時の通貨担当・水野筑後守忠徳は、無能な幕僚の中にあって、出色の切れもの。
断固英米の要求に反対し、1ドル1分の交換レートを主張。
しかし、交渉相手の米国ハリス、英国オールコックの画策により左遷され、幕府は英米の要求どおり交換レートを1ドル3分とした。

ややこしいのは、当時の日本は金本位制をとっていたが、実際には金の小判は世間では流通していない退蔵貨幣。
日本国内の交換レートは金の小判1枚に対して5分銀。中国では金対銀が1対16。
英米商人はここに目をつけ、日本で小判を買って、中国で銀に代えて、さらに日本に戻って小判を買って、それを銀に代えて、と回転売買を続けてと、英米商人は大儲け。ハリスも内緒でそれに便乗して大儲け。

このため金が国外へ一気に流出した。金流出を止めるため、金価格を3倍以上引き上げれば良いが、そうすると金本位制の日本の物価も高騰する。
これを水野は理解していたため、金価格の引き上げには反対。
しかし、彼が左遷された後、幕府は金価格を3.75倍に引き上げてしまい、日本は極度のインフレに陥った。

ここで困ったのは、武家階級。彼らは商人と違って価格転嫁するという術もなく、俸禄が一定のため、困窮し、これが開国を許した幕府への不満となって、攘夷・倒幕運動へとつながっていた。

・・・・・という歴史小説というかノンフィクションである。
交換レートがいろいろでてきてややこしいが、交換レートを代えるだけで国内経済がどれだけ激変するかを読み解いてくれる知的にスリリングな展開。

一般に幕末ものといえば、皇国史観を中心として開国・攘夷運動という政治的・思想的な面から
の小説や歴史書が多いが、この貨幣の交換レートに着目したのは実にユニーク。
通貨の歴史に興味のある人にはお勧めの本である。

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無駄のないあらすじの抜粋ありがとうございます!
 
お役に立てて何よりです。
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