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ベトナムのストリート・チルドレン
「火焔樹の花 ベトナム・ストリート・チルドレン物語」(小山道夫著、1999年、小学館)がamazon経由で古書店から早速到着。

この本は、ベトナムのストリート・チルドレンの存在を知った小学校教師が、退職して単身ベトナムへ渡り、ボランティアとしてストリート・チルドレンの生活を支えていくノンフィクションです。
貧しいとはいえベトナムは社会主義国なのだから国家が身寄りのない子供たちの生活・教育を保障しているものと思っていたけれど、それは大きな誤り。
ストリートチルドレンは、一説5万人もいるそうです。(調べていないので不正確ですが)。
ドイモイで確かに経済成長を遂げつつあるべトナムでも、中国のように、農村部や貧困層は必ずしもその恩恵にあずかっているとはいえません。
フエ市での著者のストリート・チルドレンの支援活動を通して、経済成長の表裏、社会主義国家特有の"特権階級"の不正・蓄財行為とそれを自浄できないシステム、それに憤りを持ちつつ公に批判できない人々のくやしさなど、旅行記・駐在記などのベトナム紹介本・体験本からはあまり伺い知ることのできないベトナムの一面に直面させられます。

フランス、アメリカからのストリートチルドレンへの寄付金を着服する役人など、トンデモない人が次々登場。それも大学学長やボランティア協会関係者などというから、体制の腐敗の度に、ベトナム大好き人間でも幻滅してしまいそうになります。
しかし、一方では、著者の活動をバックアップしようと尽力してくれる教育委員会のロック副委員長やフエ市長などの存在もあります。
ある一面だけを捉えて、心情的に評価を下すのはよくないですね。
トンデモない日本人もベトナムに押しかけており、利権を得ようとする企業経営者、教科書風の経済成長成功論をかざす日本人研究者、著者のボランティア活動を「自己満足、無意味」と切り捨てる女子大生など。結局、日本人だっていろいろいますからね。
ベトナムの政治体制を批判したくなる一方、日本人もべトナム社会を批判できるほどご立派な人たちばかりではないのは当然のこと。

フエ市が提供した敷地に、著者の元同僚たちが日本で募金活動を行って建設した「子どもの家」は、ODAや日本の民間援助団体による支援で、職業訓練施設などを拡張しているそうです。
一人の元教師の想いが、ここまで大きな活動に成長したこと自体驚きです。
草の根NGOが、どうやって異国でいろんな活動を展開できるのかずっと不思議でした。
志ある人たちが集まって、共鳴してくれる人を広げていくことで、小さな活動が徐々に大きく成長していくプロセスを教えてくれた本でした。


火焔樹の花―ベトナム・ストリート・チルドレン物語 火焔樹の花―ベトナム・ストリート・チルドレン物語
小山 道夫 (1999/06)
小学館
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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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