スティーヴン・ハフ ~ ショパン/後期ピアノ作品集、ワルツ集 

2015, 12. 27 (Sun) 21:00

いつもは滅多に聴かないし、CDも買わないショパンなのに、珍しくも2枚一緒に買ってしまったのは、スティーヴン・ハフの『後期ピアノ作品集(Late Masterpieces)』と『ワルツ集』。
ハフの演奏なら、(ショパンを敬遠したくなる)ベタベタと感情がまとわりつくところがなくて、軽やかなタッチとあっさりした叙情感で、もたれることなく自然に聴ける。

Late MasterpiecesLate Masterpieces
(2010/04/13)
Stephen Hough

試聴ファイル(hyperion)


<収録曲>
舟歌嬰ヘ長調Op.60
マズルカ ヘ短調Op.63-2
マズルカ ト短調Op.67-2
マズルカ 嬰ハ短調Op.63-3
マズルカ ヘ短調Op.68-4
幻想ポロネーズ変イ長調Op.61
夜想曲ロ長調Op.62-1
夜想曲ホ長調Op.62-2
ピアノ・ソナタ第3番ロ短調Op.58
子守歌変ニ長調Op.57
(録音時期:2009年5月)

”Late Masterpieces”というアルバム名なので、後期作品中の名曲集。
ショパンの場合は、同じ系統の曲ばかり聴くよりも、スタイルの違った曲を集めたオムニバスの方が飽きずに聴けるのが良いところ。
《舟歌》の入ったCDはいくつか持っているけれど、特に好きなわけでもなかったのに、ハフのこの録音を聴いて、こんなに素敵な曲だったのかと、遅ればせながらようやくわかったところ。
爽やかで透明感の突き抜けたような明るさを感じるところは、私の持つショパンの演奏のイメージとは正反対。
好きではない舞曲風のマズルカは、軽やかなリズムと囁くような旋律の歌い回しが密やかで全体的に抑制されたトーンなので、舞曲というよりも夜想曲みたいに聴こえる。
夜想曲の2曲の方は、センチメンタルな甘ったるさは薄め。(でも、やっぱりあまり好きな曲ではないけれど)
ピアノ・ソナタ第3番は、昔はポリーニのCDを良く聴いていて、壮大な第4楽章が好きだったし、久しぶりに聴き直してもそれは同じ。(ポリーニの方が、力強くてスケール感も大きいような気はするけど)

ハフの演奏で後期作品をまとめて聴くと、今まで聴いたことのあるショパンとは随分印象が違う。
透徹した明晰な眼差しでロマン派を越えて現代の世界を垣間見ている音楽のような気がしてくる。

Frédéric Chopin— Late Masterpieces—Stephen Hough (piano)




CDジャケットと同じ黒いスーツと帽子に身を包んだハフが、月明かりのなかで演奏するワルツ。(私には、なぜか”StarTrek:TNG”のピカード艦長に見えてしまう...)
左手のリズムが軽やかで柔らかくて、三拍子のワルツっぽくなくて、舞曲苦手な私にはこういうリズムの方がずっと聴きやすい。
それに、第28小節で右手が半音階のスケールで駆け上がるときに、フレーズ末尾を軽やかに跳ねあがるようにして最後はふっと力を抜いて弾いているのが、ちょっと洒落ている。

私が最も苦手なワルツ《華麗なる大円舞曲》は、聴くのも練習するのもイヤだった...。
でも、ハフの軽やかなスタッカートとアクセントで強調された鋭いリズムで聴くと、(この曲に限らないけれど)とっても面白い。
悲哀漂う短調のワルツでも、感傷的なところは全然なくて、透明感のあるさりげない哀感がさらさらと流れていく。
ショパンのワルツもやはり好きとは言えないまでも、ハフ(とアンダ)のワルツなら時たま聴いてもいいかなあという気にさせてくれる。

Stephen Hough plays Chopin's waltz in A flat major


Frédéric Chopin—The Complete Waltzes—Stephen Hough (piano)


Chopin: Complete WaltzesChopin: Complete Waltzes
(2011/8/9)
Stephen Hough

試聴ファイル(hyperion)

タグ:ショパン スティーヴン・ハフ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

0 Comments

Leave a comment