三善晃/ピアノ協奏曲 

2014, 02. 20 (Thu) 13:00

現代日本人作曲家のピアノ作品なら、ピアノ協奏曲に名曲が多い。
ピアノ独奏曲も多数あるけれど、よく演奏されるのは、(子供向けや練習用の)調性音楽が多い。音楽自体は綺麗なのだけど、どちらかというと弾いて楽しむのには良くても、聴くだけなら物足りないものがある。

邦人作曲家のピアノ協奏曲で今まで聴いた曲は、

矢代秋雄:ピアノ協奏曲(1967年)
伊福部昭:ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ(1979)
早坂文雄:ピアノ協奏曲(1948年)
大澤壽人/ピアノ協奏曲第3番「神風協奏曲」(1938年)
吉松隆:ピアノ協奏曲「メモ・フローラ」(1997年)
武満徹/アステリズム(1968年)、アーク(弧)(1963年,1964年,1966/76年)、リヴァラン(1984年)、夢の引用(2台のピアノのための)(1991 年)

最近見つけたのが、三善晃のピアノ協奏曲(1962年)。[作品解説(Wikipedia)]

1962年の作品なので、武満徹の《アステリズム》と同じく、前衛的な作品。
三善作品の方が、ピアノがより打楽器的に使われていて、躍動的なパッセージが多い。

面白いのはオケの編成。「タムタム、スネアドラム、タンブリン、バスドラム、ウッドブロック、シンバル、木魚、むち、ヴィブラフォン、グロッケンシュピール、チューブラーベル、シロフォン、カスタネット、鐘、木琴、鉄琴、マリンバ、チェレスタ、ピアノ、ハープ」と、一般的なオケの楽器編成よりも、打楽器がかなり多い。
珍しい打楽器もいろいろあって、音色が多彩で響きも面白い。

単一楽章形式で演奏時間は15分前後。
通常の3楽章形式のピアノ協奏曲のように、両端の急速部の間に緩徐部が挟まれている。
最初の急速部は、冒頭のマリンバとヴィブラフォンの和音の響きが面白い。
続いて、硬いスタッカートのピアノが力強く華やかに動き回り、勇ましく騒然としたオケの伴奏やらで、とても賑やか。
メロディアスな旋律は全く出てこないけれど、息もつかせぬような疾走感と躍動感が楽しい。
ピアノのパートは、少しフリージャズ風な感じもする。

緩徐部は、オケ独奏時の楽器が多彩で音色も面白く、チェレスタやグロッケンシュピール(らしき)の響きがファンタスティックで綺麗。
不可思議な雰囲気の旋律と和声は、まるで暗い迷路の中を彷徨っているような。
終盤は、異界への扉が開かれるような”ジャ~ン”という金管楽器の強烈なファンファーレ。

再び急速部になり、最初よりもさらに騒然な雰囲気のトッカータ風。
オケと掛け合うピアノは力強く、迫力充分。

このピアノ協奏曲は前衛的ではあるけれど、最初から最後まで飽きることなく、面白く聴ける。
特に、緩徐部の不可思議で幻想的な美しさが印象的。


三善晃 Miyoshi :ピアノ協奏曲 中村紘子 岩城宏之・NHK響(1979年録音)



このピアノ協奏曲が収録されているのは、1960年代の初期作品集『三善晃の世界』。
1970年録音で、若杉弘指揮読売日本交響楽団の伴奏でソリストは本荘玲子。
三善晃の世界・ピアノ協奏曲三善晃の世界・ピアノ協奏曲
(2007/09/05)
三善晃

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2 Comments

ポンコツスクーター  

三善晃

こんばんは。
ピアノ協奏曲を聴かせてもらいました。スピード感のある鋭い音楽ですね。日本の作曲家のピアノコンチェルトというと、矢代秋雄が昔から有名で、それは聴いていたのですが、三善のは初めてです。

三善晃。
カッコイイ風貌もさることながら、料理の腕前も一級品です。
「オトコ、料理につきる」は料理本として最高峰にあると思います。もしお読みでないようでしたら、強くお勧めします。

2014/02/20 (Thu) 20:53 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

好みにぴったりでした

ポンコツスクーター様、こんばんは。

渦中の新垣氏の師が三善晃だと知り、少し作品を探して聴いてみました。
このコンチェルトはかなり好きなタイプの曲です。
他の作品もいくつか聴いてみましたが、(有名らしい)「交響三章」や吹奏楽曲もカッコいいです。でも、「レクイエム」は私には暗くて重過ぎました。
新垣氏の作品のなかには、お師匠さんに作風が少し似ているものもありますので、やはり師の影響を受けているのでしょう。

三善晃が料理好きだとは全然知りませんでした。
本のタイトル、”冥利につきる”をもじった駄洒落みたいで面白いですね。
もう絶版になっているらしいので、図書館で探してみます。

2014/02/21 (Fri) 00:46 | EDIT | REPLY |   

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