スティーヴン・ハフ ~ ルトスワフスキ/パガニーニの主題による変奏曲(ピアノ協奏曲版) 

2013, 12. 08 (Sun) 12:00

ルトスワフスキの《パガニーニ変奏曲》には、ピアノ協奏曲版と2台のピアノ曲版があり、後者の方は難曲で演奏効果も高いせいか、実演・録音ともピアノ協奏曲版よりは多い。
あまり聴いたことがないピアノ協奏曲版をスティーブン・ハフが今年(2013年)のBBC Promsで弾いていたのを発見。 Promsでこのピアノ協奏曲が演奏されるのは、これが初めてなのだそう。

このライブ映像は、ルトスワフスキの生誕100年を祝した演奏会のプログラムの一つ。
最近のハフのステージ姿を見るのは久しぶり。
もう50歳になったけれど、精緻でシャープなタッチは相変わらず健在。渾身の力を込めて打鍵するフォルテもいつのも通り。
真っ黒い衣装に身を包んで謹厳で生真面目な表情はまるで修行僧みたい。
日本とは違ってイギリスでは人気も評価も高いピアニストのハフの演奏が終わると、演奏が終わると会場から大きな拍手と歓声。

Lutoslawski: Variations on a Theme of Paganini - BBC Proms 2013 (Stephen Hough : Piano )


2台のピアノ版と、ピアノ協奏曲版とでは、演奏姿を見ていて面白いのは2台のピアノ版の方。
あんなに難しい曲を2台のピアノでピシっと合わせて間違いなく弾いているのを見ると凄いな~と思ってしまう。
ピアノ協奏曲の方は、そういう感動はなかったせいか、全然記憶に残っていなかったけれど、今聴くと2台のピアノ版とは違った面白さ。(ハフがピアノを弾いているので、聴くときの集中度が全然違っているのかも...)
ピアノ協奏曲版では、オケの楽器の響きが軽妙というよりも奇妙。
サーカスのピエロのようにちょっと人を食ったような屈折した可笑しさや、皮肉に満ちた(トランプやタロットの)ブラックジョーカーのような刺々しい笑いが聴こえてきそうな気がしてくる。
ハフのシャープできりっと引き締まったピアノの音もガラスのように冷たく輝いて、曲想によく合っている。

時々ラフマニノフの《パガニーニ狂詩曲》を連想するようなロマンティックなフレーズも出てきたりして、ルトスワフスキにしては、とっても聴きやすい。
それに、ラフマニノフよりも、オケ伴奏の色彩感がずっとカラフルで、現代的なシニカルさや切っ先の尖ったナイフのような鋭さが感じられて、オケ伴奏はルトスワフスキの方が私にはとっても面白い。
演奏時間もピアノ2台版の倍くらいあるので、オケのトウッティが楽しめるのも良いところ。
両曲とも好きだけれど、今聴くと、音色と表情がずっと多彩でダイナミックなピアノ協奏曲版の方が気に入ってしまったくらい。


こちらは2台のピアノ版。ピアニストは、エンリコ・パーチェとイゴール・ローマ。
オケのような多種多彩な音色と響きは表現できないせいか、ピアノ協奏曲版よりもずっとシリアスに聴こえる。
Lutoslawski - Paganini variations

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2 Comments

Tea316  

良いですね!

こんばんは!

パガニーニの曲って、誰もが変奏したくなっちゃうメロディーなんでしょうか(笑)?
ルトスワフスキは、一つずつどこかのポイントのバランスを次々に崩していく感じで、面白いです。

最近のハフが演奏しているのは、初めて見ました!ほんと、修行僧みたい(笑)。ストイックで完璧主義でかなり神経質そう(笑)!

ピアノ2台のも面白いけど、私は協奏曲の方が華やかで楽しくて何度でも聴きたくなります!(ハフが弾いているからかもしれないけど)

プロムスのラストナイトをNHKで録画して見始めてますが、今年は良さ気です!

2013/12/09 (Mon) 19:20 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

今年のプロムスとハフのこと

Tea316さん、こんばんは。

とあるブログにリストが載っていましたが、パガニーニの編曲ものは、数十曲はあるようですよ。
ちょっと悪魔的だったり、ロマンティックだったり、曲想が変幻自在で技巧的な難曲なので、編曲してみたくなるのかも。

ルトスワフスキのパガニーニは、たしかにピアノ協奏曲の方が面白いですよね!私もこちらの方が好きです。
もしかしたら、ピアノパートより、オケパートの方が目立っているかも。
ラフマニノフの「パガニーニ狂詩曲」の方も、今年のプロムスでハフが弾いてました。
この曲も好きなんですが、面白いのはやっぱりルトスワフスキの方でした。

プロムス最終日のプログラムを見ましたが、ブリテンやエルガー、ヴォーン=ウィリアムズなどイギリス人作曲家の曲がいろいろ入っているのは、さすがイギリスらしいところですね。

ハフは随分若い頃にカトリックに改宗したくらいなので、内省的で思索的な人なんでしょう。
ショパンのワルツや”French Album”を聴いても、宗教的でストイックな人が弾いているようには思えないところが不思議です。
実はとってもロマンティストだったりして...。

そうそう、自分用のクリスマスプレゼント代わりに、ハフのワルツ集のCD、昨日注文しました!
他にも数枚買いましたから、クリスマスは楽しく過ごせそうです。

2013/12/09 (Mon) 21:03 | EDIT | REPLY |   

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